横浜の司法書士安西雅史のブログ

2011-01-23湘南国際マラソンで初のフルマラソンに挑戦しました。

受験時代に使っていた書籍

2011-11-25 | 実務ノート


昨日自宅の本棚を整理していたら、司法書士の受験時代によくお世話になった参考書籍の一つ「民法 判例実戦演習」(東京法経学院出版/1998年発行)が奥の方から出てきました。


かれこれ12.3年くらい前に使っていたわけですが、なんだかとても懐かしいです

中身はかなりボロボロです


で、やたら付箋やチェックマークのついているページがいくつかあったのでその箇所を読んで見たら、ちょうど前回書いた内容と類似の事例がありました。


「最判昭40・05・04」

判示事項
 滅失建物の登記を新築建物の所有権保存登記に流用することの可否。

裁判要旨
 滅失建物の登記をその跡地に新築された建物の所有権保存登記に流用することは、許されない。

本書解説には、<登記された建物が取壊し等により滅失した後、跡地に新たに建物が築造されたときは、旧建物について滅失登記を行いその登記記録を閉鎖し、新建物について建物表題登記をして新たな登記記録を設けた上、所有権保存登記等の権利に関する登記をすることになる。上記判決は、このような手続を経ない新建物の登記は、当事者の事情いかんに関わらず、無効となることを明らかにした点に意義がある。>とあります。
※<>内一部修正。

ところで、登記記録と実体との食い違いが後に是正され、登記記録が実体に符号する結果となった場合の類型として、以下の三つが挙げられます。

(1)実体を欠く無効な登記が、後に実体と符号するに至ったという類型
(2)実体関係が一度消滅し無効となった登記を、当事者が類似の別の実体関係に流用する類型(ex:弁済により消滅した抵当権を、他の債権を担保する抵当権に流用する場合等)
(3)上記(2)の類型と類似するが、個々の登記の流用でなく、特定の不動産のための登記記録の全部を他の不動産の登記記録として流用する類型


これらの類型に対し判例は、(1)については、第三者との関係でも有効と判示し<最判昭29.1.28>、(2)に関しては、原則として無効とするが<最判昭6.8.7>、・・・中略・・・流用を合意した当事者間では有効とする<最判昭37.3.15>等、問題となる状況を考慮に入れて判断する余地を認めています。そして(3)については、一貫してその効力を否定しています<最判昭40・05・04>。
これは、2)と異なり、登記記録自体の流用は、二重登記を生じる可能性や不動産の特定についての混乱を招くおそれがあり、不動産登記制度の基本構造に反するからとされています。


まあ、実務をよく知らなかった受験時代にはイマイチ理解できなかった論点で、当時本試験で出題されたら捨問として処理していたと思いますね。。

久しぶりに受験時代の書籍を眺めてみると懐かしく新鮮な気持ちになりますが、果たしてあの時の知識が今どれだけ頭の中に残っているのか、ちょっと不安にもなります




参考文献

民法 判例実戦演習 司法書士 判例・先例実戦演習シリーズ1
(東京法経学院出版/1998年発行)

判例サイト

・仮装の売買契約に基き所有権移転登記を受けた者がその後、真実の売買契約により所有権を取得した場合とその登記の対抗力
(最判昭29.1.28)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57258&hanreiKbn=02

・流用された抵当権設定登記について当事者が無効を主張できないとされた事例
(最判昭37.3.15)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=74303&hanreiKbn=02

・滅失建物の登記を新築建物の所有権保存登記に流用することの可否
(最判昭40・05・04)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56275&hanreiKbn=02





増改築した建物の同一性について

2011-11-18 | 業務日誌


建物の所有権移転登記を申請する際に、対象の建物の登記記録の内容が評価証明書の内容と大きく食い違っていることがたまにあります。先日扱ったある登記手続では、登記の対象となる建物(以下「A建物」。)の登記記録には<木造瓦葺平家建 床面積○○平米 昭和 年 月 日新築>とあり、依頼者が用意したA建物(と考えられる)評価証明書には<木造スレート葺2階建て 当初建築年 平成 年 月>と記録されており、また、摘要欄に増築等の記録はありませんでした。

さて。悩ましい

これはホントに同一の建物なんだろうか、疑問が沸きました。。

たとえば、A建物は既に取り壊しており、滅失登記がされておらず、平成 年に新しい建物(ex:A’建物)を建て替えたというケース。もしそうだとすれば、存在しない建物について所有権移転登記をしてしまうことになり、しかも登記の原因となる法律行為が、現在のA’建物でなく、滅失しているA建物に関して行われたとあれば、非常にマズイことになります

依頼者に確認しても、相続などのケースで当時の資料がなく詳しい事情はわからないといった場合は、要注意だと思います。


因みに、登記された建物の一部を取り壊し、その部分に増築した場合、建物の同一性が認められるなら「増築による建物表題変更登記」をすることになりますが、同一性が認められない場合は、増築部分について新たに「表題登記」をすることになります。ただこれらに関しては、登記手続上の明確な基準はなく、判例等を参考にして、個々の事案ごとに慎重に判断していく必要があります。



~参考判例~

<事件名>
家屋明渡請求
<裁判年月日>
昭和50年07月14日
<判示事項>
建物の改造によるその物理的変化と新旧建物の同一性の有無
<裁判要旨>
建物につき改造がされ、物理的変化が生じた場合における建物の同一性の有無については、新旧の建物の材料、構造、規模等の異同に基づき社会観念に照らして判断すべきであり、右建物の物理的変化の程度によつては、新旧の建物の同一性が失われることもありうる。

サイト
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130403562444.pdf

以上。



フルマラソンの結果

2011-11-04 | My Runs


SNSなどで既に報告していますが、先週の日曜日に行われた<第三回しまだ大井川マラソン>の結果です。




地味なタイムですが、一応サブ4を達成できたことは良かったと思います
いろいろと応援してくださった方ありがとうございます。

レース前、調子は悪くなかったので、もしかしたら・・・という気持ちもありましたが、フルマラソンにまぐれはないと実感しました

レースで実力を発揮できないことはあっても、実力以上のものが偶然に出ることは決してないようです。

ところで、本番前に読んだ本の中に、<フルマラソンでは、あらかじめ自分で設定した距離毎のペースをレース本番でいかに正確にトレースできるかが重要である。>とありました。また、<20キロまでとにかく抑えて我慢の走行を続け、20キロを越えたらリミッターを外しペースを上げていき、25-30キロで大会自己最速ラップをたたき出す。これがレースマネジメントの最重要ポイントである。>ともありました。

前半飛ばしすぎて後半失速するランナーの話はよく聞きますが、今回のレースは、前半を抑えたわりには後半以降もペースアップ出来ず、勝負所もなくそのままゴールに辿り着くような格好だったので、上に書いてあることを次回の課題にしてみようと思います。