新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

生きていたという何かを残すために本を書く:金儲けは考えず

2017-09-12 20:56:32 | Weblog

こんばんは

 

明後日から2週間ほど出張するので、ブログのコメントなどのお返事ができません。パソコンなどを持ち運べないもので・・・。そんな理由もあって執筆作業を急いでいるのですが、ふとこの記事を見て強く思ったことがあります。

かなり長いので、ほとんど略して引用します。

命に関わる損をさせても「表現の自由」なのか 健康本を巡る出版関係者の思い

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170912-00010003-bfj-soci&p=1

9/12(火) 15:30配信

 

“目は1分でよくなる!”“《塩と水》だけであらゆる病気が癒え、若返る”“がんに勝つレシピ”“医者に頼らなくてもがんは消える”……書店やAmazonで目を引く場所には、このようなタイトルの、いわゆる「健康本」がずらりと並んでいる。

これらには医師などの専門家から「科学的根拠が疑わしい」と批判の声も多い。特に、“医者に頼らなくてもがんは消える”のように医療を否定・批判する本は、それを読んだ患者が適切な受診機会を逃し、命に関わる可能性もある

このような健康本について、出版業界の「中の人」は、実際のところ、どう思っているのだろう。複数の出版関係者に話を聞くと、変わりゆく出版業界の姿が浮かび上がってきた。【BuzzFeed News Medical / 朽木誠一郎】

「そんなの9割ウソだから」「作っているのオレなんだから」と、健康本ライターは母に言いたい。

健康本を作っているのは、どんな人なのか。例えば、Aさんは何冊か健康本を執筆した経験のある、50代の男性。理系ジャンルが専門のライターだ。

(中略)


このような経験から、健康本については「著者だけでなく、出版社の責任も大きいのではないか」とAさんは思う。

低コストでいい加減な内容の本を作って、それが売れたからとセミナーやインタビューで編集者が自慢する。こんな流れはそろそろ止めないといけない

(中略)

健康本は「基本的には売り上げのため」「損害があっても自己責任」と、総合出版社勤務の編集者。

なぜ、出版社は健康本を作るのか。総合出版社に勤務する30代男性の編集者Bさんは「もちろん人の役に立つ本を出したい、というのはある」が「ベストセラーを見込める分野であり、基本的には売り上げのため」と説明する。

Bさん自身は健康本を担当したことはない。しかし、Bさんの所属する総合出版社でも、いわゆる健康本は多数、出版されている。

「もともと、売り上げが高い=敏腕編集者というのは、やはり私たちの憧れです。特にビジネス書や実用書では、その傾向が顕著かもしれません」

「その上で、“健康本は売れる”というのは昔からわかっていたこと。週刊誌が“薬を飲んではいけない”などのシリーズで部数を伸ばした影響もあると思います」

出版不況と言われる時代になり、「新興の出版社やビジネス書・実用書の出版社だけでなく、老舗を含むあらゆる出版社」が「健康本に飛びつくようになった」とBさん。

(中略)

医師が執筆・監修すれば「一定の情報の信頼性を担保できるはず」というのが「落とし所になっている」とBさんは指摘する。

「しかし、専門出版社の一部を除けば、ほとんどの編集者や校閲者は、その医師の主張がどれくらい妥当なのか、専門的に判断することはできません。かなりの程度、著者の主張に依拠せざるを得ません」

(中略)

「その医師がこれまで、各メディアでどのように発信してきたか、といったことも十分にチェックします。目立つばかりで不確かな情報を聞き、伝えてしまうと、一気に信用を失うことがあるので」

医療についての情報は「人の命を奪い得るもの」。それを表現の自由で済ませていいとは「思いません」とCさんは言う。

「本来なされるべき医療で命が助かったはずの人が、健康本の紹介する代替医療に走り、助からなかったときに、自己責任で済ますには重すぎます

「はっきりと線を引くのは難しいですが、程度問題として、その情報がどのくらい人命に関わるかで判断するべきでは」

(以下略)


別にこの記事を読んだからではないのですが、執筆作業について色々考えました。

 

基本的に売り上げのために本を書く。

 

確かに、一般的に出版社はそうだろうとは思います。では、執筆する作者はどうだろうか?

 

自分はそうだろうかと思ったわけです。

 

売れないより売れた方が嬉しい・・。それはその通りです。

ただ、そういうつもりで書いたわけではないのです。遠回りになりますがブログを始めた話から書かせていただきます。

 

僕はこのブログを2008年から、前のブログを含めて良いなら2006年7月頃から書き始めました。

 

当初は医療問題、特に医師不足から近い将来「医療破綻」が起きるのではないかと思っていた(今でも思ってはいますが、やり方は色々あるかなと思います)から書き始めました。Mixiでそれらの話を書き込んだところ、有名医師ブロガーであった先生に奨められました。

 

一度やめたりしましたが、今も続けているのは大きく理由は2つあります。

 

一つは病気のことなどを相談してくださる患者さんやご家族がいらっしゃるので、ご相談内容になんとか対応したいと思ったからです。

これは僕自身、実際に主治医として治療などにあたる患者さんだけでなく、様々な方からご相談をいただきました。コメントとして公開していないものもあります(個人のメールアドレス書かれたら、公表できないので、捨てメールを使ってやりとりをしました。実は何人もいらっしゃいます。)。

そういったご相談をいただくことで、僕は新しい知識や経験、調べたりする機会をいただいてきたわけです。

 

患者さんやご家族のためにも「できること」があるかもしれませんし、そうすることで自分自身のためにもなるわけです。

 

情けは人の為ならず・・・ではないのですが、僕はありがたい経験を得るチャンスをいただいていると思っていますし、目の前にいないどなたかの力になるチャンスもいただいているわけです。

 

ありがとうございます。

 

そして2つ目に、僕は人間はいつ死んでもおかしくないと思いながら生きています。死にたくはないですが、死にたくないから死なないのであれば、誰もそんな嫌な経験をする人はいません。

確かに自殺される方もいらっしゃいますが、それは状況によって引き起こされたものだと思いますので。

 

ですので、いつでも何かを残せないかと思っていました。このブログも書きながら、多分どこかで実際書いてもいると思いますが、「誰かのために何かを残したい」「自分がいたという何かを残したい」と思って書いてもいたわけです。

 

ありがたいことに、僕は1冊目の本を書く機会をこのブログのおかげで得ました。儲けたいと思ったわけではなく、若手血液内科医や総合内科などで血液疾患に出会う医師、そしてその方々から診療を受ける患者さんや家族のために尽くすことができると思って書いたわけです。

研究で目の前にいない患者さんや家族の力になかなかなれなかったものの、教育という分野で多くの医師や患者さん(家族含む)のために何かできるかもしれない。何かを残せるかもしれないと思って書きました。

 

葉隠に「私なく考えるとき、不思議と知恵が出てくる」というような文章があります。本当にそう思っています。僕も多少は知識もありますし、色々考えたりする力があると思いますが、ずば抜けた才能はなかっただろうと思います。それでも「人のために尽くしたい。何かを成し遂げて死にたい」と思い続けていましたし、今でも思っています。

 

そう思って書いた本なので、僕は自分の本が結構多くの人の役に立てると思っています。

 

だから、多くの医師や医学生さんに手に取ってもらいたいと思っています。売れたら嬉しいですけど、どちらかというと誰かが読んでくださって、その知識を誰かのために使ってくださる。もしくは、勉強になった、使えたと本を読んでくださった方が思ってくださるのであれば、僕も少しは何かを残せたかもしれないと思えるわけです。

血液内科 ただいま診断中!クリエーター情報なし中外医学社

だったら、もっと安くしろ・・・と言われそうですが、出版社さんの儲けも出ないといけませんし、自費出版できるほどお金持ちではなくて・・・(汗

 

遠い将来、患者さんやご家族のための本とかを安くかけたらいいのに・・・と思ったりします。

 

また、いま書いている学生向けの本(自分の中の盛り上がりを考えると、結構ページ数増えるかも)もいいものになってほしいと、考えています。医師になった未来の学生さんが「あの本に書いてあったな・・・」と思ってくれる本にできればと思っています(要するに国家試験対策にも、臨床にも使える・・・両方にあまり関係ないところは記載しない)。

 

死ぬまでに何を残せるか。子供たちや妻にも残せるものを残したいですし、患者さんやご家族の役に立ちたいですし、良い意味で記憶に残ってほしいとも思います。日本という国にも何かを残したいですし、できれば素晴らしい研究とかをして、世界に何かを残せれば・・・そんなことをいつも考えています。

 

以前も書きましたが、僕は葉隠武士道が好きです。

葉隠 上 (岩波文庫 青 8-1)
クリエーター情報なし
岩波書店

「武士道とは死ぬことと見つけたり。二つ二つの場にて早く死ぬかたに片付くばかりなり・・・・(略)。毎朝毎夕、改めては死に死に、常住死心になりているときは、武道に自由を得、一生越度なく、家職を仕果たすべきなり」

武道ではなく、人生と考えれば「いつ死んでも良いように覚悟を決めて生きていれば、人生の選択にも自由を得て、一生落ち度(後悔)もなく、生きていけるだろう」というような感じになるのだと思います。

 

出版する人たちが、その記事を書いたことで「何を残すのか」

 

お金を得るために、人を傷つけてまで書く内容がそこにあるのか

 

もし、すぐにも死ぬ可能性があるのであれば、その健康本を書くのか?

 

ちなみに僕はとりあえず、明日死ぬ可能性があるとしても、書けるのであればこの本(1冊目も2冊目も)を書きます。何かを残すことができるなら・・・って


まぁ、その前に子供たちに会いに行ったり、妻と話をしたりするのでしょうけど(笑

 

 

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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それでは、また

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