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めだか三代物語(1)

 我が家には、猫と人と金魚のほかに、数匹のめだかがいる。魚はガラスの水槽に入れて横から鑑賞するよりも、自然の川や池に泳ぐのを見るように、上から眺める方が好きなので、金魚もめだかも、暇に飽かせて信楽へ行って買って来た鉢にそれぞれ入っている。
 先日、そのめだかの鉢を覗いたら、五匹のおとなのめだかに混じって、生まれたばかりの小さな赤ちゃんめだかが三匹、すいすいと、水面近くを無邪気そうに泳いでいた。
 子めだかは、体長が二、三ミリばかり、透き通った糸のようなからだの端の両側に、丸い目玉がついている。
 めだかというのは馬鹿な魚で、放っておくと親が自分の卵や稚魚を食べてしまうので、この新しく生まれた子めだかを、別の水槽に移すべきかと思案していたら、水の底からすうっとあがってきた親めだかが、あっという間に一匹の子めだかを口に吸い込んでしまった。もう迷う余地はなく、金魚のために汲み置いていた水を、余っていたガラスの水槽に入れて、残った二匹の子めだかを急遽移し、水草についていた卵も、いちいち取って移し変えた。その卵が今では孵って、たくさんの子めだかが、水槽の中を泳いでいる。
 この子めだかたちは、うちのめだかの三代目に当たる。初代のめだか、すなわち、この子めだかたちの祖父母のめだかを、どうやって手に入れたかというと、買って来たのでも捕って来たのでもない、一風変わった方法で、彼らは我が家にやって来た。(つづく)
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