ホットマットに完全敗北した話

 猫と同じで寒いのが嫌いだ。寒いくらいなら暑いほうがよっぽどいい。だから冬は嫌いなのだけれど、冬にも3つだけだがいいところがある。
 ひとつは、夏のあいだ、それぞれが好きな場所で伸びて寝ていた猫たちが集まって、丸くなって眠ることだ。猫の集合体はとてもかわいい。ふたつめは、床暖房をつけると猫たちが床の上で溶けること。暖かい部屋で猫とごろごろすると、もう動けなくなる。
 そして三つ目が、夜、みゆちゃんが布団の中に入ってくることだ。みゆちゃんは布団の中でゆっくり方向転換して、私の腕に頭を乗せて眠る。朝、布団をちょっと持ち上げて見てみると、福福とした顔で目を閉じて、私の腕の中で香箱を組んでいる。みゆちゃんが眩しくないようにすぐ布団を閉じるのだけれど、可愛い顔が見たくてまたちょっと開けてしまう。陳腐な表現だが、この時間が永遠に続いてほしい、そう願うほどの幸福を感じる。
 ところがこの冬は、みゆちゃんが一緒に寝てくれなくなった。理由はわかっている。「ホットマット」だ。電気の力で無限の暖かさを生み出すことができる魔法の座布団。猫たちが喜んでくれるだろうと思ってミニサイズのホットマットを買ってみたところ、喜びすぎた。
 まさに文字通り24時間、水、食事、トイレ、ときどき私にマッサージを要求するとき以外は、みゆちゃんはずっとホットマット上で過ごすようになってしまった。当然夜もホットマットでぬくぬくしているので、私の布団へ寝に来ることはない。
 みゆちゃんに捨てられてひとりで寝るようになった結果(正確には、布団の上に1~3匹いる)、よく寝られるようになったという面は確かにある。腕枕をしていると腕が痛くなるし、寝返りもできない。トイレや水で夜中に何度も布団を出入りするので、そのたびに目が覚める(もっとも、慣れてくるとほぼ覚醒せずに布団の開け閉めができるようで、気がついたらみゆちゃんが布団の中にいた、ということもよくある)。しかしそのような短所があってもなお、あの幸福感には代えがたいのだ。
 それに、薄々は分かっていたことだけれど、みゆちゃんが寝に来るのは私が好きなためではなく、ただ暖かい寝場所を求めているためだという事実をはっきりと突きつけられたことで、私は傷ついた。私は暖房器具としてホットマットに敗北したのだ。

 それが先日、久しぶりにみゆちゃんが布団に入ってきた。みゆちゃんも少しは私のことを恋しく思ってくれたのかもしれない。私は嬉々として、みゆちゃんに腕枕を提供し、夜中に何度もみゆちゃんのために布団を開け閉めした。
 翌朝、理由が分かった。なんのことはない。ホットマットの電源コードをさし込んでいるコンセントのスイッチが、何らかの拍子で切れていたのだった。

↓ホットマットに敷いたムートン風ラグと一体化して寝るみゆちゃん。
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「ねことおひるね」さんのねこ漫画その2

人とペットのこだわりインテリア雑貨店「ねことおひるね」さんのねこ漫画を描かせていただきました!
店長さん考案のシナリオをもとに、「ねことおひるね」のねこスタッフさんたちの日常をご紹介。
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↓杏珠(あんじゅ)ちゃんと葵斗(あおと)くんの日常です。
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