猫と千夏とエトセトラ

ねこ絵描き岡田千夏のねこまんが、ねこイラスト、時々エッセイ

中華街のミケ「SAVA京都紀行」

2012年03月10日 | 猫マンガ「中華街のミケ」

横浜のファッションブランドROUROUのサイトで連載中の猫マンガ「中華街のミケ」、
更新されました。ぜひご覧ください。
「中華街のミケVol.69 SAVA京都紀行」

※ROUROUは、ただいま京都催事真っ最中です!(10日11日)
お近くの方、京都マラソン等で京都へ来られた方、ぜひお立ち寄りください!

会場等詳細はこちら

猫机

2012年03月04日 | 

 机で絵を描いたり、何か作業をしていると、よくみゆちゃんがやって来る。私の机の引き出しにカリカリのおやつが入っているから、それをねだりに来ているのだろうけれど、みゆちゃんはいつも、机に置いてあるタブレットの上に座る。タブレットというのは、私がパソコンで絵を描くときに使う道具で、板状のタブレットの上に専用のペンを走らせることで、マウスと同じような操作が出来る。だから、そのタブレットの上に座られると、私は作業が出来ないのである。
 仕方がないので、そこからのいてもらうために引き出しを開けて、いつもおやつをあげやすいようにジャムの小瓶に入れてあるカリカリを、十粒ほど机の上にだしてやる。するとみゆちゃんは、タブレットから腰をあげて、カリカリを食べる。
 私が新しい線を一本か二本、描き加えたかどうかというあたりで、十粒食べ終えたみゆちゃんはまたタブレットに腰を下ろす。ほとんど作業ははかどらない。やむを得ず、またカリカリを出す。
 そういう、座って、またおやつを出して、ということがだいたい2、3度繰り返される。満足して、机を降りて行ってしまうこともあれば、しばらく眠そうな顔をして、座り続けていることもある。
 あるとき、何度かおやつを食べたあとも、みゆちゃんは白いミミズクみたいに目をつぶってタブレットの上に座り続けていたが、さっきあげたカリカリを食べ残しているのを見て、ふと気がついた。みゆちゃんは、おやつを食べたいのではなく(正確には、おやつも食べたいが)、私のそばに居たいのではないかしら、と厚かましくも思ったのである。
 なぜ今まで気がつかなかったのか。タブレットから降りてほしくて、私が何度もカリカリをあげるたび、みゆちゃんは、「これじゃないのになあ」と思いながら、渋々(というわけでもないだろうけど)食べて、時には残して、諦めて向こうへ行ってしまっていたのではないだろうか。
 以前に、確かグーグルのお偉いさんだったと思うけれど、机の上に猫が来てキーボードを踏んづけたりするので困っていたが、いい商品を見つけた、これで問題解決だと、机のコーナーに取り付けるこぢんまりした猫ベッドを紹介していたのを思い出した。
 さっそくそのアイデアをいただいて、机用の簡易ベッドを自作すべく、戸棚を開けて、適当な大きさの空き箱を探した。狭い机なので、ゆったりとした箱は置けない。みゆちゃんがちょうど入れるくらいで、机の空きスペースに収まる大きさ。引越し祝いにもらった絵皿の箱が、ぴったりだった。絵皿が中で動かないように、くぼみの作られた二重底が入っているのも、みゆちゃんが丸まったときにフィットしそうで、向いているように思われた。置いてみると、モニター横のデッドスペースだったところに、見事ぴったり収まった。
 わくわくして、箱にフリースを敷いて待つと、すぐにみゆちゃんがやってきた。箱に近づき、においをかいで、前足を踏み入れ(そのまま素通りしてしまうのではないかと、私はどきどきしながら見守っていた)、うずくまった!
 それ以来、みゆちゃんはよくこの絵皿の箱の中に入っている(箱が小さいので、実際は、入っているというより、はみ出しているというほうが正しい)。今もそうだ。私のすぐそばにいつも愛情の塊のような白いふわふわが丸まっていて、ペン立てのペンを取るよりも簡単に、手を伸ばせばなでることが出来る。私はこの幸せを味わって、心や顔がぽかぽかする。
 ときどき、机の箱にふくちゃんがうずくまっていることがある。そんなとき、みゆちゃんは迷惑そうな顔をして、机の上に座っている。ふたりの入れる箱が置けたら、もっと嬉しいだろうと私は欲張りな想像をして、ますます、もっと大きな机がほしくなる。