猫メール届きました(後篇)

 いまひとつには、太郎はマッサージをする猫なのである。私の周りには、マッサージをしてもらう猫はいるけれど、する猫はいない。寝るとき、太郎はK君に腕枕をしてもらって、二人は向かい合って寝るそうだが、横になってしばらくすると、太郎はK君の大胸筋のあたりをもみもみ揉んでくれるのである。そのマッサージが、疲れているときなどかなり気持ちがいいらしいけど、太郎がK君の疲れを癒すためにやっているのかどうかは不明である。太郎自身は興奮していて、真剣な目をして、ふがふが言いながら揉んでいる。その格好が可笑しいのだけど、笑うと揉むのをやめてしまうので、K君は笑いをじっとこらえながら、太郎にマッサージをしてもらっている。
 太郎のマッサージ話も楽しいけれど、K君と太郎が二人向かい合って寝ているということ自体が微笑ましくて、読んで頬が緩んでしまった。
 そしてメールの最後に、太郎の写真が三枚添付してあった。太郎が私の家にいたのは生まれて2、3ヶ月の頃だったので、私は子猫の頃の太郎しか知らない。目がくりくりとして、やんちゃな子猫であった。3年も経っているのだから当然ではあるけれど、写真の中には、落ち着いた大人の雄猫が写っていた。太郎は立派になった…苦労した里親探しの想い出とあいまって深い感慨を覚えながら、しばらく太郎の写真に見入っていた。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )