福井県の高校野球を応援する爺様の言いたい放題!

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心に残る記事・・・

2013年08月04日 | 高校野球 中学野球

下記、ある保護者の方から頂いた・・・是非一読願いたいと思います。

 

さて、今回は神奈川県の名門、横浜高校のお話です。
この記事を読むと甲子園での横浜高校を注目したくなりました。
やはり、人は「自分」の為より、「誰か」の為の方が力を発揮するんだなと感じました。

こういうチームは強いですね!!!

それでは「横浜高が甲子園を決めた理由」のはじまりはじまり。

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2年生が8人のチーム構成
 横浜スタジアムの一塁側スタンドに陣取る仲間たちに届け。平塚学園を3対0で撃破し、2年ぶり15度目となる夏の甲子園出場を決めたばかりの横浜高校のキャプテン、長谷川寛之外野手が場内インタビューで熱い思いをこめながら絶叫する。
 「あそこにいる、メンバーに入れなかった部員たちの思いが、自分たちの一番の強みです……」

 先発メンバーでただ一人の3年生、長谷川の声が涙で震えている。スタンドの最前列で声をからしてきた3年生たちもいっせいに目頭を押さていた。最後の夏で残念ながらベンチ入りが叶わなかった小林章太外野手が感謝の思いを込めながらつぶやいた。
 「3年生みんなで戦うんだ、とアイツは常に言ってくれた。ベンチに入る、入らないは関係ない。気持ちはいつも一緒なんです」

 県大会に臨む横浜のメンバーは、6月下旬に発表された。部員112人の大所帯から選ばれた20人のうち、3年生は10人だけ。先発メンバーには実に8人の2年生が名前を連ねた。春夏合わせて5度の全国制覇を誇る名門校の歴史において、極めて珍しい状況を68歳の名将、渡辺元智監督はこう説明した。
 「我々にはひとつの目標がある。甲子園に出場するために、勝てるチームを作っていかないといけない。決して勝利至上主義ではないですけど、実力オンリーで選手を選んでいった結果として、たまたま2年生が主体のチームになったんです」

 昨年の夏は準々決勝で松井裕樹を擁する桐光学園に屈し、秋の県大会では4回戦で平塚学園に苦杯をなめた。3季連続で甲子園出場を逃すことは許されない。32人を数える3年生部員のうち、ベンチ入りを逃した22人は最後の夏で何をすべきかを分かっていた。長谷川が感謝の思いを込めて振り返る。
「ベンチ入りメンバーが中心の練習となる中で、ベンチに入れなかった3年生がグラウンド整備やボール拾いを率先して手伝ってくれた。本当は大好きな野球を思い切りやりたいはずなのに、いっさい手を抜かずに自分たちをサポートしてくれた。本当にいいチームだと思った。なかなか勝てなかった春先は『史上で最も弱いチーム』と言われたこともあったけど、自分たちを信じよう、オレたちなら絶対に勝てると言い合ってきました」

 過去に心房細動や脳梗塞などを患った関係で、決して万全な体調ではなかった渡辺監督も「(ベンチに入れなかった)3年生がノックを手伝ってくれたんです」と頬を緩める。
 「今年は素晴らしい3年生に恵まれました。潜在能力が高い2年生が伸び伸びとプレーできる環境を作ってくれた。若いチームが一戦ごとに力をつけて、強くなっていくのが分かりました。3年生の熱い思いが優勝につながりました。本当に感無量です」

 我を捨て、チームのために何をすべきか。ベンチ入りこそ果たしたものの、控えに回った9人の3年生たちも同じ思いを抱いていた。背番号19をつけた左腕、中島侑紀は攻撃時に一塁コーチを務める一方で、ピンチを招いた時には伝令役を務める。
 平塚学園との決勝戦では二回無死一、二塁と八回一死一塁の場面でマウンドへ走り、中島が第一声を発した直後にバッテリーや内野陣が思わず吹き出す光景が繰り返された。渡辺監督のしゃべり方を、中島が腰に両手を当てて話すゼスチャーまで添えて真似ていたためだ。

 「みんなの笑いを取るのが好きで、1年生の頃から真似ていたんですけど……春の練習試合で伝令に行った時に監督にバレちゃったんです。怒られるかと思ってヒヤヒヤしていたら『それ、いいじゃないか』と言われて(笑)。監督の真似は何パターンか用意しています。今日も監督から『和ませてこい』と言われて、伝令に行きました」
 キャッチャーの高井大地は、中島の存在が頼もしくてしかたないという。
 「緊張している場面を楽にさせてくれる。3年生には本当に感謝しています。3年生を絶対に甲子園へ連れて行こう、と2年生の間でずっと誓い合っていたんです」

クリーンナップはプロの弟と監督の孫
 今大会の横浜は第3シード。下馬評は決して芳しくなかった。
 渡辺監督は守備を徹底して鍛え、守り勝つチームを念頭に置いていた。藤沢清流との2回戦、湘南学院との4回戦では思わぬ接戦を強いられている。
 左腕の伊藤将司は3回戦以降の6試合をほぼ一人で投げ抜いた。最速135kmながら打たせて取るピッチングが試合を重ねるごとに冴え、8回コールドで圧勝した東海大相模との準決勝、そして平塚学園との決勝戦では連続完封を果たした。ガッツがあり、好リードと強肩で伊藤を支える恋女房・高井との息もピッタリだった。

 サードの川口凌は堅守に加え、俊足&強打のリードオフマンとして活躍。4割を超える打率を残したセカンドの松崎建造との1・2番コンビは対戦校にプレッシャーを与えた。
 3番のセンター浅間大基と4番のショート高濱祐仁は、桐光学園との準々決勝でプロ注目の左腕、松井から豪快な一発を放ってチームを逆転勝利に導いた。高濱は千葉ロッテマリーンズの高濱卓也内野手を兄に持つ。守備と走塁を合わせた三拍子が揃った183cm、87kgの大型内野手で、来年のドラフト会議の目玉選手の一人になるはずだ。
 5番はファーストの渡辺佳明。指揮官のお孫さんである。幼少時に横浜高のエースだった松坂大輔と遊んだこともある。「横浜で野球がやりたい」という一念で注目を浴び、他の選手よりも厳しく見られることを承知の上で名門校に飛び込んた。勝負強い打撃を買われて1年秋からレギュラーを獲得したが、決勝戦はノーヒット。「個人的には満足していない」と甲子園での巻き返しを誓った。

 対戦投手によっては2番を務めることもあったライトの根本耕太は、広い守備範囲とシュアな打撃が光った。決勝戦では9番に入り、8番・伊藤のレフト線二塁打で1点を先制した直後の一死二塁から右中間を破る二塁打を一閃。貴重な2点目をチームにもたらし、川口のライト前適時打につなげた。
 8人が2年生の若いチームは、この予選で逞しく成長した。全国最多190校の激戦区を勝ち抜いた名門に甲子園での期待も高まってくる。渡辺監督は「そう甘くはないでしょう」と謙遜しながらもプライドをのぞかせる。
 「力のあるチームを倒して優勝したことは、このチームの糧になる。結果にとらわれることなく、自信を持って戦わせてあげたいですね」

 決勝前夜。小林は、ベンチに入れなかった22人の3年生全員の思いを込めて、一通のメールを長谷川に送った。
 「頑張れよ、と。さりげない言葉の中にすべての思いを込めました」
 長谷川から返ってきた文面もまたシンプルなものだった。
 「最高の応援を明日も頼むぞ」
 これ以上の言葉はいらない。献身的な3年生に引っ張られ、支えられた無限の可能性を秘めた2年生たちが、プレッシャーとは無縁とばかりに躍動する横浜の「熱い夏」は、8月8日開幕の甲子園大会から第2章に突入する。