昨夜のハプニングについて少し。
東京発の新幹線自由席で座る為に、一時間並んだ自分は何とか車両連結部分に近いニ両車の座席を確保する事が出来た。
いざ新幹線が走り出すとそこは乗車率200%を超える暑苦しい車内、トイレへ行く事もままならず勿論車内販売のお姉さんが通る事もない。
そんな密閉空間で2時間も過ごしただろうか。
人が倒れた。
「誰か、お医者さんはいませんかー!人が倒れましたー!!」
これはドラマか?と思いながらぼうっとしていると、どうも自分が座っているそばで病人が出たようだ。まさに発生。
「誰か席を譲ってください!」
若い男性の声が聞こえた。しかし、自分はそのとき反射的に「嫌だ!」と思ってしまった。
自分は新幹線で三時間座る為に一時間並んだのだ、今更立ちたくない!
こういうとき、人は自然と周りを見渡す。隣の博多へ帰るといっていた若造、通路を挟んで三人座った年齢もバラバラな男性陣。皆と一瞬、目が合った。
誰もが嫌だったのか解らない。言い出す勇気が無かったのかもしれない。
でも自分は25歳のいい大人じゃん?
些細な事では結構根深いが、開き直れば度胸で行動できるのが、あくっまの数少ない長所の一つ。
「ここどうぞ~」
このときほど、自分ののんびりした声に感謝した事が無い。普段は電話に出ると「面白い声ねえ」「ドスがきいてるわねえ」などと言われるが、少なくと緊張した車内にはよく響いたのだから。
だが、ここまで。
この後行動したことは、自分と同じか少し若い女性に席を譲った事と水を買いに行った事だけ。
若い男性が女性を抱きかかえて座らせたら、彼女の唇は紫色でかさかさになっていた。
「水をちょっと飲もうか」と言って周りを見ても、戸口付近で「あ、オレ買ってくるよ」なんて言ってくれる人もいない。仕方ないので一番込み合っているドア付近を無理矢理潜り抜け、自販機で水を買って彼女に水を飲ませた。そして少しだけハンカチを湿らせて、彼女の額に当てる。これで、やるべき事がなくなってしまったのだ。
周囲は「貧血?」「どこで降りるの?」「車掌を呼んだほうがいいんじゃない?」などと口々に言っている。勿論自分に向って言われているわけではないのは解っているが、そんなにいっぺんに聞かないでくれと言いたくなった。
とにかく(本当に)紙のように白い女性に「どこが痛い?」と聞いたら、「お腹が寒くてあとは暑い」と言うのでコートを掛けてやった。そうすると周りも次々とコートを差し出す。
そのうちに先頭車両から、四十代ぐらいの男性が颯爽と登場。右手に抱えているのはヴィトンのスピーディー!(変なところに目がいっているよ、あくっまさん!!)
どうやらその人は医者のようだった。
コートまみれの女性の腹部を触り、『最近の体調』『倒れた時はどういう状態だったのか』などを的確に聞いて、彼女をとにかく横にさせるよう指示を出す。すると通路を挟んだ三人席の男性たちは立ち上がり、彼女のベッドを作ってくれた。
その医者は残念なことにスピーディーから聴診器や注射を出してくれるわけではなかったが、倒れた女性が次の『岡山』ではなく本来の予定の『福山』で降りたいと言っているのを伝えると(岡山―福山間は15分しか離れていないので、彼女の気持ちも良く解る。地元の病院に収容された方が親も迎えに行きやすいだろう)来たときと同じように颯爽と岡山駅で降りた。
その後の15分間は、彼女の荷物を持って降りる自分ともう一人の若い女性が待機し、ほかの人々も何となく押し黙って新幹線がホームに停まるのを待った。
面白かったのは、倒れた女性を抱えた男性(イケメン)が『赤の他人』だったこと。
車掌にも医者にも「彼女の連れですか?」と何度も聞かれる度に「いや、そばにいただけです……」と顔を赤くしていた。
かくいう自分も、「今時こんなに素敵な彼氏なんて絶滅せずにいるのね!」などと感動していたのだ。
やっぱりお姫様抱っこは、永遠の憧れ。
だが、知らない女性をお姫様抱っこする、男気も◎。
そんな邪な考えもあまり続かなく。
新幹線がホームに辿り付いた瞬間、彼女の荷物を持った自分らと、同じ駅で降りる若い男性(イケメンではないが、やっぱりお姫様抱っこしたのだから男気◎)が素早く降車。救急隊員に受け渡し、全て完了。
そして自分はチェロを抱えた女性と一緒に、福山駅から在来線へと乗り換えたのだ。
新幹線の中でいたときからも考えていたが。
自分の無力さが悲しかった。
今まで色んな人に『色んな事を知っているね』と言われてきたが。
医者のように知識があるわけでもない。
腕力には自信があったが。
男性のように女性を抱きかかえられる力があるわけでもない。
自分は、何も出来ない人間だった。
しかも人が倒れても自分の欲を先に考える。なんともちっぽけな人間だったのを自覚した。
昔からいい人になりたいと思っていたけれど。
そう思えるほど自分の周りにはいい人がたくさんいたのに。
性根は腐っているし、動いても知識も何にも無いもんだし。
役に立たないのが悲しい。
でも、そう自覚しただけでもよしとする。
もしこのブログを読んでいる人で、車内で気持ちが悪くなったら。
恐れず周りの人に助けを求めてください。
それだけでも、伝えよう。
東京発の新幹線自由席で座る為に、一時間並んだ自分は何とか車両連結部分に近いニ両車の座席を確保する事が出来た。
いざ新幹線が走り出すとそこは乗車率200%を超える暑苦しい車内、トイレへ行く事もままならず勿論車内販売のお姉さんが通る事もない。
そんな密閉空間で2時間も過ごしただろうか。
人が倒れた。
「誰か、お医者さんはいませんかー!人が倒れましたー!!」
これはドラマか?と思いながらぼうっとしていると、どうも自分が座っているそばで病人が出たようだ。まさに発生。
「誰か席を譲ってください!」
若い男性の声が聞こえた。しかし、自分はそのとき反射的に「嫌だ!」と思ってしまった。
自分は新幹線で三時間座る為に一時間並んだのだ、今更立ちたくない!
こういうとき、人は自然と周りを見渡す。隣の博多へ帰るといっていた若造、通路を挟んで三人座った年齢もバラバラな男性陣。皆と一瞬、目が合った。
誰もが嫌だったのか解らない。言い出す勇気が無かったのかもしれない。
でも自分は25歳のいい大人じゃん?
些細な事では結構根深いが、開き直れば度胸で行動できるのが、あくっまの数少ない長所の一つ。
「ここどうぞ~」
このときほど、自分ののんびりした声に感謝した事が無い。普段は電話に出ると「面白い声ねえ」「ドスがきいてるわねえ」などと言われるが、少なくと緊張した車内にはよく響いたのだから。
だが、ここまで。
この後行動したことは、自分と同じか少し若い女性に席を譲った事と水を買いに行った事だけ。
若い男性が女性を抱きかかえて座らせたら、彼女の唇は紫色でかさかさになっていた。
「水をちょっと飲もうか」と言って周りを見ても、戸口付近で「あ、オレ買ってくるよ」なんて言ってくれる人もいない。仕方ないので一番込み合っているドア付近を無理矢理潜り抜け、自販機で水を買って彼女に水を飲ませた。そして少しだけハンカチを湿らせて、彼女の額に当てる。これで、やるべき事がなくなってしまったのだ。
周囲は「貧血?」「どこで降りるの?」「車掌を呼んだほうがいいんじゃない?」などと口々に言っている。勿論自分に向って言われているわけではないのは解っているが、そんなにいっぺんに聞かないでくれと言いたくなった。
とにかく(本当に)紙のように白い女性に「どこが痛い?」と聞いたら、「お腹が寒くてあとは暑い」と言うのでコートを掛けてやった。そうすると周りも次々とコートを差し出す。
そのうちに先頭車両から、四十代ぐらいの男性が颯爽と登場。右手に抱えているのはヴィトンのスピーディー!(変なところに目がいっているよ、あくっまさん!!)
どうやらその人は医者のようだった。
コートまみれの女性の腹部を触り、『最近の体調』『倒れた時はどういう状態だったのか』などを的確に聞いて、彼女をとにかく横にさせるよう指示を出す。すると通路を挟んだ三人席の男性たちは立ち上がり、彼女のベッドを作ってくれた。
その医者は残念なことにスピーディーから聴診器や注射を出してくれるわけではなかったが、倒れた女性が次の『岡山』ではなく本来の予定の『福山』で降りたいと言っているのを伝えると(岡山―福山間は15分しか離れていないので、彼女の気持ちも良く解る。地元の病院に収容された方が親も迎えに行きやすいだろう)来たときと同じように颯爽と岡山駅で降りた。
その後の15分間は、彼女の荷物を持って降りる自分ともう一人の若い女性が待機し、ほかの人々も何となく押し黙って新幹線がホームに停まるのを待った。
面白かったのは、倒れた女性を抱えた男性(イケメン)が『赤の他人』だったこと。
車掌にも医者にも「彼女の連れですか?」と何度も聞かれる度に「いや、そばにいただけです……」と顔を赤くしていた。
かくいう自分も、「今時こんなに素敵な彼氏なんて絶滅せずにいるのね!」などと感動していたのだ。
やっぱりお姫様抱っこは、永遠の憧れ。
だが、知らない女性をお姫様抱っこする、男気も◎。
そんな邪な考えもあまり続かなく。
新幹線がホームに辿り付いた瞬間、彼女の荷物を持った自分らと、同じ駅で降りる若い男性(イケメンではないが、やっぱりお姫様抱っこしたのだから男気◎)が素早く降車。救急隊員に受け渡し、全て完了。
そして自分はチェロを抱えた女性と一緒に、福山駅から在来線へと乗り換えたのだ。
新幹線の中でいたときからも考えていたが。
自分の無力さが悲しかった。
今まで色んな人に『色んな事を知っているね』と言われてきたが。
医者のように知識があるわけでもない。
腕力には自信があったが。
男性のように女性を抱きかかえられる力があるわけでもない。
自分は、何も出来ない人間だった。
しかも人が倒れても自分の欲を先に考える。なんともちっぽけな人間だったのを自覚した。
昔からいい人になりたいと思っていたけれど。
そう思えるほど自分の周りにはいい人がたくさんいたのに。
性根は腐っているし、動いても知識も何にも無いもんだし。
役に立たないのが悲しい。
でも、そう自覚しただけでもよしとする。
もしこのブログを読んでいる人で、車内で気持ちが悪くなったら。
恐れず周りの人に助けを求めてください。
それだけでも、伝えよう。