横スカッとジャンパーズ

徒然なる侭に、主にマリノスと日常をくっちゃべります。毒にも薬にもなりません!

君達が軟弱すぎるっ!

2007年05月30日 11時06分40秒 | Weblog
東京では、この二日間雨が降る予報だ。
自転車でジムに通っている、あくっまさん。週一ジム(アーチェリーと合わせて週二運動)の習慣は崩したくないので、胃炎を思いやりつつもジムに向かった。


勿論体調を気遣っての軽めの調整だ。
普段より軽い負荷、スピードも落としでやっていた。
あくっまさんの通っているジムは区のスポーツセンターなので、フィットネスジムと比べると器具は古くて少ないが、安価なのが最大最強の利点だ。だからだろう、近所のおばちゃんや、仕事帰りのおじちゃん、お金のない学生が主に利用している。


そんな中、昨夜は騒がしい先客がいた。
金髪ホスト風、アキバ風、平凡な学生らしい三人組だ。最近ネジの外れた学生と触れ合う事も多いあくっまさんは、周りを省みない騒がしさに閉口しつつも、自分のペースでマシンを使おうとしたのだが…。


彼等はあまりに体力が無かった!
無いのに三人同時でマシンを占拠し、へばり、マシンの椅子で休んで暫くたったらまた再開。他のマシン利用者があくっまさんと男性一人だけだったから混雑しなかったものの、譲り合い精神がないのか!


と思いつつも、若いので目の保養♪と逆転の発想をする、あくっまさん。

彼等がヒーコラ言って空いたマシンに座り、自分が使う負荷に直してトレーニング開始。
すると突然彼等は集まり、あくっまさんの事を指差した。




失礼なっ!




黙々とマシンを動かすあくっまさんの耳に、彼等なりの潜めた声が届く。


「あいつ、スゲー」
「俺らやばくない?」



さすがに振り向き、使用中の彼等のマシンのウェイトを見る。彼等のウェイトは、あくっまさんより少なかった…。



冷静を装いつつ心の中は大嵐。
何故?どうして??そして先程までホスト風が使っていた胸筋を鍛えるマシンに座った。
三人の視線を感じつつ、ウェイトを動かす。そう、先程彼等がヒーヒー言っていたウェイトに。


一通りマシンを回り、何故かそそくさと逃げ出すようにマシンコーナーを後にした、あくっまさん。


もっと大きなジムならあくっまさんと同じか、それ以上の負荷をかけている女性はいるのに…むしろ男性なんて遠く及ばないのに。


だから、あくっまさんをそんな化け物を見る目付きで見るな!

マリノスは好きだ

2007年05月27日 23時45分04秒 | Weblog
でも、早野は嫌いだ。


今日はBS-iで横浜Fマリノス対浦和レッズの試合を生放送した。

今夜、明日と老人ホームから帰省する祖父と、介護する母と一緒に寝起きする、あくっまさん。夕方までの妙に空いた時間を、久々にkickoffからテレビ観戦。

クラブの指導やら様々なイベントで週末が潰れまくった半年だったが、トリコロールの戦士達は疲弊したあくっまさんの心に火を点けてくれるような働きをした。



山瀬兄は、本当に攻守に渡って献身的で、弾丸シュートは恰好よかった。
それ以外にも独特なリズムのドリブルから繰り出す中央突破は、見ていて気持ちいい!



サカティは落武者ルックが板について恐いが、相変わらず半回転してのシュートは素敵。
今日の坂田は、サンキューサカタ!


中澤は相変わらず堂々とした守備で、ワールドカップ後の疲弊しきった姿とは掛け離れていた。



ハユマはハユマだった。


上野はクリーンなボール奪取と周囲を落ち着かせてからのパスという、年長者らしく周りをコントロールしていた。
落ち着かせが場合によっては攻撃へのモタつきに思える時もあるが、今日レッズと対するにあたっては、よく作用した。

河合は対浦和戦要員として十二分に頑張った。河合の守備力は素敵。


那須は前試合の酷さを感じさせないような、彼の持ち味をよく見せていた。
個人的に那須はボランチがいい!


勇蔵さんは対ワシントン兵器として頑張った。


榎本哲也は神がかっていた。失点シーンは中澤と河合がもつれて転んだので、二人が悪い。




こんな感じで一対一だったが、愉しい試合だった。生で見たかった!




不満を一つだけあげてもいいなら。

何故松田を出さないんだー!

今そこにある危機

2007年05月23日 00時13分28秒 | Weblog
先週の土曜、母校の二年生達は代表者会議に初めて出席するので練習はしないと連絡がきた。

それは構わないのだが、代会連絡を受けた月の人(日記には久々登場だが、彼女は常にあくっまさんを悩ませている)は、Sちゃんに代会があるから出席しようと説明→
でも自分は授業だから彼女一人で出席するもんだと一人納得→
初めての代表者会議なんだから二人で出席だと思い込んでいたOGとSちゃんは「練習はありません、自分は授業があるから代会は出ません」とメールがきて動揺→
「…初めての会議にSちゃんは一人で出席するのを理解しているようには思えないけど、ちゃんと確認出来てる?むしろ、授業終わって二時間も後に始まる会議に自分は出ないって…可哀相だろ!」という内容をメールする→
翌日話し合ったらしく、二人で出席とメール→
しかしあくっまさんがネットで見た代会会場と彼女の言う事が違う→
麻疹で上智大学が休校になったかららしいが、知らない二年生達→
慌てて連絡する、あくっまさん→
無事代会出席。



今回は、色々引っ掛かる所のある月の人達の話ではなく、麻疹の話。


なんと。
このたび。
あくっま家の隣の大学も麻疹で休校。





ギャー!

セラピー

2007年05月17日 12時01分09秒 | 雑記
以前も書いた、社内セクハラ。
思い切ってあくっまさんも行動に出た。
……と言っても、会社が委託した企業セラピストへの相談だ。
社内で言えない悩みを扱ってくれるらしい。社員の家族も利用するというので、あ
くっまさんも社内でのセクハラや今後のことについてをメールしてみた。


以下が抜粋。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あくっまさんや、他の女性の同僚の方がされた言動については、
確かにセクハラといってもよいものばかりだと思われます。

このような言動に対して、あくっまさん自身も「嫌です」とはっきり
断ったり、上司の方に紙面で訴えたことがあるのですね。
そのため、直接あくっまさんに言ってくることはなくなったそうですが、
他の女性社員に言っているのが耳に入ってくるのも、直接言われる
のと同様に、非常に不快なことだとお察し致します。

今の会社で2年間働いていらっしゃるそうですが、このような状況
の中で働いていらっしゃったというのは、とても大変なことだった
だろうと想像致します。

他の女性社員の方は、強く拒否できない状況とのこと。
同じ社内でのことなので、利害関係もあり、拒否をするのも勇気が
いることだと思います。
人によっては、拒否をしたくても、その後のことを考えると怖くて
断れないという人もいるのではないでしょうか?

また、ハラスメントを慢性的に受け続けることは非常にストレスフル
なことです。
人間は慢性的なストレス環境におかれ、その状況が自己の努力によって
改善されないと分かると、その状況に適応するために、感覚の麻痺
が起こったり、無力感を感じるようになります。
そのため、最初は嫌だと感じていても、だんだんと麻痺してしまって、
その状況が問題だということすら、感じなくなってしまうことがあります。
そして、「どうせ変わらないのだから」と抵抗する気力もなくなって
しまうのです。

ですから、あくっまさんが異常な感性を持っていて、神経質なのではなく、
他の方は、慢性的にセクハラを受け続けたことで、拒否できなくなって
しまっていると考えた方が妥当ではないでしょうか?

あくっまさん自身も改善のために、上司の方に訴えるなど、ご自身で
できる限りの努力をされたのですね。
にもかかわらず、状況は変わらないそうで、嫌気がさしてしまうという
のも、無理もないことだと思います。

あくっまさんとしては、転職を見据えて、資格を取得すべく勉強をされている
とのこと。
ご自身の今後について、そのように建設的に考え、前向きにエネルギー
を使われることは、とても素晴らしいことだと思います。

「他の企業でもこのようなセクハラが日常的に行われているのでしょうか?」
とのご質問ですが、残念ながら、弊社の相談室にもセクハラのご相談は
多数寄せられます。
企業の社員の方向けにハラスメント研修も行っておりますが、現状では、
まだまだ認識不足の方や、職場があるように思います。

あくっまさんがおっしゃるように、一人の認識だけで、会社を動かすのは難しい
ように思われます。
できれば、複数で、上司の方やハラスメントの相談窓口などにご相談される
と良いのではないでしょうか?
また、その際には、いつ、どこで、誰から、どのように言われたかについて
記録を取り、それを目撃していた人がいたら、一緒に証言をしてもらうと
良いと思います。

もしもご希望であれば、弊社より、御社の担当窓口の方へご相談することも
可能です。
その際、お名前や地域を匿名にして、誰からの相談か分からないような形で
お話を持っていくことも可能ですが、いかがでしょうか?

こちらとしては、あくっまさんの状況が少しでも改善するために、できる限りの
お手伝いをさせて頂きたいと思っております。
あくっまさんのご希望に沿う形でサポートして参りたいと思いますので、ご要望
などがございましたら、おっしゃって下さい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

実は親戚の病気の件で相談したこともあるのだが、その時とはえらく違う丁寧さだ。
企業セラピストとしては、やはりこういう問題の方がよく扱われるので、慣れている
のだろう。

あくっまさんは社内の相談窓口への連絡だけは控えてくれ、というのを書いた。
なぜなら相談窓口は、あくっまさんの上司がやっているからだ。すぐに相談者が特定されてしまうだろう。
…既に訴えている実績はあるのだから。



「あくっまさんの状況を書いたメールから、マイナスをプラスにもっていくエネルギーを感じる」

と励ましをもらい、「あれ、意外と元気そうな印象を受けたのかな」と可笑しく思いつつ、今回の相談を終えた。
誰かに言うというのはスッキリするし、やはり冷静になる。

日常的でもセクハラの記録を取ろうと思う。





ほんの小さな一歩だが、もし社内に問題がある人は、外部機関に相談するというのも一つの手だと思われる。
もしこの日記を読み社内のゴタゴタで悩んでいる身に覚えのある人は、こういうものを利用したらこういう結果になる、と分かっていただけただろうか。


あくっまさんが今後どうするかは自分の中で決めてしまっているので(転職する)、あまり参考にはならないかもしれないが、問題を客観視する一つのきっかけになるかもしれない。

転職を思い至る別の理由

2007年05月12日 00時26分30秒 | 雑記
はあ、すっきりした。
なんて昨夜は思っていたのだが。
思いのほか、皆様にご心配をおかけしてしまったようで申し訳ない。

何人かは、あくっまさんの会社の事情をご存知の方もいらっしゃると思うが、何せあくっまさんも皆様も社会人。
久方お会いしていらっしゃらない方、お会いしても他のお喋りに夢中で、あくっまさんの事情をご存じない方も大勢いらっしゃる。

というわけで、先日書いたあくっまさんの転職事情・別バージョンを書き綴ってみる。
お目汚しをば、失礼。と、先に謝ってみる。





転職については、うちの会社が去年より売り上げが8パーセント以上(!)落ち込み、来年は更なる悪化が見込まれるのが理由の一つにある。
勤めている会社は高速道路業界でして、民営化に伴う斜陽の産業……というので察しがつくと思われる(苦笑)





会社が潰れる前に脱出しなきゃ!という考えは以前からあったのだが、官のお役所体質は低給料でも思いのほか居心地がよく、責任も求められない職場は「このままでもいいのかな」という気持ちにも何度かなった。
実際に今の会社で女性社員が求められるのは、『結婚までの腰掛』。
いつ結婚するのか、それはよく聞かれる。あくっまさんは26歳なのだが、一つ年上の女性社員を「お局」と呼んでいる男性社員も何人かいて、「早く結婚しないと若いのが入らない」と聞こえよがしに言っている現場を見てきた。
そして結婚して出産した女性社員もいたが、支店の閑職へ職場復帰させられるのも見た。
それでもいいと納得してお小遣い程度の仕事をするのも、また一つの道なのかとは思う。


以前から色んな知人の転職劇を見ても、「この会社が嫌だ!」という理由で辞めても後が続かないのは分かっていたので、せめて何か資格でも取って、ステップアップの転職をして次に進もうと考えていた。
その為に、社労士の資格がほしいなあと思っていた矢先に、「唯一人アーチャーとして現役でやっているあくっまさん」に大学クラブでの指導というボランティアの話が舞い込んできた。
先輩方の無言の圧力に屈しているのがいけないのかもしれない。が、ステップアップの目処が立たないまま半年が過ぎた。





転職キャリアアドバイザーの友人の話や転職サイトでの求人票を見ていると、28歳を過ぎると女性事務職員の求人数は落ち込む。
28歳以下という「若さ」というキャリアを持って転職するのか、「資格」というキャリアを持って転職するのか、資格試験三ヶ月前にして迷っていた。
さすがに合格率8パーセントの試験だから、今年は諦めるしか無いと思っているが、来年の八月以降をどうするかという判断がつかなかった。

8ヶ月前のプランでは「2007年8月に資格受験→合格→2008年転職」だったがそれが崩れた今は、転職するのを諦めるのか。
本当に資格がないと、ステップアップの転職はできないのか。
このまま会社と臨終をともにしてしまうのか(笑)




そんな時に、時計が壊れた。












そしてボロボロ泣きながら会社の事を思い出すと、本当の問題はもっと「瑣末で生理的な感覚」だったのに気付いた。




今日の日記でも、昨日の日記でも、以前の日記でも度々出てくる問題。


笑ってくれ。
一般的に「セクシャルハラスメント」と言われるものだ。



何故一般的なんて書き方になったのか。
それは会社で「セクハラなんて言葉が出来たから、今までやってきたことがセクハラと呼ばれるようになった。それまでセクハラなんて無かった」と言われたからだ。

だから他の会社ではセクハラにあたるものも、あくっまさんの会社では「セクハラ」とみなされない。
当然の行為、古い慣習であり、それに目くじらを立てるあくっまさんは異端なのだ。


同じ年代の女性社員はあくっまさん以外に三人いるが、皆気にしない。気にしても、何も言わない。
理由は「馬鹿らしい」「面倒くさい」「否定するより、その場を受け流したほうが楽」だからだ。
よって、あくっまさんしかセクハラと認識しない。
セクハラが認識によって生まれるのなら、たった一人の認識でもそれを尊重するのが社会だろう。
しかし社会転じて会社というものが、個人を守るのは難しい。
特に旧社会の体質だと、大多数の認識に流される。



「女の酌がないとつまらないから飲み会に行け」といわれるのも。
肩を抱かれながらカラオケのデュエットをされるのも。
肘で胸をつつかれるのも。
セクシーな服を着ろと言われるのも。
女らしい格好が良いと言われるのも。
札束を胸元に入れろと言われるのも。
胸をもませろと言われるのも。
仕事中両肩に手を置かれるのも。
間近で顔を覗き込まれるのも。
髪を撫でられるのも。
頬をつつかれるのも。
業務中にピンサロ嬢のサービスの話をされるのも。
リア・ディゾンと何をしたいか話しかけられるのも。
アイドルの水着姿のポストカードを机に飾られるのも。
飲みながら集団プレイの話をされるのも。
手を撫でられるのも。
手を握られるのも。
顎を掴まれるのも。
耳たぶをつままれるのも。
笑って注意しない上司も。
おしぼりを胸元に入れられるのも。
スリーサイズの話をされるのも。
妊娠の話や処女の話をされるのも。
潔癖すぎるからレズビアンじゃないかと疑われるのも。
スカートを捲られるのも。
腰を抱かれるのも。
「こんなのどこの会社もやっている」と言われるのも。
退職金が女性と男性とでは、同じ仕事をしても一千万以上違うのも。




もう、自分がやられるだけではなく、他の女性社員が強要されるのを見るのも嫌になった。
自分がそういうのをされそうになったら断れば良い、しかし他の女性社員は強く断らないのだから、嫌でも目に入る。
それを受け流す余裕が、無くなった。


いや、それに慣れてしまう自分が怖かった。
自分の親が持っている精神的な気高さが、自分から失われ、体や心が汚れていくように思えた。




こんなのを理由に転職をしたくない。
資格さえ取れれば、耐えてきた三年間に理由が出来る。
しかしそれが難しい今、合格するまであと数年待つ必要があるのか。


そこまで考えてみて。
来年八月の試験を目処に、この会社を離れてみようと思った。
資格は今年の九月から学校に通って勉強すれば良い。もう六月を最後に、クラブとは決別するつもりなので、週末は空くからだ。

だが精神的な価値をこれ以上落とすのは、もう耐えられない。







きっとこの日記を読んだ方は「そんな理由で!」と思うかもしれない。
たしかに低給料とはいえど趣味に費やす時間がある今の職場は、キャリア志向ではないあくっまさんも気に入っている。
しかし、生理的に受け付けなくなってきてしまった。




ああ、本当に。
他人から見たらさぞかし馬鹿らしい理由だろう。
少なくとも周囲の人間で、セクハラを理由に転職する人はいないのだから。
これをセクハラというには、あくっまさんは神経質すぎるのかもしれない。
しかし、もう職場の男性社員のうちの幾人かが、生理的嫌悪感しか沸かない。
特に隣にいる同じ年齢の同僚が、気持ち悪い。









ちょっと叫ばせてもらう。




「ピンクサロンとデリヘルとキャバクラが好きでも、仕事中にその内容の話をするな!!!!!
彼女とキスしているプリクラを机の中に入れて自慢するな!!!!!」




……嗚呼、ひどく自分が低俗になったようだ。
これが転職の一番大きな理由なんて馬鹿らしいが、彼以外の男性社員とも、あまり仕事を共にしたくない。
やっぱり来年までしか仕事は続けられない。

五年間の値段

2007年05月11日 01時30分38秒 | 雑記
時差ボケのあくっまさんが床についていた時間、6時間。

その間に悩んだ時間、6時間。



環境を変えると価値観が変わるのはよくある話だ。
あくっまさんも何度か体験している。
18歳までのあくっまさんは、環境が変わるごとに内に内にへと意識が入った。

大学に行ったあくっまさんは、女子の園七年目だったが、適度な責任と運動により、意識が外へ外へと向かった。
そしてそのまま、就職した。

就職してからのあくっまさんは、営業職の苦い一面を見てはたじろぎ、体の不都合を見つけては落ち込むなど、一時的な内への傾向はあったものの、概ね外を向いているように他者からは見えたようだ。

あくっまさんもそう思っていた。




西欧諸国を巡る、クラブからも仕事からも離れた長期休暇。
それは18歳以降のあくっまさんを作ったもの達から解き放たれたという事でもあり、あくっまさんという「日本人」と書かれた洋服しか着ていない価値の中に、身を置く事でもあった。

団体客の中にも、あくっま家がどんな家族なのかわかる人もいない。勿論あくっまさんがどんな人間か分かる人もいない。
そんな中にいて、あくっまさんは知らない人に国内外問わず話し掛けている事に気付いた。
知らない日本人に話しかけるのは日本でもよくやっているが、拙い英語で店員やホテルの人と話していた事を思い出し、その夜あくっまさんは自分が根本的に変わってしまったことを知った。


大学やアーチェリーに関わった人々、出来事があくっまさんを変えたのだったら、本当に感謝したい。
そして、18歳までの自分に教えてあげたかった。
中学一年生の二度目の試験から一度も欠かさず、英語は全て追試を受けてきた。
あの惨めな六年間で英語は大嫌いになった。
でも本当に大切なのは英語の文法と発音ではなく、積極性なのだ。
さあ、今からでも遅くない。
語学学校へ行って留学しよう、そして自分をもっと変えるのだ!!!!!










……なんていう事で悩んではいなかった。
さすがにあくっまさんも、そんなに単細胞ではない。


残念ながら、ツアー旅行へ行ったことぐらいでそこまで外国に対する憧れは持てなかった。
素敵な町並みや珍しい食べ物には楽しませてもらったが、旅行という異次元空間がなせる事で、それはドイツだろうが京都だろうが同じ事だ。
ただ、長い間いままで自分を形作った価値観から解放され、一個人としてぼんやりと外の風景を見ていると。
胸の中でもやもやした不安が浮かんできた。


時々やってくる不安症は、生きている間中悩まされるだろう。
それは誰もが同じだ。
あくっまさんも夜になると度々不安に襲われる。しかし、昼間に訪れたのは、久しぶりだった。
昼間に不安に襲われたのは、学生の時の就職活動のときだろうか。
あの時は、幻聴まであった。
扉の閉まる音だ。



だが五年前ほどの明確な不安(言葉として相反しておかしいのだが)はなく、薄闇のようなぼんやりとした不安が旅行初日のバスの車窓から感じられた。
きっと『兄のスカイライナー遅刻事件』が尾を引いているのだろう、そう結論付けて思考の流れを断ち切ったが、窓の外に広がる鮮やかな菜の花の黄色と、レンガ造りのおとぎ話に出てくる家を見ながら、田舎に対する郷愁を覚えた。
そういえば、昔からあくっまさんは郊外に住んでいた。
今の都心はうるさすぎる。
そうだ、東京に帰ったら静かなところで暮らそう。








……なんて牧歌的なものに対する憧れは抱けなかった。
広島のド田舎で、あくっまさんはつくづく嫌になっていたからだ。
もちろん空気の綺麗なところは好きで、東京に越して一ヶ月は智恵子抄・阿武隈山の「東京には空がないと智恵子は言う…」を繰り返し呟いていた。
しかし8日間で田舎へ原点回帰するほどの感銘は受けなかった。
大体あくっまさんは小さな頃から、イソップの「都会のネズミと田舎のネズミ」を何度も読んでも、「都会のネズミ」に憧れる口だ。


ただ不安だけ胸に収めたまま、時差ボケの夜を迎えた。
そしてその日は、お土産を分けながら余った13ユーロを銀行の袋へ入れて、どうして使い切らなかったのか後悔した。
前回の卒業旅行では、270ユーロを残していた。しかしそれは友人と、「次いったときに使おうね」と言ったものだ。
そしてユーロ高の今回の旅行では大いに役立った。
しかし中途半端な13ユーロ。
免税ショップで酒瓶を持ちながら「これを会社のお土産にするかな」と一瞬迷いながら、間際になって戻したのを思い出した。

その時、あくっまさんの中で結論が出たのだ。
「もうこれ以上、会社にお金を使いたくない」



パリでの結論が、何故かその日の夜まで引きずっていた。
兄が会社の人たちの為に有名店のマカロンを買うのを見ながら、あくっまさんは出来なかった。
お金が無かったわけではない。したくなかった。だからあくっまさんは、中途半端に安い菓子をいくつも買ってきた。
もたついた気持ちのまま。
ゴールデンウィークが終わったら、皆お土産を買ってくる。だが役職のついた人たちが買ってくるお土産は、どうせ後から領収書が経費として回ってくるのを知っていたからだ。


お土産の山を片しながら、あくっまさんは自分の為に買ったお土産を手にした。
それはSwatchの腕時計だった。





卒業旅行の時に、あくっまさんはベネチアングラスの腕時計を買った。
それはあくっまさんが初めて買った時計で、就職した自分用にと思って買った時計だった。
見た人からは「あくっまさんらしいね」と言われ、自分でも「自分らしい」と思うような、派手な時計だった。
その旅では一番高価な買い物で、81ユーロしたのを今でも覚えている。


しかしその時計は、購入して三年経ったある日、文字盤に突然ひびが入った。
今の会社の社内を歩いている時、何かの拍子でロッカーに腕をぶつけた瞬間だった。今まで何度もそうやって物にぶつけた事はあるが、その時は簡単に文字盤に割れ目が走った。

それでもあくっまさんは、その腕時計をはめ続けた。文字盤のひびは細かくなり、去年の末には欠け落ちた破片で足の裏を薄く切る事もあった。それでも文字盤にセロファンテープを貼り、あくっまさんは使い続けた。

今年に入り、腕時計のベルト部分が抜け落ちるようになった。そしてこの旅行中に、とうとうバスの中で崩壊してしまった。何度付け直しても、ベルトは抜け落ち、腕から時計が床に落ちる。あくっまさんは腕時計をつけるのを諦め、帰りの免税店でSwatchの腕時計を買った。



そんな経緯で買った腕時計を眺めながら、あくっまさんは箱から出して腕にはめた。前の腕時計と同じようなブレスレットタイプで、まんざらでもなかった。
しかし、その時それを嵌めたまま出社した光景を思い浮かべた。



まず女性社員に新しい時計を買った経緯を話さなければならない。
GWの高い期間に旅行へいった事、腕時計を買った事、色々尋ねられるだろう。
最後は「やっぱりね」という言葉で締めくくられる。
あくっまさんは、腕時計を箱にしまった。そして部屋の奥に転がっている、昔ビンゴで当てたG-SHOCKを探して通勤用の鞄に入れた。


あくっまさんは金銭的に困らないほど恵まれているとは思うが、何故だか会社では「お嬢さん」のレッテルを貼られる。
何故か分からない。お嬢さんと言われるのは悪い事ではないが、その言葉に意地の悪さが隠れている。
自分以外の女性社員に対するセクハラが嫌だと上司に向かって言うからだろうか?
業務中の卑猥な言葉は嫌だと同僚に怒るからだろうか?
ピンサロの指名カードを目に見えるように飾ってあったのを、シュレッダーに掛けたから?
怒りのオーラを出すから?
御菓子を買ったり作ったりして振舞うから?
「大切にされた、世間知らずのお嬢さん」



眠れない六時間、あくっまさんは旅の事を思い出す。
すると不安も甦る。
新しく買った腕時計の値段を思い出す。
45ユーロ。
不意にあくっまさんは涙が出てきた。




四年前は81ユーロ。
今は45ユーロ。





あくっまさんの価値が、半分になってしまったような気がしたのだ。
就職前にベネチアングラスの腕時計を買った時は81ユーロあったのに、今は暴落したようだった。
そう考えると涙がボロボロ出てきて、止まらなかった。





暫く真っ暗な部屋の中で泣いて、泣き疲れると落ち着いた。
もう、結論は出ていたのに気付いたのだ。
二年前、今の会社に入って半年もすると文字盤が割れた。
それでも「就職祝いに買った大切な腕時計なのだから」と使い続けた。
怪我をしても使い続けた。
そして最後に、時計は自分から崩れてしまった。





きっかけは何でも良かったのかもしれない。
もう、無理はやめようと思った。
クラブを理由に勉強しなかったのも、資格を理由に先延ばしにするのもいけないと思った。
自分の精神的な価値を落としてまで、今のぬるま湯にい続けつ必要はない。
この会社を辞めようと、あくっまさんは思った。




自分の値段は落ちてしまったかもしれないが。
五年間のあいだに刻んだ時間は、何も無かったとは思わない。
そうだと信じている。

どんだけー!!

2007年05月08日 23時19分42秒 | 雑記
帰国してからはや二日。
その間に起きた事。


帰国した5日の夜。
非常に眠かった。しかし我慢して、普段と同じく0時に就寝
その間、普段は6時間睡眠の己の力を過信し、アラームセットをしなかった。

それが、全ての間違いだった…。


6日、起床。
13時。


ちょっ!!!!!
これが時差ボケか!




しかも頭が痛い。
こ、これも時差ボケの症状か…と思いつつ横になって、ふと異臭に気付く。
なんと、勉強机の上に零れた除光液(シンナー)が。
どうやら出国前に落としたマニキュアのプラスチック瓶が偶然ひび割れ、そのまま揮発、部屋一杯に充満したらしい。
そして8日間部屋は密閉されいい塩梅で濃度が高くなったところで、疲労でぐったりしたあくっまさんは13時間も寝てしまったのだ。



ぐはー!!!




頭がゴンゴンする中、あくっまさんは窓という窓を開け(兄は「俺の部屋のドアは閉めておこう、流れてくるから」と冷静に対処した)、なんとか匂いの薄くなる室内。


時差ボケとシンナーによる気だるさで何度か眠りに落ちそうになるが、必死に堪える、あくっまさん。そして0時になり、横になった。





しかし、眠れない。
部屋を暗くしても、眠れない。
目を疲れさせようとニンテンドーDS『逆転裁判4』をやっても、1話クリアしてしまうぐらい眠れない。
旅行の事を思い出しながら脳みそを疲れさせようとしても、3日目にホテルの夕飯まで思い出し、馬鹿馬鹿しくなってやめた。
色々旅の思い出やこれからのことを考え、泣いても眠れない。

眠れない。




そのまま朝のアラームが鳴った。
勿論7日は、仕事だ。








結局あくっまさんは、究極の時差ボケ解消法を行った。
それは、『丸一日起きて次の日の夜寝る』という、非常にシンプル且つ過酷な物だった。







結局昨日あくっまさんが寝たのは、0時。
実に36時間起きていた。