本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

初公開!明智光秀家中法度

2013年08月26日 | 歴史捜査レポート
 福知山の御霊神社に伝わる明智光秀家中軍法はよく知られたものです。この軍法は本能寺の変のちょうど1年前の天正九年六月二日に制定されていることでも注目されています。
 ところが、その半年後の十二月四日に「家中法度」を制定したことはあまり知られていません。毛利家に伝わるものとして山口県民俗資料館にひっそりと所蔵されています。
 最近になって、これと全く同じ内容・日付のものが近江(滋賀県)の山田家に伝存していることがわかりました。山田家は土岐一族に匿われた光秀の子の子孫と伝わる家系で、いくつかの物品とともに、この「定め書き」も長らく門外不出で公開していなかったものです。それが上の写真です。今般、所蔵者より特別の御許可をいただいて公開いたします。

 意訳すると次のような内容です。
 定家中法度
一 織田家の宿老や馬廻衆に途中で挨拶をする時は見かけたら、その場の片方へ寄り、丁寧にかしこまってお通し申しあげること
一 坂本丹波を往復する者は京へは紫野より白河を通って上り、京からは汁谷(しるたに)大津越えで下るべし。(注:京市中を迂回せよとの意味)
 京都での用事には人をつかわしてしっかり調べること。また自分が京都にいなくてはならない事情があるならば説明すること
一 用事など申し付けた召使などの者が洛中で騎乗することを禁止する
一 洛中洛外での遊興見物は禁止する
一 道路に於いて他家の衆とにわかに口論する者は理非によらず成敗を加えるべし。但し考えが及ばない成り行きに至っては、その場で一命をかけて解決すべし
 右の趣旨は御座所や領地に程近いので、並々ならずに考えること。万一思いがけないことが起きた時は悔やむことができない。若党や下人以下の面々にも一層のこと堅く申し付けるべし。若し違反の者にはただちに罰を与えるべし。八幡宮がご覧になっているので許すべきにあらず。

 丹波と近江坂本を往来する家臣が織田家中で無用な騒動を起こさないように厳しく通達していることがわかります。実に細やかに神経を使って、具体的な指示を行っています。このような人物が六か月後に「恨み、野望、そそのかされて、面目がつぶれた、出世の見込みがなくなった、発作的に」といった新聞の三面記事に書かれるような次元で謀反を起こすと思いますか。
 本能寺の変研究者には一刻も早く「三面記事史観」から脱却していただきたいものです。
 なお、毛利家に同一内容の家中法度が伝わるということは、光秀滅亡後に逃れて毛利家に匿われた明智一族がいたことを示していると考えられます。  

 
【文庫】 本能寺の変 431年目の真実
明智 憲三郎
文芸社

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3 コメント

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Unknown (s)
2013-08-26 15:12:40
 来年の大河は落語家の春風亭小朝が明智光秀役をやるそうですね。 よくある常識人で保守的な光秀になる気がします。 主人公が官兵衛だから変の黒幕は秀吉や官兵衛になるんじゃないかなと思いますが、明智さんはどう思われますか。
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あいも変わらず (明智憲三郎)
2013-08-26 21:46:22
 あいも変わらず、軍記物依存の三面記事史観に付き合わされるだけではないでしょうか。つまり、素材は軍記物という面白おかしく書かれた物語、動機の次元は新聞の三面記事の事件のレベルの「恨み、野望、そそのかし、面目潰れ、出世の見込みなし、発作的、、、、」。もうたくさんですが、sさんはどうお考えですか?そんなもので、政治が動いていたのでしょうか?秀吉にだまされるのも、そろそろいい加減にしてはどうかと思います。http://blog.goo.ne.jp/akechikenzaburotekisekai/e/c7353d2439f3373f05217daeef432536
http://blog.goo.ne.jp/akechikenzaburotekisekai/e/0709082b340911d85ba358da961d79f2
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Unknown (s)
2013-09-02 17:28:15
明智さんの仰る様に自分の一族や家臣の未来を案じて変を起こすというのは割りと昔からあったような気がします。  光秀の配役は落語家の人よりも従来の光秀像とは異なる眼光が鋭くて狡猾な雰囲気の人にやって貰いたいですね。 比叡山焼き討ちを渋い顔で眺めるのではなく史実の様に信長に焼き討ちを進言し忠実に実行したり荘園を横領したりする光秀を見てみたいです。それでいて家族や家臣思いとなれば多くの人が光秀を見直すのではないでしょうか。
  秀吉が三好をそそのかして信長に四国を攻めさせるようにするというストーリーになると思いますが。
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