夕日が海を黄金色に染めることもなく、雲間に隠れうっすらと海面に白い光の帯ができる。
太陽がグッドバイとでもいうように沈むと、やがて風景が青みを帯びてくる。
並んでいた三脚の列も減っていき、今度どこかでお会いしましょうとカメラマン同士の挨拶が聞こえる。
オレは暗闇に目を慣らしながらひたすら待ち続ける。
水を張った棚田の間をぬうように走る農道に車が現れることを念じて待つ。
日が沈むと寒さが増してくる。そこは学習能力ができているので、持参してきた薄手のダウンを着こむ。
田植えが始まったので車が通るだろうと、淡い期待を抱きながらひたすら待つ。
この日は、日が沈んでしばらくすると、ヘッドライトを灯し車が走ってくれた。
1時間ほど待っても車が通らないことも幾たびあったことか、この日はラッキーな日だった。