しばらく待っていると、よちよち歩きの子供の手を引きながら親子が坂道を下ってきた。
「すみませんと後ろ姿を撮らせてもらっていいですか」と、声をかけて坂道を下ってもらった。
本当はもう少し坂道を、下ってもらったほうがよかったのかもしれないが
坊やが私のことが気になったのか、振り向いて動かなくなってしまった。
三脚にカメラを据えてそれからしばらく待ってみた。
ファインダーを覗きながら、女性が坂道を下ってきた。
坂道を下ったあたりにピントを合わせていたのだが、その女性は少し傾いたのり面に足を置きファインダーを覗いていた。
美しい紅梅に気をとられ、小石に足を乗せバランスを崩した。
すってころりと尻餅をついてしまった、ついついシャッターを押した。
その後女性は何事もなかったかのように、ジーパンのお尻の辺りを払って下って行った。
やはり、賑やかな景色には賑やかな人の物語が似合っている。