あいらのひみつ箱

2006年の年明けとともにジュリーに堕ちました。日の浅いファンが 勝手な思いを書き連ねるゆるいブログです。

美しき愛の掟

2009-11-23 01:58:01 | TGシングルレビュー

A.美しき愛の掟
作詞:なかにし礼/作曲:村井邦彦/編曲:村井邦彦
B.風は知らない
作詞:岩谷時子/作曲:村井邦彦/編曲:村井邦彦
(1969年3月25日発売)


さて、1ヶ月ぶりにタイガースのシングルを取り上げますわ~。
今日のお題は、「特に好き」という方も多いと思われる、AB両面とも、ひときわ魅力的なこの一枚
でございます。
これ、トッポ脱退後初めてのシングルだそうで、そういえば、映画『ハーイ!ロンドン』の中で、
シローさんも、白いスーツを着て、タンバリンしゃかしゃかしてましたねー。
他のメンバーは白スーツなのに、じゅりだけスケスケブラウスで、初めてスクリーンで見た時は
思わず鼻血ブー・・・・ってその話はおいといて。
数字的には、オリコン4位のレコード売り上げ27万枚だそうです。
メンバーチェンジなどでワラワラしつつも、さすが、数字はしっかり残してるようでした。
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【美しき愛の掟】
なんと言っても、なかにし礼さんの作詞が圧巻。
「つながれても、そしられてもかまわない、獄死上等!」という、見ようによってはヤバイ感じの、
すさまじい恋愛ソング。
悲痛な表情で熱唱するじゅりの姿や歌声からは、被虐的な喜びさえ感じられる・・・・・・
などと思うのは気のせいでしょうか。
いきなり♪重い罪をおかし♪と始まり、ものすごい障害が立ちはだかる恋愛であることを力技で宣言。
さらに2番では♪君が死んだときは・・♪ってもう、死ぬのが前提みたいになってて、
ロミオとジュリエットのGSヴァージョンとでも言うべき、壮絶な世界ですわ~。
このおどろおどろしさは、チャイコフスキーじゃなく、プロコフィエフの方ですわね。そして、
♪青い空に舞う 白い君の手♪
♪赤い太陽に 光る砂♪

と、天も地も、あらゆる色彩をも取り込んで、ひたすら壮大なスケールで展開していきます。
星とか花とか夢とかが多用されるのは、GSソングの特徴のひとつだと思いますが、
そこに加えて「罪」「鎖」「牢」そして「死」などのショッキングな言葉を持ってくることで
リアリティの無さはそのままに、韓流ドラマにも匹敵する劇的な悲恋を表現・・・・・すごすぎです。
もう参りました、という感じですわ~。


さて、サウンド面に注目しますと、ロックなイメージですが、始まりのテンポは意外とと遅いんですね。
ドラムス(シンバル)がアウトタクトから切り込んだ後、ギターの繰り返しのフレーズがすぐに入り、
そして、(注意していないとあまり耳につかないんですが)、歌い出し最初からキーボードの音が
入っていて、不穏な雰囲気をかなり煽っています。
じゅりの声は♪鎖につながれても かまいはしない♪のあたりなど、甘くソフトな王子ヴォイスとは
一線を画し(あくまで、当時のそれ以前の曲との比較ですが)、低音部もしっかりと意志を感じる
力強く響く歌声です。

ただ、コーラスは最後の方に少しだけで、しかもエコーのような処理がなされていて、誰の声だか
よくわからないし、ハモってもいないですよね。
じゅりのボーカルをひたすら堪能して頂戴、という事みたいですわ。
♪キュワンキュワンキュワ~ン♪というギターがゾワゾワきて気持ち悪くて気持ちいい。
(で、わかるでしょうか?)

しかし、2番からのギター、ベースはホントにかっこいいですよね!
1番と比べると、テンポも上がっており、伴奏も高ぶりを見せます。タローやサリーのファンは、
ここら辺で身を乗り出して聴いていたことでしょうね~。
ギターの重めでねちっこい音が渋くで好みです。

あと、じゅりは♪花がこぼれても♪の「れ」が巻き舌になってるんですが、そんな、少し力んだ所など、
懸命さが伝わってきて、どうにもけなげに感じますわ。
2番の後の間奏はオルガンの音がクローズアップされ、♪永遠に君だけを♪
とじゅりの絶叫が掻き消えていく中、伴奏が鳴り響き、やがてフェードアウトして悲劇的に幕。
コーラスのエコーがちょっとうるさすぎだと思いますが、『君だけに愛を』の悲恋版といった雰囲気の、
濃厚な味わいの一曲でございます。



【風は知らない】
濃厚な曲のあとには、さわやかなフォーク調のサウンドで中和するのがよろし。
という意図かはわかりませんが、対照的な曲がカップリングされております。

ゆったりとしたアコギのイントロでおだやかに始まります。
じゅりの声も優しく柔らかく、美しい。
♪きれいな虹に めぐりあう日を♪
と展開部からは、コーラスとヴァイオリンが前面に出て若干高揚していきます。
♪雲の波間をさまよう♪
と弛緩する部分のアコギも軽やかで美しいですね。
♪昨日鳴る鐘も 明日はない♪のハモリはトッポの声に聴こえます。
うーん、このハーモニーこそがタイガースですよね~。
やっぱりトッポは美声ですね。じゅりのさわやかでソフトな声に、ノーブルで高らかなトッポの声が重なって、
極上の響きこの曲で一番好きな所です。
この年にトッポが脱退しちゃったなんて・・・もったいなさ過ぎ。
「トッポ、なぜ辞めたーー!」(←「なぜ、死んだーー!」風にお願いします。)

ところで、タイガースの音源を聴くまで、この曲は「あんじょうやりや」のDVDや、ドームの音源でだけ
知っていたんですが、このTGシングルの音源を聴いて、この曲を歌うときのじゅりの歌声の変わらなさ
にもビックリしました。
出来ればドームの前に知っていたい曲だったな・・・とちょっとしんみりしたりして。