見出し画像

あげちうのブロマガ

「シン・へドラ」 補完版

「ある老女の語り」

 

正月が始まったばかりの頃、おばあさんが死んだ。

小さい頃は良く面倒を見て貰っていた人で、自分も大学生に為っていたが…それでも泣いてしまった。

幸いと言うべきだろうか、死に顔は安らかで、苦痛そうな感じはしなかったので、それでも自分は、何かへの感謝はした。今はもう、彼女の実家は無い。彼女の家族はもう全て他界しており、そして跡継ぎだった筈の弟さんは、50年ほど前に病で亡くなっている。

自分も、”それ”は不思議だった、その頃の記録と言うのが、どの文献を見ても曖昧?なのだ。ともかく解っている事は当時、公害が酷く、そして弟さんもまた、”それ”によって亡くなった…そう言う事だ。おばあさんは良く、その話をした、そして「今は良い時代だよ?」と、そう、常々語っては居たが。それでも、弟さんの死に様と、何かへの憤怒の悲痛は、今も夢に見る、と言う。

…考えると、何の疑問も無く聞いていた。

東京湾近郊は一度、”公害”が原因で焼け野原に成った、と言う。

それについての記録は無く、自分が東京の大学に進学しても、”その”記事は見つけられなかった。ともかくしかし、その、弟さんが亡くなった年を境に、公害への対策が厳重に取られる様になって…そして今の東京がある、らしい。これでも、随分と綺麗になったのだ。

「へドラ」と言う”怪獣”によって、街が瓦礫の山に成ったから。


おばあさんの話では、「その前に、漁師が遭難する事故が増えてね」それから入っていく。おばあさんの弟さんが亡くなって数か月後、東京湾近郊で、漁師が遭難する事故が多発していく。…そしておばあさんの住む場所もまた、その時は避難指示が出たらしい。

その日、東京湾に、”怪獣”が出現したのだ、それはおばあさんも、遠目で、或いは近くでみた、のだと言っていた。

何故「へドラ」と自衛隊の人々が呼んでいたのか…それは解らない、と言う。

 

 

自衛隊の、あらゆる攻撃は意味も無く…多分アメリカのそれだと言っていた、強力な兵器が撃ち込まれるも、それは結局は効果が無いまま、それは東京湾近郊へ飛散し、増殖して、辺りをヘドロで覆い尽くしていった、らしい。

おばあさんはその時、逃げるのに精いっぱいだったが。不意に”誰か”の声を聴いた、と言う。彼女が振り返ると、”そこ”には、落ちたへドラの「破片の一つ」が立っていた。つい彼女は、弟さんの名を呟いた時、”それ”は、おばあさんを見て。

…そして、悲鳴の様な声を上げながら、そのまま溶解して行った…らしい。


おばあさんにも、確証は持てなかったそうだ。

だからか、「あまり人に言うんじゃないよ?二人だけの秘密だ」そう、彼女は笑っていた。


だからだろうか。僕は今も、過剰といわれればそうだろう、廃プラスチックや二酸化炭素削減の話には…相変わらず肯定的だ。子供心にも、”それ”が単なるおばあさんの妄想だったと、そうは思えなかった。その不気味さは、自分のその後にも残っている。

へドラは居たのだ、そして、或いは、またいつか。

 


と、流石にこのレベルを切り捨て放置、と言うのも汚泥化しそうな気もするので、何となく私的に補完。

一応、この位?に説明が出来れば、かなり東宝映画って感じに納得はします、個人的には。

ではでは。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事