「新編江戸の悪霊祓い師」、ブッ○オフで買っておいてよかったあ。元版を持っているので安心していたのですが、読んでみてちょいと驚き。こんな話だったかなあ? 江戸のエクソシスト、祐天上人の伝記から、悪霊憑き、江戸の女性事情、浄土教団の立ち位置とか、いろいろ見えてくる面白本です。中公新書に入っている同著者による「八犬伝の世界」も目ウロコに面白いですし。
ちなみに目黒祐天寺は、この坊さんの弟子が創建したお . . . 本文を読む
こういった記念企画(中公創業120年記念)の本はすぐに品切れなるので、早いとこ買っておくことにかぎります。1973年に中公文庫がスタートしてから、いままで出した文庫の総解説目録ですが、目録マニアにはこたえられない本です。旧中公文庫は品切れがあんまり無かったので、わりとチェックは入れていたのですが、総目録となると見逃していたのがけっこうありますね。 . . . 本文を読む
ロングテール。
インターネット上の商取引のデータに現れる曲線のことだそうです。音楽でたとえれば(ネットからのダウンロード回数ですが)、売上のなかでメガヒット曲の占める割合は数パーセントで、あとはいわゆる「売れない曲」の売上、ということらしいです。わずかなメガヒット曲の売上=その他の曲の売上、という式になるわけです。
ネットが供給路のボトルネックを取り除き、誰でもがマスな商品だけでなく、ニッチな商品 . . . 本文を読む
光人社というと、雑誌「丸」やright wing系の書籍を出している出版社ですが、光人社文庫には意外な拾いもの(?)があったりします。これもその1つ。
第二次世界大戦時に計画された(&その無謀な設計のため計画倒れとなった)航空兵器について、執拗なスペック解説とともに3面図まで載せているマニアックな本です。ドイツのロケット兵器をはじめ、目的のためにはトンデモなデザイン&設計となった異形の飛行機たち . . . 本文を読む
著者の本職はプリンストン大学の数学者。まったくの余技でこんな本を書くんだから一芸に秀でるものはなんとやら、です。プロパーではないので、先学のことなどものともせず、自分の好きな話だけを選んで載せているのはアマチュアはかくたるべし、といういい見本ですなあ。なので、日本未紹介の話も多い。
「青蛙房奇談」とか「捜神記」など好きなむきにはぜったいにおすすめです。後書きで日本の研究者の本をあげておきながら、一 . . . 本文を読む
この人の訳した本を読まないSFファンはいないと思うほど、名作傑作を手がけていることは、巻末の翻訳作品リスト(!)を見れば一目瞭然。本人が思いいれのある作家についての後書きを集めた章は良かったなあ。ヴァンス、ティプトリー、スミスあたりはの後書きは何度読んだか。
本人がとくにお気に入りのディックとカート・ヴォネガットは独立した章があてられているが、ヴォネガットはエリアから外れているので読み飛ばし。
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たとえば「源氏物語」のほかに、その当時の同時代小説はあったのかどうか、知っている人はとんどいないと思う。ぼくたちの一般的なイメージの中では、平安時代に不毛な散文の広野に孤高の塔としての「源氏物語」があるような気がしていたが、実はそうではなかった。時代としてはやや下るけれど、「源氏物語」のエピゴーネンやアンチ「源氏物語」が相当輩出していたようだ。不毛な広野だと思っていたら、それはただの思い違いで、中 . . . 本文を読む
ル=グ・ウィンはかの「ゲド戦記」の作者です。未確認ですが、ル=グ・ウィン本人からジブリへアニメ化のオファーがあったそうですが、にわかには信じられません。でぃずにーがアニメ化するよりはマシかもしれませんが。
「ゲド戦記」の世界観がアメリカ-WASP的というより、アメリカンネイティヴ的な感触を与えてくれる理由は、なによりル=グ・ウィンが考古学者の娘であり、母親がアメリカンネイティヴの記録「イシの物語」 . . . 本文を読む
「出版業界最底辺日記」は、エロ漫画誌下請け編集者による容赦のない実名入り日記です。下請けといっても孫請けに近い状態なので、儲かるはずがない。一人で3~4誌を担当して若い生意気なエロ漫画描きをなだめすかしつ脅しつつ仕事をさせる、豪腕でありつつ長いものには巻かれろ型編集者でもあります。しかしその裏表ありあり、陰で舌出し悪態も、ここまで率直に書かれると逆に爽快です。とにかく雑誌を出すためには、なんでもや . . . 本文を読む
暴れん坊本屋さん 2
岐阜高島屋9Fの自由書房でゲット。同時ゲットは実相寺昭雄『ウルトラマン誕生』(ちくま文庫)、横溝正史『髑髏検校』(徳間文庫)。
『暴れん坊本屋』さんは、愛知県内某市の書店で店員として働きながら漫画家もやっている久世番子(むろんPN)の本屋日常漫画エッセイです。出版社、本屋、取次(本の問屋です)等で働いたことがあるヒトなら思わずヒザをうつ業界本です。
ご本人はサイン会のとき . . . 本文を読む
たいていのビートルズ本は「ビートルズサイコー!」で終始しているものが多いのですが、この本はちょいと違います。海外の研究者が社会学的、言語学的にビートルズの楽曲とその社会におよぼした影響を分析しています。言葉は難しいですが、論旨は明確です。
目ウロコだったものの一つに「ホワイトアルバム」の意味が。散漫、不統一、エゴのかたまりなどとイマイチ評判の良くない同アルバムですが、なんとポストモダン手法の萌芽 . . . 本文を読む
「編集長を出せ!」(ソフトバンク新書・岡留安則著)は、2年前に休刊した「噂の真相」編集長、岡留安則が当時の舞台裏をあかしています。
さまざまな有名人を俎板に載せていれば、抗議クレームは当然やってくるわけで、そこをどうのりきったのか、という危機管理の指南書とも読めるところがミソ。 . . . 本文を読む
先週の土曜日に国営テレビ放送で
写真家「木村伊兵衛」の特集をやっていました。
「オトナ帝国」にやられた人にはおすすめです。
ゲストの写真家・荒木経惟氏のコメントがよかったですね。
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都市の姿というのは、ヒトの視線から見えるだけのものではないですね。下を見れば地下には地下鉄、地下道をはじめ目に見えない通路があり、はたまた空から見れば屋根と屋上はまた別世界。「帝都東京・隠された地下網の秘密」はそんな都市の裏側にある別の世界、もしかしたらありえたかもしれない別の東京を教えてくれます。
東京の地下鉄は戦前は渋谷と浅草をむすぶ銀座線だけだったはずです。いまの迷路のような地下鉄網は戦後 . . . 本文を読む
昨日の「信長は謀略で殺されたのか・本能寺の変・謀略説を嗤う」の片方の著者、藤本正行氏は「偽書『武功夜話』の研究」という本も書いています。
『武功夜話』というのは、わたしの住んでいる町のとなり町にある旧家から発見された織田信長にかんする記録です。この旧家の祖先にいた女性が信長の側室であり、秀吉も小六もこの旧家で信長に出会ったということになっています。この記録の発見は衝撃的で、遠藤周作も津本陽もこの . . . 本文を読む