【サケ漁をするアイヌ民族の畠山敏さん… (東京新聞2019年9月2日)↑】 (2023年10月08日[日])
《沖縄アイデンティティーのよりどころである遺骨を本来あるべき場所に》という原告の訴えはまたしても棄却された。あの大阪高裁か…。《「棄却ですが付言がどうも画期的で…」》…でも、沖縄と最「低」裁の関係を考えてみれば、上告しても結果は…。
琉球新報のコラム【<金口木舌>遺骨、ふるさとを夢見る】(https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2326106.html)によると、《▼94年前、京都帝国大学の研究者によって50体を超える遺骨が今帰仁村の墓から持ち出された。…▼「棄却ですが付言がどうも画期的で…」。心に何かが跳ねる。判決では琉球民族を先住民族と認め、異例の付言が追記された。いわく「遺骨は、ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」》。
『●「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー
(沖縄人を見くびってはいけない)」』
『●【<金口木舌>二風谷判決と沖縄】:
「わが国の統治が及ぶ前から北海道に住み…先住民族に該当する」』
《「わが国の統治が及ぶ前から北海道に住み、独自の文化を保っており、
先住民族に該当する」。1997年3月、札幌地裁で言い渡された判決に
原告のアイヌ民族の人々は驚き、涙を流した ▼司法の場で初めてアイヌを
先住民族と認めた、二風谷(にぶたに)ダム建設を巡る訴訟の判決だ…
▼しかし政府は沖縄の人々の権利保護を求めた国連自由権規約委員会の
勧告を無視》
『●《アイヌ民族…サケの捕獲は認められた先住権…
儀式用のサケ十数匹を捕獲…サケ漁をするかどうかは自己決定権だ》』
《畠山敏さん(77)が、サケの捕獲は認められた先住権だとして、
道の許可を得ずに儀式用のサケ十数匹を捕獲した。道職員が制止する
場面もあったが、畠山さんは「サケ漁をするかどうかは自己決定権だ」
として決行した。》
『●【<金口木舌>サケ漁は自己決定権】…《アイヌ民族は
先住民族と認められたが、権利回復の闘いは沖縄同様、道半ば》』
《▼アイヌ民族は先住民族と認められたが、権利回復の闘いは
沖縄同様、道半ばだ。「アイヌモシリ(北海道)に土足で
上がり込んできた和人には左右されない」と訴える畠山さんの
言葉は重くて深い》
『●《「アイヌの伝統」…捨て身ともいえる畠山さんの行動が
先住民族とは何かを問いかける》…そして、「言葉」を殺すな!』
『●「国が象徴空間に集約することに我慢がならない。
先祖の遺骨をコタンに返してほしい」』
『●琉球遺骨返還請求訴訟《旧京都帝国大…の人類学者が今帰仁村の
百按司墓から持ち出した遺骨を京大が占有》は違法…京都地裁が請求を棄却』
『●琉球遺骨返還請求訴訟《沖縄アイデンティティーのよりどころである
遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが…入り口論》で棄却』
『●《柔らかな響きと独特の語感が特徴のアイヌ語は、消滅の危機にある
とされています》…萱野茂さんは「言葉は民族の証」と訴えてきた』
《明治以降、差別の上遺骨と文化を奪われてきたアイヌ民族…。琉球処分によって失われた琉球の魂は戦争によって粉々にされ、土地は軍用地となり、今また辺野古を遺骨で埋められようとしている》…司法が、沖縄差別を助長していないか? そして、我国の最高学府、これでいいのか? その直系の研究室・学科の研究人は何も感じないのかね? 《学術的価値があっても、地域や関係者の同意なしに盗掘同然に入手したものの保有を正当化できるのだろうか》? 《大量の古人骨を「清野コレクション」などとして誇っている京都大は、学問の府として誠実に対応すべきだ》。
『●最「低」裁の政治判断…新基地は決して完成しないし、決して普天間飛行場
も返還されない。N値ゼロで、工期と費用は∞、血税を日々ドブガネ…』
『●辺野古新基地建設: 国が寄って集って沖縄をイジメ、司法が沖縄イジメ
にお墨付きを与える…野党議員は団結して立ち上がってくれないのか?』
安藤恭子記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「先住民の遺骨はふるさとに」 沖縄県民側の求めを退けた高裁判決が付言で示した、全く別の意味とは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/280993?rct=tokuhou)。《琉球王家の子孫という沖縄県民らが、昭和初期に旧京都帝国大(京都大)の研究者によって同県の墓から研究目的で持ち去られた遺骨の返還を求めた訴訟の控訴審判決が、大阪高裁(大島真一裁判長)であった。判決は請求を退けた一審京都地裁を支持し、原告側の控訴を棄却する一方、付言として「持ち出された先住民の遺骨は、ふるさとに帰すべきだ」と断じた。請求を退けながら、付言では返還を強く促した意味とは。(安藤恭子)》
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【https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2326106.html】
<金口木舌>遺骨、ふるさとを夢見る
2023年10月02日 00:05
すぐ「どうせ…」と捉える習い性はよくないらしい。分かってはいるが沖縄を巡る政治や社会課題の道行きは悪路が多い。だから「どうせ棄却だ」と軽く考えていた
▼94年前、京都帝国大学の研究者によって50体を超える遺骨が今帰仁村の墓から持ち出された。その琉球遺骨返還訴訟の控訴審判決取材で大阪にいる同僚との電話だった
▼「棄却ですが付言がどうも画期的で…」。心に何かが跳ねる。判決では琉球民族を先住民族と認め、異例の付言が追記された。いわく「遺骨は、ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」
▼94年前の本紙記事から「無縁塚のべんべん草の下に淡い夢を見ていた骸骨」と引用し、遺骨が「ふるさとの沖縄に帰ることを夢見ている―」と締めた。言葉が脈打っていた
▼前述の本紙記事は、遺骨持ち出しが「学会への奉仕」だと京大におもねる形で報じた。新聞の足元とてかようにぬかるむこともある。返還協議が地元や京大の間で進むよう期待しつつ、「どうせ」を乗り越える脈打つ言葉を届けようと小さく決意する。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/280993?rct=tokuhou】
「先住民の遺骨はふるさとに」 沖縄県民側の求めを退けた高裁判決が付言で示した、全く別の意味とは
2023年10月2日 12時00分
琉球王家の子孫という沖縄県民らが、昭和初期に旧京都帝国大(京都大)の研究者によって同県の墓から研究目的で持ち去られた遺骨の返還を求めた訴訟の控訴審判決が、大阪高裁(大島真一裁判長)であった。判決は請求を退けた一審京都地裁を支持し、原告側の控訴を棄却する一方、付言として「持ち出された先住民の遺骨は、ふるさとに帰すべきだ」と断じた。請求を退けながら、付言では返還を強く促した意味とは。(安藤恭子)
(百按司墓を訪れる原告の玉城さん
=2019年11月、沖縄県今帰仁村で)
◆琉球民族を先住民族と認めた初の判決
「棄却は残念だったが、琉球民族が先住民族であると明確にされた。遺骨を持ち去った研究者と私たちは、日本国民として同じ立場とはならない。これからは胸を張って先住民としての権利を主張し、墓へ帰す協議を求めることができる」
9月22日にあった控訴審判決。「こちら特報部」の取材に、原告の玉城毅(たまぐしくつよし)さん(73)=うるま市=は喜びを表した。弁護団によると、琉球民族を先住民族と認めた判決は初という。
遺骨が持ち去られたのは今帰仁村(なきじんそん)の「百按司墓(むむじゃなばか)」。第一尚氏の王族ら14~15世紀の有力者がまつられたとされる風葬墓だ。4年前に記者が訪れた際も、苔(こけ)むした森の中、岩壁の暗い奥に青白い骨が散らばっていた。研究のために沖縄各所で骨を持ち出して「白骨累々として充満」「百按司墓を採集し尽くした」と記録した人類学者の姿を想像し、ぞっとした。
◆「返還は世界の潮流になりつつある」
京都大は26体の遺骨を箱に入れて保管している。原告らは2018年、遺骨返還や慰謝料を求め京都地裁に提訴。一審判決は、研究者らが1930年前後に多数の遺骨を持ち出したとし、玉城さんら2人を第一尚氏の子孫と認めつつ、子孫らは他にも多数いるとして、祭祀(さいし)継承者とは認めず、返還請求権はないとした。
控訴審判決は一審判決を踏襲しながらも結論の終わりに「付言」として、世界各地で先住民の遺骨返還運動が起きていることに触れ、「返還は世界の潮流になりつつある」「遺骨は単なるモノではない。ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」と踏み込んだ。
訴訟による解決は限界とした上で「関係者が話し合い解決へ向かうことを願う」と促し、将来的な遺骨の保存研究を要望した日本人類学会の書面には「重きを置くことが相当とは思われない」とくぎを刺した。
◆「学知の植民地主義」が続いている
原告側の丹羽雅雄弁護団長は「アイヌ民族の遺骨を巡る近年の訴訟は、和解で返還の道筋が示されてきた。判決もその流れをくんでいる」と話す。一方で、京都大は「本学の主張が認められたと理解している」とコメントを出した。
波平恒男・琉球大名誉教授(沖縄近現代史)は「本裁判の問題は、葬制も文化も全く異なる多数派の大和の法に基づき、少数派の琉球人の遺骨返還請求という先住民の権利が裁かれた点にある」とみる。琉球の墳墓は地域の共同体によってまつられ祈りの場とされてきた一方、裁判では本土の家長制を前提とする民法の所有権規定が判断された。
この矛盾を解消するため、先住民の権利を定める国際人権法に従った国内法の整備が急務だと指摘する。
「研究者が琉球処分後の沖縄から持ち出した遺骨について、大学は今も所有の正当性を主張し、頑として離さない。『学知の植民地主義』が続いている証左だ。訴訟が求めたのは遺骨の所有権ではなく、元の所に帰して皆でまつるということ。京都大はそのための協議に応じるべきだ」
【関連記事】持ち去られたアイヌの遺骨が子孫に返還されない 「一刻も早く土に」を阻む背景とは
【関連記事】真珠湾での戦死から81年、米兵の遺骨はふるさとに…「悲しいだけ」と語った遺族の思い
【関連記事】ふるさと納税で「戦没者に畏敬の念を」 沖縄の男性が靖国神社で訴えた深い理由 遺骨が眠る土地が荒らされる
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【サケ漁をするアイヌ民族の畠山敏さん… (東京新聞2019年9月2日)↑】 (2022年04月25日[月])
沖縄タイムスの【社説[琉球人遺骨返還認めず]世界の潮流に逆行する】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/947367)。
琉球新報の【<社説>琉球遺骨返還訴訟棄却 京都大は誠実に対応せよ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1506159.html)。
《昭和初期の1920~30年代に旧京都帝国大(現・京都大)の人類学者が今帰仁村の墓から持ち出した26体の遺骨の返還を、子孫に当たる沖縄県民らが求めていた訴訟で、京都地裁は「原告に返還請求権はない」として、請求を棄却した。…沖縄アイデンティティーのよりどころである遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが、本質的な議論の前に、入り口論で退けられた形だ》。
《昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大に、子孫に当たる住民らが遺骨返還を求めた訴訟で、京都地裁が原告の訴えを棄却した。判決は、植民地政策の下で住民の同意がないまま行われた遺骨収集の不当性に正面から向き合わず、京都大による保有を正当化した。原告が控訴するのは当然である》。
『●琉球遺骨返還請求訴訟《旧京都帝国大…の人類学者が今帰仁村の
百按司墓から持ち出した遺骨を京大が占有》は違法…京都地裁が請求を棄却』
琉球遺骨返還請求訴訟、どうしてこういう判決になるのだろう? 京都地裁《増森珠美裁判長は「原告に返還請求権はない」と判示し、請求を棄却》(沖縄タイムス)。京大に配慮したのか?
《明治以降、差別の上遺骨と文化を奪われてきたアイヌ民族…。琉球処分によって失われた琉球の魂は戦争によって粉々にされ、土地は軍用地となり、今また辺野古を遺骨で埋められようとしている》…司法が、沖縄差別を助長していないか? そして、我国の最高学府、これでいいのか? その直系の研究室・学科の研究人は何も感じないのかね? 《学術的価値があっても、地域や関係者の同意なしに盗掘同然に入手したものの保有を正当化できるのだろうか》? 《大量の古人骨を「清野コレクション」などとして誇っている京都大は、学問の府として誠実に対応すべきだ》(← 以下の《奄美からも返還要求が出ている》も参照)。
『●「国が象徴空間に集約することに我慢がならない。
先祖の遺骨をコタンに返してほしい」』
「「研究目的」(!!)で勝手に盗掘して「大量の遺骨や副葬品が
返還されないまま」に放置する大学人、そして、政府のいい加減な
対応。一体どんな国やねん!! 当事者が「嫌だ」と言っているにも
かかわらず、平気で「人権侵害」。「墓を暴いて先祖の遺骨を集めた
学者たちの責任をあいまいにしたまま、国が象徴空間に集約することに
我慢がならない。先祖の遺骨をコタンに返してほしい」と云う叫びに
どう応えるつもりか?」
『●松下竜一さん《『草の根通信』の読者にして…知ろうとする心を閉ざ
して拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが》』
根岸恵子氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕熱い時代を生きた若者の真の姿〜松下竜一『狼煙を見よ』】(http://www.labornetjp.org/news/2021/hon204)によると、《オリンピックの口実のために、明治以降、差別の上遺骨と文化を奪われてきたアイヌ民族は自らのアイデンティティを白老の象徴的空間に押し込められようとしている。琉球処分によって失われた琉球の魂は戦争によって粉々にされ、土地は軍用地となり、今また辺野古を遺骨で埋められようとしている。アジアの自然を壊し、巨大なプランテーションを作り、人々は技能実習という奴隷労働をさせられている。難民という弱者に入管は人間扱いをせず、さらにひどい悪法を突き付けようとしている》。
『●『ドキュメント 憲法を獲得する人々』読了(4/4)』
「【田中伸尚著、『ドキュメント 憲法を獲得する人々』】……
その他、「「神主の娘」の意見陳述」の木村さん、
「揺れる心で「アイヌ宣言」」の多原さん、
「在日だけど、日本社会の一員だから」の徐さん、
「沖縄に基地があるかぎり」の中村さん」
『●「「希望はTPP。」なのか」
『週刊金曜日』(2013年4月12日、939号)』
「平田剛士氏【アイヌ人骨〝発掘〟研究の実態は依然不明
北大のずさんな管理が発覚】……」
『●「安倍首相の暴走と「妄想」」
『週刊金曜日』(2014年2月7日号、978号)について』
「平田剛士氏【いまだ返還されず 全国12大学にアイヌ遺骨1636体!】、
「遺骨を返還すれば大学自体も癒される。アイヌも力を得て、
誇りを取り戻せるはず……より人間的な大学に変わるための
チャンスととらえることもできる」」
なお、琉球新報社説にある《奄美からも返還要求が出ている》件については、2018年11月17日の琉球新報の記事【遺骨保管箱のふたか 京大ごみ集積所でみつかる 「喜界村」などと記載】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-835590.html)によると、《人類学者が沖縄や鹿児島県の奄美地方から持ち出した遺骨が返還されていない問題で、京都大学で遺骨を保管していた箱の一部とみられる板が16日までに見つかった。板には「清野蒐集(しゅうしゅう)人骨」「大隅國(おおすみのくに)大島郡喜界村赤連ダンムチノ下」などと書かれており、4体分の標本番号が記されている。2014年11月に京都市の同大学のごみ集積所にあったのを学生が見つけ、現在は沖縄の「アイヌ民族と連帯するウルマの会」が保管している。[奄美地方から持ち出された遺骨を保管していた箱の一部とみられる板(ピリカ全国実・関西提供)] 京都大学はこれまで、奄美から収集された遺骨を保管しているかどうか明らかにしていない。京都帝国大学(現在の京都大)教授だった人類学者の清野謙次氏(1885~1955年)や門下生が、奄美を含む各地から収集した遺骨を京都大に寄贈したことが文献などで確認されている。板に記されている標本番号は1123号から1126号の4体分。「大隅國」は奄美群島と現在の鹿児島県東部。「ダンムチノ下」は喜界島の風葬地帯とみられる。奄美地方の研究者らが3月、遺骨返還を求める要望書を政府や京都大学に送ったが回答はない。「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」の大津幸夫代表は「ごみ箱に捨てるなど、人権じゅうりんも甚だしい。中にあったはずの遺骨はどうなったのか。京都大はきちんと回答してもらいたい」と話した。同会は京都大に抗議文を送る。琉球新報は京都大学にこれらの遺骨を保管しているか質問したが、16日午後5時までに回答はない》。
京大は、証拠隠滅しようとしたのではないのか?
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【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/947367】
社説[琉球人遺骨返還認めず]世界の潮流に逆行する
2022年4月23日 07:40
昭和初期の1920~30年代に旧京都帝国大(現・京都大)の人類学者が今帰仁村の墓から持ち出した26体の遺骨の返還を、子孫に当たる沖縄県民らが求めていた訴訟で、京都地裁は「原告に返還請求権はない」として、請求を棄却した。
墓は琉球王国の第一尚氏の一族らをまつる「百按司墓」。原告は礼拝や祭祀(さいし)の対象である遺骨が本来あるべき場所になく、返還が拒否されている状態は民族的、宗教的な自己決定権を侵害するものだと訴えていた。
沖縄アイデンティティーのよりどころである遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが、本質的な議論の前に、入り口論で退けられた形だ。
判決は、原告の一部を第一尚氏の子孫と認めたが、子孫は多数存在し、原告らが墓を訪れ参拝しているからといって、「祖先の祭祀を主宰すべき者に当たるとは認められない」とした。
「沖縄地方における伝統的な葬送文化などに鑑みれば、祖先の遺骨を安心して祀(まつ)りたいという心情には汲むべきものがある」と理解を示した。一方で「遺骨は信仰の対象であると同時に、学術資料的、文化的価値を有する」として、京大側が遺骨を保管することを認めた。
結果的に住民の尊厳や文化的アイデンティティーが脇へ追いやられ、研究が優先された形になっていないか。
大きな疑問が残った。
■ ■
原告団長で、先住民族の権利回復運動などを研究する松島泰勝龍谷大教授は判決を「研究者が持ち出した遺骨は返還するという世界の潮流に逆らう」と批判した。
2007年に採択された国連の先住民族の権利に関する宣言第12条には「遺骨返還の権利を有する」と明記されている。
先住民や旧植民地から持ち出した遺骨を返す動きは世界的な潮流である。
オーストラリアでは1600体を超える先住民の遺骨が海外諸国から返還された。
日本国内でも、アイヌ民族の遺骨を持ち帰り、人類学や医学の研究を行った北海道大学が、訴訟和解を経て、現地のアイヌ民族団体に返還している。
日本人類学会は、アイヌ研究について、盗掘や遺族など直接の関係者の同意を得ずに収集された資料は研究対象とするべきでないとの指針案を作っている。
■ ■
かつて欧米諸国や日本は、植民地から多くの文化財や遺骨などを持ち帰った。いまその行為を問い直し、遺骨や文化財の返還を求める運動が世界的な広がりを見せている。
判決は、遺骨の処遇について関係機関を交えて返還の是非などを協議し、「解決への環境整備を図るべきだ」と付言した。
百按司墓から遺骨が持ち出されてからおよそ100年が経過するが、どのような研究成果があったのか、京都大は十分明らかにしていない。
京大は、「遺骨を本来あるべき場所に」という訴えに耳を傾け、返還に向けての話を始めるべきだ。
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【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1506159.html】
<社説>琉球遺骨返還訴訟棄却 京都大は誠実に対応せよ
2022年4月23日 05:00
昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大に、子孫に当たる住民らが遺骨返還を求めた訴訟で、京都地裁が原告の訴えを棄却した。判決は、植民地政策の下で住民の同意がないまま行われた遺骨収集の不当性に正面から向き合わず、京都大による保有を正当化した。原告が控訴するのは当然である。
原告らが民法上の祭祀(さいし)継承者に当たるかどうかについて判決は「墓を参拝しているからといって、『祖先の祭祀を主宰すべき者』に当たるとは認められない」「他の多数の子孫と同じ立場」として、遺骨返還請求権はないとした。
長年にわたって多くの遺骨が置かれてきた風葬墓であるため、個々の遺骨と原告を結びつけることは困難だ。原告が求めたのは親族関係の確認ではなく、地域や親族で参拝してきた墓で先祖の遺骨を祀(まつ)りたいという権利である。
京都大は、収集から保管に至る経緯や保管状況を十分に説明せず、不誠実な対応に終始してきた。訴訟でも裁判長からの和解提案を一蹴するなど、一切歩み寄りを見せなかった。その結果、争点は民法上の請求権の有無に矮小化(わいしょうか)されてしまった。
同大の遺骨保有についても判決は、「学術資料的・文化財的価値」のある遺骨の散逸や劣化を防ぐという、同大が主張した目的を「不当とはいえない」とした。学術的価値があっても、地域や関係者の同意なしに盗掘同然に入手したものの保有を正当化できるのだろうか。学術研究に供するのなら、改めて子孫ら関係者に理解を求め、同意を得るべきだろう。
今回の訴訟で原告は、国際法を踏まえて先住民族・琉球人としての返還請求権を主張したが認められなかった。しかし判決では「原告らが琉球民族として祖先の遺骨を百按司墓に安置して祀りたいという心情には汲(く)むべきものがある」と述べた上で、「原告と被告のみで解決できる問題ではない」として「解決に向けた環境整備が図られるべきである」と関係機関などによる協議を促した。
アイヌ民族の遺骨返還訴訟では、北海道大などとの間で和解が成立し、遺骨はアイヌ民族の受け皿団体(地域)に返還された。「先住民族の権利に関する国連宣言」に基づく返還請求権が認められているからだ。これを受け日本人類学会などは、倫理指針案でアイヌ民族の権利を尊重することを掲げている。
奄美からも返還要求が出ている。民法の枠に収まらない独自の祭祀文化を持つ沖縄・奄美は、アイヌ民族の取り組みが参考になるだろう。
今後、遺骨収集の経緯や保管状態を明らかにさせ、返還や保管方法を幅広く協議していく場を作る必要がある。大量の古人骨を「清野コレクション」などとして誇っている京都大は、学問の府として誠実に対応すべきだ。
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【サケ漁をするアイヌ民族の畠山敏さん… (東京新聞2019年9月2日)↑】 (2022年04月24日[日])
沖縄タイムスの記事【琉球人遺骨 返還認めず 京都地裁「原告に請求権なし」 解決へ環境整備を促す】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/946823)。
琉球新報の記事【沖縄の遺骨返還請求退ける 京都地裁 昭和初期に京大研究者が持ち出し】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1505452.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel)。
《昭和初期に旧京都帝国大(現・京都大)の人類学者が今帰仁村の百按司墓(むむじゃなばか)から持ち出した遺骨を京大が占有しているのは違法として、第一尚氏の子孫らが返還と損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は「原告に返還請求権はない」と判示し、請求を棄却》。
《昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大学に、松島泰勝龍谷大学教授らが遺骨の返還などを求めた琉球遺骨返還請求訴訟の判決が21日、京都地裁(増森珠美裁判長)であり、原告の訴えを退ける判決が言い渡された》。
『●【<金口木舌>二風谷判決と沖縄】:
「わが国の統治が及ぶ前から北海道に住み…先住民族に該当する」』
《▼判決の根拠の一つに、民族的マイノリティーの権利保護を定めた
国際自由権規約27条があった。政府が2008年にアイヌ民族を
先住民族と認める前の画期的な判断だ。判例は4日に京都地裁に
提起された琉球遺骨返還請求訴訟でも訴状に引用された
▼旧帝国大学の人類学者が持ち去った遺骨を取り戻す運動もアイヌ民族
が先行し、一部で返還を勝ち取っている。近代以降の同化政策など、
アイヌと沖縄に共通する点は多い
▼しかし政府は沖縄の人々の権利保護を求めた国連自由権規約委員会の
勧告を無視している。米軍基地問題を含め、政府は沖縄に対する政策を
見直す時期に来ている。》
我国の最高学府、これでいいのか? その直系の研究室・学科の研究人は何も感じないのかね?
『●「国が象徴空間に集約することに我慢がならない。
先祖の遺骨をコタンに返してほしい」』
「「研究目的」(!!)で勝手に盗掘して「大量の遺骨や副葬品が
返還されないまま」に放置する大学人、そして、政府のいい加減な
対応。一体どんな国やねん!! 当事者が「嫌だ」と言っているにも
かかわらず、平気で「人権侵害」。「墓を暴いて先祖の遺骨を集めた
学者たちの責任をあいまいにしたまま、国が象徴空間に集約することに
我慢がならない。先祖の遺骨をコタンに返してほしい」と云う叫びに
どう応えるつもりか?」
『●松下竜一さん《『草の根通信』の読者にして…知ろうとする心を閉ざ
して拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが》』
根岸恵子氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕熱い時代を生きた若者の真の姿〜松下竜一『狼煙を見よ』】(http://www.labornetjp.org/news/2021/hon204)によると、《オリンピックの口実のために、明治以降、差別の上遺骨と文化を奪われてきたアイヌ民族は自らのアイデンティティを白老の象徴的空間に押し込められようとしている。琉球処分によって失われた琉球の魂は戦争によって粉々にされ、土地は軍用地となり、今また辺野古を遺骨で埋められようとしている。アジアの自然を壊し、巨大なプランテーションを作り、人々は技能実習という奴隷労働をさせられている。難民という弱者に入管は人間扱いをせず、さらにひどい悪法を突き付けようとしている》。
『●『ドキュメント 憲法を獲得する人々』読了(4/4)』
「【田中伸尚著、『ドキュメント 憲法を獲得する人々』】……
その他、「「神主の娘」の意見陳述」の木村さん、
「揺れる心で「アイヌ宣言」」の多原さん、
「在日だけど、日本社会の一員だから」の徐さん、
「沖縄に基地があるかぎり」の中村さん」
『●「「希望はTPP。」なのか」
『週刊金曜日』(2013年4月12日、939号)』
「平田剛士氏【アイヌ人骨〝発掘〟研究の実態は依然不明
北大のずさんな管理が発覚】……」
『●「安倍首相の暴走と「妄想」」
『週刊金曜日』(2014年2月7日号、978号)について』
「平田剛士氏【いまだ返還されず 全国12大学にアイヌ遺骨1636体!】、
「遺骨を返還すれば大学自体も癒される。アイヌも力を得て、
誇りを取り戻せるはず……より人間的な大学に変わるための
チャンスととらえることもできる」」
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【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/946823】
琉球人遺骨 返還認めず 京都地裁「原告に請求権なし」 解決へ環境整備を促す
2022年4月22日 05:00
昭和初期に旧京都帝国大(現・京都大)の人類学者が今帰仁村の百按司墓(むむじゃなばか)から持ち出した遺骨を京大が占有しているのは違法として、第一尚氏の子孫らが返還と損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は「原告に返還請求権はない」と判示し、請求を棄却。
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沖縄の遺骨返還請求退ける 京都地裁 昭和初期に京大研究者が持ち出し
2022年4月21日 14:49
遺骨返還訴訟 京都地裁
(判決を前に裁判所に入る原告団、弁護団ら=21日、
京都地裁前)
昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大学に、松島泰勝龍谷大学教授らが遺骨の返還などを求めた琉球遺骨返還請求訴訟の判決が21日、京都地裁(増森珠美裁判長)であり、原告の訴えを退ける判決が言い渡された。
原告側は人類学者らが1930年前後に遺骨を持ち出した際に「墓の関係者から同意や承諾など一切受けていない」として、京都大には遺骨を保管する権限がないと主張。民法や憲法、国際人権法を根拠に遺骨を返還するよう求めていた。原告は松島氏のほか、第一尚氏の子孫ら。
京都大学側は原告の主張に対し「(遺骨返還の)請求権を基礎付けるものではない」として、訴えを棄却するよう求めていた。
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[※ 辺野古は破壊「損」 【米軍飛行場の移設先として工事が進む沖縄県名護市の海岸】(東京新聞 2020年4月3日)↑]
沖縄タイムスの【社説[辺野古埋め立て再開]工事停止し再アセスを】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/585091)。
琉球新報の【<社説>辺野古で工事再開 民意いつまで踏みにじる】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1137943.html)。
《辺野古移設反対派が過半数を制した県議選からわずか5日、政府は名護市辺野古の新基地建設工事を再開した。選挙結果と民意に耳を傾けるのなら、中断を継続した上で、話し合いに応じるべきである》。
《名護市辺野古で政府が進めている新基地建設工事が12日から再開された。工事関係者が新型コロナウイルスに感染したため4月17日から中断していた。建設に反対する当選者が多数を占めた県議選から5日しかたっていない。政府はいつまで沖縄の民意を踏みにじるつもりなのか》。
『●地上イージス計画停止、遅すぎる《当然の帰結》…辺野古の工事は
中止してください! 海を殺すな! 辺野古も白紙にして原状回復を!』
「《「合理的ではない」と気付い》て下さい、辺野古は破壊「損」です。
#辺野古の工事は中止してください! #海を殺すな!
#辺野古も白紙にして原状回復を! そして、石垣島や宮古島など
島嶼での対中国のための、番犬様をお守りするための〝防波堤〟・
《標的の島》にすることにも反対します」
順番が逆になってしまいました。日刊ゲンダイの記事のタイトルは【工事再開の辺野古はイージス・アショア以上の壮大なムダ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/274724)。イージス・アショアは事実上の白紙撤回です。遅すぎる《当然の帰結》。ならば、#辺野古の工事は中止してください! #海を殺すな! #辺野古も白紙にして原状回復を!
工費と工期は∞。N値はゼロの超軟弱地盤、水面下90メートル下で(どうやって?)地盤改良し、埋め立てるという愚かな計画。完成することはない。100万歩譲って、新基地が完成したとしても、普天間は返還されない。つまり、辺野古は単なる破壊「損」。
『●与那国島や石垣島、《沖縄は名護市辺野古だけでなく、
宮古島もまた国防のために政府に翻弄されている》』
『●沖縄イジメ…《この74年間、沖縄戦以来、陸兵が軍服を
着て宮古島を闊歩する姿など誰も見たことはない》』
『●直ぐに辺野古破壊の中止を! 《最悪の場合、埋め立てた盛り土が
崩れ、護岸が崩壊する恐れ…安全な施工は保証できない》』
『●防衛省と「技術検討会」による《ずさん》な《「結論ありき」の
出来レース》…《軟弱地盤調査せず…何のための「検討会」か》?』
《辺野古移設反対派が過半数を制した県議選》《建設に反対する当選者が多数を占めた県議選》…結果に関係なく、選挙が終われば破壊開始。一体どんな神経をしているのか?
沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦] 「物呉ゆすど」再考】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/585393)によると、《第一尚氏が王位を奪われたクーデターは、官吏の安里大親が唱えた「物呉ゆすど我御主(むぬくゆすどぅわーうすう)」がきっかけとされる。直訳なら「物をくれる人が自分の主人」…▼再び土砂が投げ込まれた辺野古の海で、石材を運ぶダンプの車列の前で、あらがう市民にこの「物呉ゆすど-」を想起した。新基地建設の総工費は膨らみ続けて9300億円。県の試算では2兆5500億円に上る》。
壮大なドブガネ。アベ様や最低の官房長官の頭の中の構造はどうなっているのか…。
『●自公お維は辺野古破壊賛成を明示して戦った…
最低の官房長官はなぜ、「選挙は結果が全てだ」と言わない?』
「選挙の結果など一顧だにしない。かつて、最低の官房長官は、
名護市長選で、「選挙は結果が全てだ。相手候補は必死に埋め立て
阻止を訴えたのではないか」と嘯いた。安倍政権が推した渡具知武豊氏は
辺野古の「へ」の字も言わなかったくせに。今回は、なぜ、
「選挙は結果が全てだ」と言わないのか? 自公お維は辺野古破壊に
賛成を明示して選挙を戦った。辺野古破壊の賛否が争点であることが
明確になった上での選挙だ。その敗北の結果は、より一層重い
「新基地反対」「辺野古破壊反対」の民意の表明となった。直ぐさま、
辺野古破壊を止めるべきだ。最低の官房長官の《丁寧な説明》など
いらないし、沖縄3区の皆さんの《理解》など得られるはずもない。
N値はゼロ、工期と費用は∞…いくらドブガネしても、出来もしない
新基地、返還されもしない普天間のおかげで破壊「損」な辺野古。
その《辺野古が唯一の解決策》を繰り返す無能ぶりには、もうウンザリだ。」
『●「辺野古とカネ」…「辺野古が唯一」「辺野古ありき」とばかりに
辺野古破壊に集り、《政官業の癒着ぶり》が醜悪』
沖縄タイムスの記事【「辺野古」と対応に違い 陸上イージス白紙 どちらも「コストと時間かかる」が…】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/585920)によると、《地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の秋田、山口両県の配備を巡り、防衛省は15日、システム改修にコストと期間がかかるとして配備計画を停止すると発表した。一方、名護市辺野古の新基地建設を巡っては「辺野古が唯一の解決策」とし、工期・工費を大幅に延長・増額して移設計画を強行。対応に違いがみられる。…河野太郎防衛相は同日の臨時会見で「精査しているわけではない」と断った上で、SM3ブロック2Aの場合、日米で計2200億円以上、12年の開発期間がかかったとし「(コストや期間は)おそらくその近辺になるのではないか」との見通しを示した》。
前述の日刊ゲンダイの記事によると、《「コストと期間を考えたら、辺野古の方がよりムダな工事」。沖縄県の玉城デニー知事は16日、安倍政権にそう苦言を呈した。名護市辺野古の新基地建設の壮大なムダは、配備計画停止の「イージス・アショア」とは比較にならないほど》。当然の声だ。
琉球新報の記事【玉城知事「辺野古の方がより無駄」 停止のイージス・アショア計画と対比し疑問】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1139576.html)によると、《地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の秋田、山口両県への配備計画停止について「コストと期間を考えたら辺野古の方がより無駄な工事ではないか」と米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を進める国の姿勢に改めて疑問を呈した。玉城知事は16日朝、自身のツイッターでもこの問題に触れ、「『米軍普天間基地は辺野古移設せず速やかに返還されなければ基地の負担軽減という当初の意図を果たせない』と明快なご決断を」と書き込んだ》。
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【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/585091】
社説[辺野古埋め立て再開]工事停止し再アセスを
2020年6月13日 07:00
辺野古移設反対派が過半数を制した県議選からわずか5日、政府は名護市辺野古の新基地建設工事を再開した。
選挙結果と民意に耳を傾けるのなら、中断を継続した上で、話し合いに応じるべきである。
埋め立て工事は、関係者の1人が新型コロナウイルスに感染したため、4月17日から止まっていた。中断が約2カ月続いたのは、県議選への影響を避けるためだったとも言われている。
その選挙が終わった途端の再開だ。玉城デニー知事は「大変遺憾だ」と憤った。米軍キャンプ・シュワブゲート前では市民らが「政府は立ち止まれ」と抗議の声を上げた。
許容できないのは、普段は「選挙は結果が全て」という菅義偉官房長官が、自民党が議席を伸ばした一面だけを切り取って、新基地建設への「地元の理解が進んだ」と語ったことだ。
県議選が示した結果は、新基地反対の変わらぬ民意である。にもかかわらず建設ありきの一方的な解釈だ。
工事がジュゴンに与える影響も懸念されている。
沖縄防衛局が周辺海域で実施した調査で、2月から3月にかけてジュゴンのものとみられる鳴き声が42回も確認されたことが明らかになったばかりだ。
土砂運搬船が航行を始めれば、絶滅の恐れが高いジュゴンにさらに深刻な影響を与えかねない。
今進めるべきは、工事ではなくジュゴンの生息環境などの調査だ。
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本島近海に生息することが分かっているジュゴン3頭のうち、1頭は昨年3月に死んでいるのが見つかった。残り2頭は2015年と18年を最後に姿を見せていない。
国際自然保護連合(IUCN)は昨年末、南西諸島のジュゴンを絶滅の危険度が最も高い「絶滅寸前」種に引き上げた。
その直後の鳴き声の確認である。
県は防衛局に対し4月と6月、2度にわたり工事を停止しジュゴンへの影響を再評価するよう求める行政指導文書を出した。
その回答が11日やっと届いたが、内容は再評価の必要はないというものだった。
ジュゴンが戻っているかもしれないのに、衝突の可能性がある作業船を航行させ続けるつもりなのか、「絶滅寸前」とされるジュゴンの保護に本気で取り組む気持ちがあるのか、疑問を抱かざるを得ない。
■ ■
辺野古の環境アセスメントは、専門家から「史上最悪のアセス」だと言われるほど問題が多かった。
防衛局が4月に県に申請した軟弱地盤を改良する設計変更を巡っても、国にアセスのやり直しを求める声が相次いでいる。改良に用いられる砂の量一つをとっても県内の年間採取量の約3年分とされ、大規模な環境改変になるからだ。
ジュゴンの状況も埋め立て承認時とは大きく変わっている。
再アセスは必要不可欠だ。
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【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1137943.html】
<社説>辺野古で工事再開 民意いつまで踏みにじる
2020年6月13日 06:01
名護市辺野古で政府が進めている新基地建設工事が12日から再開された。工事関係者が新型コロナウイルスに感染したため4月17日から中断していた。
建設に反対する当選者が多数を占めた県議選から5日しかたっていない。政府はいつまで沖縄の民意を踏みにじるつもりなのか。
政府に求められるのは昨年2月に実施された県民投票の結果を尊重し、埋め立てを断念することだ。その上で、県内移設を伴わない普天間飛行場の全面返還を米国に提起してもらいたい。
そもそも、建設中の新基地は、その実現性さえ明確ではない。埋め立てを予定する大浦湾側にマヨネーズ並みの軟弱地盤が存在するからだ。改良工事が必要な面積は約66・2ヘクタールに及ぶ。
砂ぐいなど約7万1千本を打ち込む難工事だ。軟弱地盤は最も深い所で海面下約90メートルに達する。総経費は9300億円で、このうち約1千億円が地盤改良の費用という。
政府は2014年の時点で総事業費を「少なくとも3500億円以上」と説明していた。かかる費用を曖昧にすることで、国民の反発を避けようとしたと考えられる。
設計変更後の「9300億円」という見積もりも額面通りには受け取れない。前例のない困難な工事だけに、さらに膨張する可能性が大きい。大切な血税を浪費するだけで、いつまでも完成を見ないという事態が起こり得る。
政府が土砂の投入を開始したのは18年12月14日だった。だが、県の試算によると、土砂の投入は数%程度にとどまっている。
沖縄の民意を無視して、いつ終わるとも知れず、いくらかかるかも分からない工事に着手し、貴重な自然環境を破壊する。政府の所業は常軌を逸している。とても民主国家の振る舞いとは思えない。
沖縄に対し強硬な態度を取り続ける一方で、米国には常に弱腰だ。米軍の特権を認める日米地位協定の改定さえ言い出すことができない。強い者に媚(こ)び、弱い者には高飛車に出る。そのような国の在りようはいびつであり、一刻も早く改めるべきだ。
新基地に反対する民意は知事選や国政選挙で繰り返し示されてきた。7日投開票の県議選にもそのような県民の意向が反映されている。
政府が新基地建設の根拠にしているのが13年の仲井真弘多知事(当時、14年落選)による埋め立ての承認だ。しかし同氏は10年の知事選では「県外移設を求める」と公約していた。大多数の民意に逆行する決定を盾に、強権を振るっているのが現在の安倍政権なのである。
このようなやり方が許されるのなら、許認可権限を持った首長を説得することで、地元の同意なしにどんな迷惑施設でも自在に建設できることになる。沖縄だけでなく全国民に関わる重大な問題だ。
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