Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

レス

2020-12-29 09:24:35 | 読書
アンドリュー ショーン グリア, 上岡 伸雄 訳 早川書房(2019/8).

Amazon の紹介文*****
50歳の誕生日目前の売れない作家アーサー・レス。彼のもとに、9年間付き合った元恋人の結婚式への招待状が届く。レスはこう思う。
どうやったら式から逃れられる?
出席を断る口実に、レスは世界中の文学イベントを回る旅に出かけることを思いつく。ニューヨーク、ベルリン、パリ、モロッコ、そして京都へ。様々な出会いがありながらも、レスが思い出すのは元恋人のことばかり……。

《ニューヨーク・タイムズ》《ワシントン・ポスト》《サンフランシスコ・クロニクル》各紙の年間ベストブックに選出された感動のラブストーリー。*****

この紹介文ではわざと伏せてあるようだが,主人公レスはゲイで,若い元恋人も同性.じつはもうひとり元恋人,というより元々恋人も登場し,こちらは老人で.最後の章で倒れ,その奥さん (女性) から連絡が来る.
結婚式というのも同性同士の結婚式.この式から逃れるためにレスは世界一周する.売れない作家のくせに,旅費滞在費もちで各国の文学イベントから招待されるのが解せないが,レス本人が思っているほど売れていないわけではないらしい.レス(Less)は little の比較級だと思うが,訳者によれば「作家としても,ゲイとしても,恋人としても,どこか足りない(と自分で思っている)人物」を象徴しているる

サード・キッチンによればアメリカでは,大学生の 1/3 はゲイ・レズかバイセクシュアルということだ.レスは行く先々で相手をみつけるが,これがアメリカ人が想像する世界なんだろう.

どこへ行っても同じような繰り返しで,少々飽きた.最後は日本.訳者はあとがきで「50歳を迎えた男の再生の物語」と言っているが,そうしたポジティヴな印象はなかった.でもレスに同調できる語り口.ゲイの関係も異性の関係と変わらないと思った.

もくじがなく,ページの柱にレスの滞在先に因んで「フレンチ」「ジャーマン」「モロッカン」などと印刷されている.
ぼくが受験生だった頃の英語の入試問題になりそうな凝った文体.翻訳ご苦労様でした.

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