Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

松谷警部と目黒の雨

2014-01-06 08:08:51 | 読書
平石 貴樹,創元推理文庫(2013/09).

「BOOK」データベースより*****
陰ではマッタリさんと呼ばれ捜査中に俳句をひねるとの噂もある松谷警部は、目黒の殺害現場で所轄の白石巡査と合流。被害者の友人から聴取を始めたところ、過去の変死事件が浮かんできた。事件は予想外の広がりを見せるも、関係者に犯行の機会や動機は見当たらない。白石巡査の推理に期待し、松谷警部は助勢に徹するが…。犯人当ての妙味に富んだ本格ミステリ、文庫書き下ろし。*****

「虹のカマクーラ」の著者が東大の先生と聞いたことはあるが,ミステリも書いていたとは知らなかった.でもこの著者の旧作ミステリは古書でしか手に入らないらしい.

これはまず設計図を作り,それに基づいて書いたようなミステリ.警察の手堅い聞き込みがモノを言うあたりでは,鮎川哲也の諸作を連想した.

推理するのはもっぱら新米の女性巡査だが,上司の警部がまったりしているばかりでなく,とんがりすぎる部下をそれとなく庇ったりで,人間関係はうまくいっている (でも,挿入される俳句は正直言ってワケが分からない).
被疑者側は白雪姫と7人の小人である.天然美魔女の姫は強烈だが小人たちはそれに比べて影が薄く,初めのうちは誰が誰だか分からない.と言うわけで,全体に女性上位な小説.

最後に,巡査が警部に推理を披露するのだが,その場面は警部の家の茶の間で,「浦霞」を飲みながら.警部の奥さんも同席し,拍手したりする.学生の卒論発表の練習みたい.ここでは学生の方が先生より出来がよいのだが,平石先生の場合はそんなことはなかったのでしょう.

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