福永武彦「意中の画家たち」人文書院 (1973/7).
こ書で 400 円也.
タイトルの書も著者 : なんとなくわかるものだと思った.
Wikipedia によれば福永 (1918 - 1979) は,小説家・詩人・フランス文学者.ぼくが思い浮かべるのは,訳詩を論じた「異邦の薫り」,著者自らお遊びというミステリ「加田伶太郎全集」.純文学らしい夜の三部作「冥府」「深淵」「夜の時間」も読んだが印象が薄い.
この「意中の... 」も余技みたいな本かな.講談社文芸文庫に入っている「意中の文士たち」のほうが本技に近そうだ.
帯にあるように意中の画家とは岡鹿之助・東山魁夷・ゴッホ・ゴーギャン・ボナール・ルドン.岡と東山ではカラー印刷された絵画が貼り付けてある... いかにも昭和の本らしい ! 扉の前にもパラフィン紙 ? が挟んであったりする.
「ゴッホの生涯は一本の直線で示されるが,ポール・ゴーギャンの生涯ははるかに複雑多岐な多くの線からなる」などという書き方はなかなか小説家的.
ボナールの紹介は「ここに一人の平凡な画家がいる.(中略) 日常茶飯的な題材を,すなわちパリの街頭に見かける買い物に行く若い奥さんとか遊んでいる子供達を描き,南仏の明るい海とか街とか森とかを描き.また室内の食卓とか静物とか裸婦とかを描いた」で始まる.
今秋 フランス映画 BONNARD, Pierre et Marthe 邦題「画家ボナール ピエールとマルト」が公開されるそうだ.映画の CM によれば
*****マルトは「幸福の画家」ピエールにとって、単なるミューズをはるかに超えた存在となるのだが,2人の関係は謎に満ちていた.当時の常識からはかけ離れた破天荒な愛の形を営みつつも,生涯をかけ共同で充実した芸術的成果を生み出していく…*****
福永の考える 平凡な「幸福の画家」が,映画ではどうなのか,興味津々.でもこの映画を広島で観るのはむずかしそう...
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます