Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ハウスキーピング - Hobo's Blues

2018-11-28 09:52:39 | 読書
マリリン・ロビンソン, 篠森ゆりこ 訳,「ハウスキーピング」河出書房新社 (2018/2).
☆☆☆☆☆

Amazon からの引用 ***** 内容(「BOOK」データベースより)
鉄道橋の脱線事故で、列車とともに湖に沈んでしまった父親。これをきっかけに平凡な家族の歯車は世代を越えて狂っていく―拠り所となる家(ハウス)の喪失の悲しみを、息をのむような美しい自然描写が静かに包む傑作。ピューリッツァー賞、全米批評家協会賞など数々の賞に輝き、オバマ前大統領も愛する、アメリカ現代文学を代表する作家の記念碑的名作。PEN/ヘミングウェイ賞受賞。*****

取り止めがないストーリーと思えたのが,登場人物は次第に3人に収斂する.ホーボー派の叔母シルヴィ,その生き方に安らぎを見出す姉ルースと反発する妹ルシールの3人である.
最後はシルヴィとルースのふたりになり,それなりに盛り上がる.

Wikipedia によれば,ホーボーとは19世紀の終わりから20世紀初頭の世界的な不景気の時代のアメリカで,無賃乗車を決め込みながら,時には追い立てられながら,あちこちを渡り歩いた渡り鳥労働者のことである.ぼくはこの小説はホーボー文学だと思ったが,あとがきにはそんなことは書いてなかった.でも寛容にも「読む人それぞれの解釈があっていいし,著者の意図と違っていようと,どんな読み方をしようと,決して間違いではないと思う」と書いてある.

原文は英語が美しいことで有名だそうだ.訳文にもそれは充分に反映されているらしく,速読するのがもったいない.
若い時のように通読するつもりはない (できない) が,英語の原本も買うことにした.寝る前にパラリと開いたところを読むのが楽しみ.
姉妹は Ruthie と Lucille だが,日本語のルーシーとルシールは混同をまねく.そこでルーシーはルースと訳すことにしたのだそうだ.
日本語版は図書館で借りたので,英語版が届いても和文英文を対照できないのが残念.


hobo で思い出したのが,Paul Simon の Hobo's Blues.下の音源は Stephane Grappelli のジャズ・バイオリンとの組み合わせだ.ホーボーにこじつけるなら,ジプシー・バイオリンと言うのが適当か?


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