Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「思考実験」 ブルーパックス

2022-02-26 09:40:28 | 読書
榛葉 豊 「思考実験 科学が生まれるとき」講談社 (ブルーバックス 2022/2).

マックスウェルの悪魔とか,シュレディンガーの猫とか,大学の講義で聞いたけれど,話を難しくしているのか易しくしているのか,よく分からなかった.この本によれば,これらの有名な思考実験の来歴はよくわかる.しかし物理がよくわかるわけではない.というより思考実験は,よくわからない物理をわかろうとする努力の産物である,ということがわかる.

ぼくには量子力学嫌いのアインシュタインが仕掛けるいくつかの思考実験,ギャンブラーの誤謬などの確率問題がおもしろい.
文科系の思考実験も紹介されている.トロッコ問題はじめ,これらは読者の心理テストめいていて,ぼくの思考実験のイメージとはちょっと外れる.

目次*****
第1章 思考実験を始める前に / 第2章 実験とはなんだろうか / 第3章 思考実験の進め方 / 第4章 思考実験の分類 / 第5章 批判と弁護のための思考実験 / 第6章 問題提起のための思考実験 / 第7章 判断や解釈のための思考実験 / 第8章 教育的な思考実験 / 第9章 意思決定と思考実験*****

第 5-8 章は第4章に示された思考実験の分類に従っている.

著者の専攻は科学哲学・科学基礎論・物理学とのこと.なるほど,著者は,そして内容も分量もブルーバックス向き.「科学が生まれるとき」というサブタイトルには違和感があるが,編集さんが創ったのかな.

現在の高エネルギー物理学はまるごと (答えがない) 思考実験のようにも思えるのだが... 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前立腺癌の再発 | トップ | 東山彰良「怪物」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事