北沢美代「終の棲 - ホームの日々」 芸術新聞社 (2021/3).
*****自分の老後を考えはじめた時、私は家族の介護ではなく老人ホームを選んでいた。それで、 取り寄せたカタログを読み、見学し、説明を 受け、自分で決めて入所した。*****
入居者の目線で見たホームの日々.著者は 1941 年生まれ,すなわち自分とまったく同年齢ということもあって,図書館で借りた.夫は実社会で暮らしているらしく,子どももいるらしい.
かなり高額・高級なホームらしい.すなわち,著者は裕福らしい.
正月・ひな祭りなど折に触れ (触れなくても定期的に) スペシャルなお膳が供され,そのお品書きがすごい.しかし餅はなく,おこわも喉にひっかかるかもしれないから餅米ではない.何があっても流動食の人も多い.
著者は入居者の中ではいちばん若い部類で,日常生活には不自由がなく近場への外出もできる.上げ膳据え膳・掃除洗濯なし の毎日を物足りなく感じることもある.入居者は女性が圧倒的に多いが,会話が成り立つ人は限られる.夫婦で別々の部屋に入居し,妻は夫が亡くなったと信じているケースなど,シュールである.
スタッフにも入居者にも頼りにされる.優等生的に出しゃばるので,他の入居者との軋轢を生む場面もある.
戦争体験が描かれている.16 トンの場合,どこまでが体験で,どこまでが後で周囲のおとなに刷り込まれた疑似体験か,判断できない部分が大きい.同年齢の著者が描く鮮やかな体験から,案外自分の記憶も実体験に基づいているのかなと思った.
ところどころ,同じページに,多少表現が変わる場合もあるが同じことが述べられることがある.おばあさんの言うことと思えばご愛嬌だが,編集者の目が届かなかったのだろうか.
今年1月に同じ著者・出版社により「終の棲 II 老いと共に歩む」が刊行されている.
*****自分の老後を考えはじめた時、私は家族の介護ではなく老人ホームを選んでいた。それで、 取り寄せたカタログを読み、見学し、説明を 受け、自分で決めて入所した。*****
入居者の目線で見たホームの日々.著者は 1941 年生まれ,すなわち自分とまったく同年齢ということもあって,図書館で借りた.夫は実社会で暮らしているらしく,子どももいるらしい.
かなり高額・高級なホームらしい.すなわち,著者は裕福らしい.
正月・ひな祭りなど折に触れ (触れなくても定期的に) スペシャルなお膳が供され,そのお品書きがすごい.しかし餅はなく,おこわも喉にひっかかるかもしれないから餅米ではない.何があっても流動食の人も多い.
著者は入居者の中ではいちばん若い部類で,日常生活には不自由がなく近場への外出もできる.上げ膳据え膳・掃除洗濯なし の毎日を物足りなく感じることもある.入居者は女性が圧倒的に多いが,会話が成り立つ人は限られる.夫婦で別々の部屋に入居し,妻は夫が亡くなったと信じているケースなど,シュールである.
スタッフにも入居者にも頼りにされる.優等生的に出しゃばるので,他の入居者との軋轢を生む場面もある.
戦争体験が描かれている.16 トンの場合,どこまでが体験で,どこまでが後で周囲のおとなに刷り込まれた疑似体験か,判断できない部分が大きい.同年齢の著者が描く鮮やかな体験から,案外自分の記憶も実体験に基づいているのかなと思った.
ところどころ,同じページに,多少表現が変わる場合もあるが同じことが述べられることがある.おばあさんの言うことと思えばご愛嬌だが,編集者の目が届かなかったのだろうか.
今年1月に同じ著者・出版社により「終の棲 II 老いと共に歩む」が刊行されている.
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