Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「図書館は逃走中」

2021-05-24 08:41:13 | 読書
デイヴィッド ホワイトハウス, 堀川 志野舞 訳,早川書房 (2017/5).

4年前の刊行だが,僕的には数年来の大収穫.Amazon の紹介では*****
家にも学校にも居場所がなかった少年。彼はある日、移動図書館車の清掃員の母娘に出会う。本を通じた幸せな交流もつかの間、ある事件によって、彼らは移動図書館車に乗って逃避行の旅に出る。本と図書館を愛するすべての人に贈る、一風変わった家族ドラマ。*****

のどかな表紙イラストだが,内容は意外にシビア.
上には「家族ドラマ」とあるが,主人公 + 母娘 に脱走兵が加わって4人家族 ? を作る.娘には障害がある.主人公も.親友のサイボーグ化を信じたり,死んだ母親の帰還を妄想したり,どこか変.主人公とその父親,脱走兵とその父親 (城郭のような,しかし荒れ果てた屋敷に住む貴族) の2組の父と子が,互いに憎み合うところが鏡像的.
子どもが主人公だが,その父親の DV,主人公と障害少女へのいじめに対する報復で相手を失明 ? させるあたり,児童文学とは言えそうもない.犬が汚い靴下に執着するのがおもしろい.

全 22 章だが,目次なし.第1章のタイトルが「ジ・エンド」.初めのうちはなかなか状況が掴めず,ページが進まなかった...これは翻訳の問題ではないだろう.原文を英米人が読んでもとっつき難そう.でも各章の長さがちょうどよく,ストーリーは思わぬ展開を見せ,途中からやめられない感じになった.

ラストはややご都合主義的.
図書館で借用.
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