Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

坂口安吾 全推理短篇

2019-03-20 10:04:25 | 読書
「心霊殺人事件: 安吾全推理短篇」 河出文庫 (2019/3).

Amazon の内容(「BOOK」データベースより)*****
本格推理にして本格文学。安吾ミステリが『不連続殺人事件』だけではもったいない! 同じくあの巨勢博士が活躍する「選挙殺人事件」「正午の殺人」、元奇術師・伊勢崎九太夫がいい味を出す「心霊殺人事件」「能面の秘密」。そして、あずかり知らぬわが涙かな―傑作「アンゴウ」…。知的パズルの面白さも存分に発揮した全10篇。*****

巻頭の「投手 (ピッチャーとルビ) 殺人事件」が,読者への挑戦もあって,もっともミステリらしい.上に挙げたこの中の犯行部屋見取り図は,妹尾河童図法を取り入れた傑作.しかし残念ながらテキストとはあまり関係なく,早く言えばなくても良い図,いつも疑問に思うのだが,ミステリに出てくるこういう図は誰が描くのだろう?
この他,上記データベースに挙げられた「選挙殺人事件」以下の4編がミステリと言えそうだ.「アンゴウ」は小説として面白い.既読感あり.

「不連続殺人事件」は日本推理史上に残る大傑作と思うが,そのトリック? は著者の筆力と言えそうだ.この本の短編,特に残りの5編も著者の筆力で最後まで引っ張る (あんご節の嫌いな人は除く).しかし悪く言えば流行作家の走り書き集である.
サブタイトルに安吾「全」推理短篇とあるが,山前譲の解説には『ここには収録されていない「犯行」...』という文章がある.矛盾していない? KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ,次回刊行は「法水麟太郎全短編」だそうだが,これも文庫本一冊に全短編が入るわけがないように思う.

☆☆★

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