Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

続 藤森照信, 山口 晃 「日本建築集中講義」

2021-09-08 09:32:54 | 読書
一昨日の続き.印象に残ったことどもを断片的に.
トップ画像右は第1回の扉.各回の扉絵に著者2人が登場.左は松本城の記述を参照してください...よく見えないとおっしゃる方は,本を買ってください.

第3回 (以下回数は省略)「旧岩崎家住宅」の和館はアメリカ軍の諜報機関キャノンが使っていた,地下に拷問室があったという話はあながち嘘ではない.

「投入堂」 山の中腹に投入されているのは,山頂は神様のいる場所だから人工物は作れないから.ヨーロッパでは聖なるものがあればその上に作っちゃう.ギリシャのメテオラの寺院とか...

「聴竹居」は昭和初期,欧米のモダニズムと日本の数寄屋デザインのシアワセな関係を追求した建築というが,著者のひとり・藤森はその計算し尽くされた完璧ぶりに辟易.もうひとりの著者・山口も「図面が建ってるるみたい」と同調している.

千利休の「待庵」の解体修理をやろうって奴はいない.造り方のルールのわからない建築を解体すると2度と元に戻らない可能性がある.
普通の建築には大工が丁寧にやったあとが手垢のように残っているが,待庵にはそれがない.花を生けるような気合いでエイヤッと造ったようだ.転がるに任せる部分と狙った部分が良い塩梅に決まって絶妙な配置.

「修学院離宮」では一般客と団体行動をとらされて不平たらたら.
上・中・下の3離宮が点在していてそこをつなぐ地面は農地改革で不在地主 = 天皇が手放したが後に政府が買い上げた.今では田畑になっている.ビニールとかトタンとかがけしからん (藤森),そこに好感 (山口).

「旧閑谷学校」 床面はふき漆.その深い沼のような光沢を守るためにむ,靴下の上からさらに渡された靴下をはいて講堂に入る.

「箱木千年家」は現存最古の民家.室町期のものだが竪穴式住居の面影も残す.ダム建設のため移築されたが,移築前模型・移築前写真と現在の移築後の建物はどれも違う.

藤森は「松本城」には冷淡.ついでと称して氏の生家・茅野のフジモリ・テーマパークに一行を案内する (トップ画像左).

「西本願寺」では,障壁画と建築とが共存していること,すなわち柱とか長押とかの建築の基本を明らかにされているのに,絵と分離していないことが強調される.西欧の壁画では絵だけがドーっと迫ってくる.山口は,低い位置のぼんぼり照明で金箔・金泥が絵の奥から柔らかい光が差し込んでくる効果を生むと指摘する.

こう並べてみると,講義の脱線部分がおもしろかった,ということになる.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg