広島県立美術館.
これはチケットにもデザインされていた,宮本武蔵鯨退治之図.何かの本で見たときは屏風にでも描いてあるものと思っていたが,実物は 36.8 × 78.0 cmと,A3 をひと回りかふた回り大きくした程度.浮世絵3枚分らしく,意外に小さい.背中に虫みたいに留まっている武蔵を,優しい目をした鯨が圧倒.ヒレがネクタイをひらひらさせているように見えるのがおかしい.
ストーリーを気にしなければ,とても美しい絵だ.
武者絵,役者絵,美人画などに分類されているが,こうした範疇に入らない,下の CM 動画の,人体を集めて顔を作った「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」や,だまし絵シリーズ,一連の猫の擬人画がやはり面白い.
猫は現代の猫と変わらないはずだが,猫の描き方は現代と違い,可愛くない.美人画の描き方も現代と違い,セックスアピールがない.猫はこういうもの,美人はこういうものというお約束が,時代とともに変化したためであろう.
前期後期で展示を一部入れ替えるとのこと.
混んでいた上に,小さい絵ばかり.浮世絵はもともと印刷だから (最後の部屋に数枚の肉筆画もあるにはある),これなら本で見ていたほうが賢明だったかな.