スイス秘密口座 ついに風穴？

 

　　　　　　　　　　　　　

 

世界的な金融危機をきっかけにスイスの銀行の「秘密口座」の一部に風穴があいた感じがします。米国発の金融不況が米国人富裕層にとって最も恐れている事は、自分の秘密の財産が暴かれる事かも知れません。スイスの金融最大手であるＵＢＳは世界の富裕層にとって資金を秘密預金出来る銀行としてここには世界各国からいわくつきの資金も利用されている様ですが・・こうした中で米司法当局の捜査で米富裕層に対するＵＢＳの預金集めの実態が今回報道され、その悪質さが問題になっているそうです。

その手法は、米国で募集したＵＢＳ代理人に出来高払いを約束して、富裕層にＵＢＳに預金する事を勧めて、そこで集まった現金を手荷物としてスイスに持ち込んで秘密口座を開設するそうです。または美術品や貴金属を秘密金庫に預けたり、海外のタックスヘイブン（租税回避地）を経由するなど、代理人は顧客の資産隠しに向け、ノウハウを伝授していたとの事です。そうして開設した秘密口座は５万２０００にもなっているとの事で、２００５年前後には秘密口座の資産総額は１４８億ドル（約１兆４７００億円）にのぼったと言われております。

しかし・・オバマ米政権による金融・経済危機対策には１兆５０００億ドル（約１４８兆９０００億円）を上回る可能性があり、将来米国の増税は避けられな言われる現在・・・「富裕層の脱税等によって毎年１０００億ドル（約９兆９０００億円）の歳入が失われている」事は我慢出来ない事との思いを抱くのは当然だと思います。

この問題に厳しいレビン民主党上院議員やその他の人は脱税を批判する米政府の求めに応じて、初めてＵＢＳの一部の顧客情報を引き渡したそうです。それは拒否すれば当局から訴追されてスイス経済界の経営破綻の引き金になりかねない・・・と判断したためと聞きました。これまで銀行の守秘義務を“国是”としてきたスイスだけに、今回の事態をめぐって大きな騒動に発展しているそうです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

何しろＵＢＳ側は米国の富裕層の資金をスイス銀行の開設した秘密口座に預金させる活動をしていたのですから・・こうした実態が暴かれて訴追寸前まで追いつめられたＵＢＳ側は２月、米国における脱税が明らかな２５０～３００人分の顧客情報を米国政府の要求で提供したと事で、不正利益分として７億８０００万ドル（約７７４億５０００万円）を当局に支払うと約束したそうです。

これを受けてスイスのメルツ大統領は「わが国の銀行守秘義務は納税不正者の秘密を守るものではない」と宣言したそうですが・・・この発言は説得力がありません。　米司法省も現在のオバマ政権下では「いま数百万人の米国民が仕事や家を失っている。富裕層が納税義務を逃れようとしていたことに驚きを禁じ得ない」との声明を発表したそうです。これに対してスイス銀行協会の広報担当者は産経新聞に対し、「米国に強力な政治ロビーを持たないスイスが狙い撃ちにされた」と言ってますが・・この見解は賛成できません。

スイスの日刊紙は「スイスの銀行守秘義務は今や神話になろうとしている」と嘆いているそうです・・・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのカーチマイアー博士は「守秘義務を貫くスイスの銀行への信頼性はこの５０年で低下しており、ＵＢＳの問題がスイスの銀行全体に波及するのは必至だ」と言っているとの事です・・・　

レビン米上院議員（民主党）は、米国の富裕層により利用されるスイスやケイマン諸島など租税回避地の閉鎖を狙う法案を２日に提出する都の事です。これは２００８年にオバマ議員（当時）と共同提出した法案を拡大したものとの事ですが、米国で年間１０００億ドルを超えると租税回避のスキームの幅広く取り締まれるような法案をレビン議員は提案した訳です。米上院は２日後にスイスの銀行大手ＵＢＳの幹部を召喚してスイス銀行への調査に関する公聴会を開く予定と聞きます。

　レビン氏はロイターにあてた書簡の中で「オフショアのタックスヘイブンとタックスシェルターがわれわれの税システムの統合性を弱体化させている。オフショアでの租税回避により、われわれの予算から毎年１０００億ドルが流出していることを許すことはできない」と述べたそうです。その上で「われわれに政治的意思があれば、秘匿と戦い、オフショアの租税回避を撲滅させることが可能だ」とも・・・上院関係者によると、同様の法案が下院にも提案される見通しとの事で、いよいよ世界の府密の金庫の扉が開かれようとしています・・・

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