アンジョルラスが好き

おもにAaron Tveitについて
彼に興味が無ければつまらないです。
コメント欄が面白いので読んで下さいね。

リラの恋・月下の告白 2

2013-11-15 | 妄想のアーロン



部屋の中は灯りが消えていました。けれど、月明かりが煌々と中を照らしています。

アンジョルラスは長椅子に寝ていました。少し寒いのか布にくるまっています。
金色の髪が乱れて、額にかかっていました。
広いベッドでゆっくり眠れる身分に生まれながら、彼はこうして古い長椅子で
寒さに震えながら寝ている・・・

愛おしさが、こみ上げてきました。気づかれたいのですが、いざとなると静かに
見守るしかできません。こんなに近くで彼を見るのは子供の時以来です。
いけないと思いつつ、そっと彼の髪の毛に手を触れました。
すると、アンジョルラスがいきなり寝返りをうち、動き出しました。

リラは動転して、おもわず近くにあった机につっぷして寝たふりをしてしまいました。
他にどうすることも、できなかったのです。

ほどなくして、アンジョルラスは起き上がりました。

「え?・・・リラ? なぜここに?」


「リラ、起きるんだ。なぜここにいるんだ?」

リラは寝たふりをしたのを後悔していました。
なんのために、ここに来たというのか・・・

アンジョルラスは静かに声をかけながら、リラを少しゆすります。
けれど、今さら、起きるわけにはいきません。

すると、次の瞬間、リラは自分の体が宙に浮くのを感じました。
抱き上げられたのです。
アンジョルラスの硬く引き締まった腕を体に感じて、リラは顔が紅潮してきました。

アンジョルラスはリラを先ほどまで自分が寝ていた長椅子に下ろし、自分がくるまっていた布で
彼女を、そっとくるみました。

アンジョルラスは当惑していました。リラがここにいる理由がわからなかったからです。
しかし、不思議なことに、彼は今、この状況にすっかり魅せられていました。

理性で抑えて、リラにはなるべく逢わないようにしていても、いつもどこかでリラを求めている・・・
そんな自分が嫌で、リラのカフェミュザンへの出入りを止めたりしました。
本当はリラに逢いたいのです。リラをみつめていたい、リラを・・・

 先輩、このごろ綺麗になりましたね。恋でもしてるんじゃないですか?
・・・と、マリウスにも言われたっけ。


「リラ、本当は起きてるんだろう?」

耳元でアンジョルラスがささやきました。

見抜かれていた・・・
リラは、あわてて飛び起きました。恥ずかしさで、顔が再び紅潮します。

けれど、実は、驚いたのはアンジョルラスのほうでした。
リラが起きているとは思っていなかったのです。

ほんの小さな子供のころをのぞいて、アンジョルラスがリラの寝顔を見るのは、これが初めてでした。

故郷を離れるときに泣いていた可愛いリラのことが、ずっと忘れられませんでした。
いつも逢いたいと思っていました。

けれど、パリで再会したリラには、アンジョルラスはあまり逢おうとしませんでした。

リラがパリに出てきた理由を彼は知りません。リラは何も話さないからです。
気の進まない縁談から逃げてきたんだろうか?
あるいは、昔、パリの話を何度も読んで聞かせたので、どうしても来たくなったのか?

再会した日にリラが、黒い瞳でアンジョルラスを見上げたとき、彼の中で彼女への畏れが生まれました。
自分でもそれと気付かぬうちに、彼はリラに心を支配されたのです。

見てはいけないと思いながらも、どうしてもリラから目が離せないでいました。
先ほど抱いたときに感じた柔らかな感触と甘い匂いが、何度も甦ります。
甘美な、そしてリラには言えないような衝動が、アンジョルラスを支配していました。
このままリラを・・・・・・



限界を感じたアンジョルラスは、自制のために声を出したのです。
「リラ、起きてるんだろう?」と・・・

「ごめんなさい、勝手に入って 」
リラは消え入りそうな声で謝りました。


返事はありません。
アンジョルラスは、リラに背中を向けるとランプに火をつけ、書類に目を落とし始めました。

 先輩、書類さかさまですよ

無言のまま、時が流れます。
リラは身の置き所がありません。恥ずかしくて、悲しくて、消えてしまいたい・・・

とうとう、我慢できなくなり、震える声で言いました。

「もう、ここには来ません。ごめんなさい・・・ さようなら。」

出て行こうとしたリラは、突然、強い力で腕をつかまれました。
そして引き戻されました。

泣いているリラを見て、アンジョルラスは、強く握りすぎた手を離しました。
そして、今まで聞いたこともないくらい、甘く優しい声でささやきました。

「なぜ、ここに来たの、リラ」

実は、アンジョルラスの胸は喜びでいっぱいでした。
リラには用事など無いのだと思ったからです。
用事などない、ただ自分に逢いたかったから来たのだと。

リラを、この上ない優しさをこめた目で見つめています。

リラの胸にも、言いようのない幸福感があふれてきました。
あの月の歌の最後のように、ふたりは暗闇で何かをみつけたのでしょうか?
アンジョルラスの目を見上げていると、それは確信に変わってきました。

リラはうっすらと上気した顔をあげ、アンジョルラスの次の行動を待ちました。

リラのやつ、バージンの俺に何、期待してるんだ~
 
けれど、それは結局は、やってきませんでした。

アンジョルラスは、ふと我に返ったようにリラから離れ、再び机に向かいました。
そして一言「明るくなったら送って行くから」というと、熱心に書類に目を通し始めました。

 先輩、それ、居酒屋のメニューですよ。

リラは再び、アンジョルラスの気持ちをつかみ損ねました。
リラの心の中は、彼への問いであふれました。
けれど、もう口には出せません。
彼から何かを言ってくれるまでは。
自分は、これ以上ないくらい、気持ちを伝えたではないかと。

アンジョルラスも思っていました。
もう少しで、彼女の愛の言葉を聞けたかも知れない・・・と。
けれど、その言葉を聞いたら、彼はこの場で彼女を自分のものにしてしまうでしょう。
そして、彼女を引き返せない苦しみの中に引きずりこんでしまうかもしれない。
今の彼には恋はできません。

いつの日か、言える日が来るのか・・・それは彼にも、わからないのです。


ジーザスクライストスーパースターのⅠdon't know how to love himです。
娼婦であったマグダラのマリアの歌なので、多少リラの歌としてはニュアンスが違いますが、普通じゃない男性を
愛した女性の歌と考えれば、なんとなくリラにも合うかなと思いました。

私は彼をどう愛したらいいのかわからない
何をしたら彼の心を動かせる?

どうしてあの人にこんなに心を奪われるの?

彼だって、ただの男
ひとりのただの男にすぎないわ

いっそののしってしまおうか
泣き叫んですがろうか
愛しているって、叫ぼうか

こんなことって今までなかった

でも、もし彼が愛してるって言ってくれたら

私は迷って、おびえて、何もできなくなるかも
彼の前から逃げ出してしまうかも
だから、それを知りたくないの

私は彼を恐れている
だけど、彼が欲しい
彼をとても愛しているの


♪彼を知ってから、ここ数日、私は変わったとか、
過去にいくらでも男なんて経験したのにとかの部分は
ちょっとリラと合わないので勝手に歌詞を割愛。

 なんか、あのとき、リラが俺を好きかもって思ったのが勘違いな気がしてきた。
もじもじ赤い顔して言いにくそうにしてたのって、もしかして金を借りに来たとか、そういう可能性もある気がして・・・

 あー先輩、慰めるわけじゃないですけど・・・それはないですよ
先輩に借金申し込めるやつなんていませんって。俺ならコンブフェールか、クールフェラックにしか頼みませんってば。



賽(さい)は投げられた
 
が、ふりだしに戻った。 すみません、展開なくて。

ところで、アーロンが殴られるシーンがお好きな方が多かったんで、貼っておきますね。
嫌いな人はごめんね。




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51 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (nonom)
2013-11-15 15:32:24
あ~ん、
アンジョルラスったら~!
何てこと!
女からは誘えないですよ~(泣)
襲ってくれ、なんて...

もどかしい~

でも、そんなところがアンジョルラスなんですよねぇ。(泣)
女としては、悲しいけど...
思いを伝えてしまったら、結ばれてしまったら、余計にリラを苦しめる。
自分には成し遂げなくてはならない使命がある。それは、絶対に譲れない!
リラに愛を与えてあげたい、でも命をかけて革命にのぞむ自分には、そんな資格はない。
どうにもならないジレンマに悶え苦しむアンジョルラス、萌えま~す。(笑)

私だったら、女からでも襲っちゃうのになぁ~。
って、ヤバイ!
私、清純派でした。
危ない、危ない(笑)
このお話、その3もありですか?
期待、期待。(ワクワク 笑)
Unknown (yuri)
2013-11-15 18:33:46
あー、実はyuri先輩は何度かアンジョルラスを襲いました。
そのたびに激しい攻防戦が繰り広げられて・・・
彼は、それでだいぶ戦闘を学びました。
彼ひとりが最後まで無傷で戦い続けられたのは、一重に
日夜襲い掛かるyuri先輩の魔の手のおかげなんですよ。

という話はどうでもよくて~w
ルイですよ、ルイ。
少し画像を探したんですけど、誰かそれで記事書いて
くれないかな。
美少年が主人公って興味はあるけど、エピソードが浮かばない・・・
車輪の下みたいな感じの主人公はどうかな?
ロミオの青い空みたいなのとか?
うーーーん

感想いただけて嬉しかったです。
いつも、書いてて少し不安なんですよね。
私、女好きのアンジョルラスばかり書いてるじゃないですか?不快な方がいらしたらごめんなさい。

3は・・・いまは考えてないけど、nonomさん書いてw
またやっちゃったよー! (miho)
2013-11-15 19:38:39
今、駅に向かうバスの中。帰宅中のいつものルート。ああ!今度はバスの中で「変な人」になりましたよー。。
yuri様凄すぎる。リラとアンジョルラス、きゅんきゅんしながら感極まってたのに、間のマリウスとのコント?が。
金借りに来たとか、借りるならコンブやクールらとかw
今も、コメントしながらまた笑っちゃったよー。
感動の狭間に、いつも上手く盛り込んでいただいて!
リラの恋は、眼を血走らせて読みましたが、月下の恋は1番好きかも。だって私も絶対寝たふりすると思う。
イチダイ決心しても、寝たふりですよ!
アンジョルラス前にしたら、こーなる自信ありw
たのしー、うれしー!

しかし、このお話とは別に、私はいっそ
アンジョルラス、ゲイでもいい気が・・・。
バイでも。何かストーリーが浮かぶ気が。
Howlのプロモ?見たら、アリのような可愛さを感じて。。

はあー、今日は胸一杯で眠れます!
感謝!
Unknown (yuri)
2013-11-15 21:38:51
>mihoさん
ありがとう~
書いてるうちに、頭混乱しちゃってw
なんか何書いてるか、だんだんわからなくなってくるんですよ。
だから、そんな嬉しいコメントをいただけると、本当に嬉しいです。

nonomさんから、ルイっていう美少年のお話を提案してもらってるんですけどHowlののりで、mihoさん、書かない?

アリ?蟻かと一瞬w
アリ王子ですよね?
Howlの日本語字幕が欲しい。どんなストーリーなんだろう?

胸いっぱいで眠れるなんて、本当に嬉しいです。
こちらこと、感謝にたえません。
Unknown (nonom)
2013-11-15 22:59:18
yuriさまのアンジョルラスとリラの物語を読んでいると
胸がキュン!って、なります。
ずっと、読み続けた~い!

で、
ルイのことですが、煩わせてしまいすみません。私なりに考えてみたのですが、

ルイは孤独な少年でした。
裕福な家に生まれ何不自由なく育ちましたが、ただ一つ、愛された記憶だけが無かったのです。
彼の産みの母親は、彼が3歳のときに他界し、金髪で静かな微笑みをたたえた美しい人だったとしか、覚えていないのです。
写真は、後妻にはいった継母が全て処分してしまいました。
初めこそ優しかったその人は、自分の子が産まれるとすっかり豹変し、ルイを疎んじるようになりました。彼は、戸惑いと悲しみのあまり、笑わない無口な少年になっていきました。唯一の頼れる存在であるはずの父親も、彼の孤独感を理解できず、可愛げのない子供と思ってしまったのです。
ますますルイは心を閉ざしていきました。家に居場所のない彼は、いつからか街を徘徊するようになり、そんな時です。街角で力強く演説するアンジョルラスに出逢ったのです。それは、衝撃的な出逢いでした。アンジョルラスの姿に、父親のような兄のような、または恋人のような、母親のような、尊敬、憧れ、愛情、どう表現していいのかわからない特別な感情が彼の胸を射抜いたのです。
そして、アンジョルラスの姿を追いかけるようになりました。

yuriさま、こんな書き出しは、いかがでしょうか?
Unknown (sawa)
2013-11-15 23:08:02
あぁ、もどかしいっ。
リラがなんとも愛おしすぎますー。
アンジョルラス~、早くリラを幸せにしてあげて!

でもそうすることが余計にリラを苦しめてしまうというアンジョルラスの苦悩にも、胸が痛い。

もはやリラが、レミゼのエンドロールに名前があって当然な気さえしてきました。
まさかまさかの…♪ (Lilas)
2013-11-16 02:04:11
最初の、アンジョルラスが寝てるところ、ものすごくどきどきしながら読みました。きゃ~、しがみつきたいよ♪って。

そうしたら…リラ、まさかまさかの寝たふり~ww そうきましたか~w

「なぜここに?」の画像、なんだか合ってていいですね!

…さっきまでアンジョルラスがくるまっていた布、私もくるまりたいよ♪(…あ、なんか魔法の絨毯での忘年会のなごりがw)

…アンジョルラスが、リラに、ミュザンに来るなと言っていたのはそういう理由だったんですね。全然気がつきませんでした。なんか納得~。

マリウスのつっこみ、ますます素晴らしいですね。書類をさかさまで見ているアンジョルラス、見てみたい!

1も2も、どきどきしました。読ませていただけて、ありがとう♪
…シャイな“乙女リラ”、がんばった♪ ふりだしに戻ったのかもしれないけど、とりあえず、気配りの人コンブさんにお礼を言っておこうねw
Unknown (yuri)
2013-11-16 10:13:32
>nonomさん
ルイの環境、私、なぜかまったく逆のものを想像してました。

ガブローシュみたいな食うや食わずの極貧の浮浪児みたいなのか
村の出身で、貧しいけれど頭が良いので地主さんがお金を出して
パリの大学に入れてくれるとか
あるいは、フイイみたいな貧しい職人とか。

確かにお金持ちでも、さびしいことはありますよね。
気付かなかったわw

シンデレラの少年版みたいだけどw でも素敵だと思います。

アンジョルラスの写真、同じものになっちゃうけど、それは許してね
彼は戦ってたり、血だらけだったり、叫んでたり、普通じゃない画像は
たくさんあるんだけど、笑ってたり、優しそうな顔したりが、ほとんど無いw

リラには、甘くて綺麗な曲を選んできたけど、男の子だったら、どうのかな・・・
ワクワクしてきた。

よければ、もう少し続きを考えて~
Unknown (yuri)
2013-11-16 10:25:44
>sawaさん
>アンジョルラス、早くリラを幸せにしてあげて!

いつも、生みの親のLilasさんがおっしゃってるけど、死ぬのがわかってるから
辛いよね、アンジョルラスは。ロミオとジュリエットが死なないわけにいかないし。

sawaさん、また舞台の話とか、差し支えのない範囲内で聞かせて下さいね。
私、今回貼ったIdon't know how to love him大好きなんですけど、自分で
歌うと・・・w 

歌がうまい人と、絵がうまい人って、憧れる。

sawaさん、靴を落とすのは古いのなら、歌でおびき寄せるのは?
ディズニープリンセスの伝統だし、あれは無くしてはならない技ですから。

え?あ~~ゴキブリとねずみが~~~

さようなら~sawaさん

アーロン、まっさきに逃げ出しました。逃げ足はやいねw
Unknown (yuri)
2013-11-16 10:37:49
>lilasさん
そう、「なぜここに?」はぴったり合ったのがあって、嬉しかったです。
気付いてくれてありがとう~w

アンジョルラス、優しい顔が少なすぎw
ましてうっとり画像なんてゼロだし。

アンジョルラス様のくるまっていた布、包まりたいよね。
くるまりたいって、包まりたいって変換されるんだね。
つつまりたいって読みそうになる・・・

て、それはどうでも良いとして

旅立ちの日のリラ、どうですか?
クリスマスのリラも~~読みたいよ~

もうすっかり街はクリスマスムードですよね。
そろそろ 歌って欲しいクリスマスソングとか、アーロンと過ごしたいクリスマスとか
はじめないと間に合わないかな。

レミゼ公開一周年もせまってるし
CDの解説もみんなで作りたいし
N2Nの解説、AZさんが書いてくださったのも、まとめたいし

うわーーできるんだろうかw
風呂敷広げすぎた。

Lilasさんも、お忙しいとは思うんだけど、Lilasさんの書くリラと
アンジョルラスの大ファンとしては、どうしても言ってしまうのです。

早く読みたいw

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