新・名も無い馬ですが・・・・・

2013年11月3日に旅立ったマイネルスティング。
その想い出と一緒に、これからも名も無い馬たちの応援をしていきます。

★★ 落選作…前編 ★★

2016-11-17 | 日記
 昨日今日と会社の旅行で十勝に行きました。
北海道生まれの私ですが、実は十勝って行った事無かったんです(行った事無いのは十勝に限らず結構たくさんありますが)。
途中、富良野市で食事をとりました。
それもトウカイパルサーの暮らす牧場さんと同じ地域です。
職場の仲間と談笑しながらも心はパルサーにとんでいました。
何につけてもお馬が絡み、我ながら「馬しかないんかい!」って突っ込み入れたくなるエドリンです、今晩は。


前回の記事に書いたように、某雑誌のエッセイコンテスト落選作、発表させて頂きまァす。
原稿を送付してからずっと、引き出しの奥にしまいっぱなしで久しぶりに読みなおしてみました。
読み返してみて、これは落選するのも無理ないわと改めて納得したほどのものですが、こんな駄文でチャレンジした私の度胸に免じて読んで頂けたら幸いです。




   幻の9番ゲートの馬  

 一頭の馬に心惹かれるのには人それぞれ、いろんなきっかけがあると思います。
でも、きっかけはどうあれ、好きになる事に分けも理由もありません。
気が付いたら忘れられない存在になっていた・・・・それはある意味、異性に恋する気持ちに似通っているかも知れません。

 その人の心に飛び込んできたのは、おおよそ競走馬らしくない競走馬でした。
体調を崩して長年勤めていた仕事を退職し、気晴らしにたまたまパソコンで見ていた園田競馬。
門別競馬から移籍してきた、その日が園田最初の2番人気の馬が何故か妙に気になり、単勝を百円だけ買ってみた、それが全ての始まりでした。
彼女の買ったその馬は何という事かスタートしてからゴールまで、12頭立ての12番目のまま、つまりずっと最下位だったのでした。
「この仔、こんなんで競走馬としてやっていかれるのかしら?」
馬券が外れたことより、その事が酷く気になりました。
トップハートコンという名の3才の牡馬。
そこから彼女の心の中にその馬が、大きな存在となって居座ったのでした。
 2014年5月、門別競馬でデビューしてから園田競馬に移動するまで、6戦して殆どが最下位という成績のトップハートコン。
それでも「その内にもしかしたら・・・」と、彼女はその馬を追いかけだしました。
気になって見離せなかったと言った方が良いかもしれません。
ネット競馬の掲示板に応援コメントの書き込みも始めました。
たった1人の書き込みでした。
何とか一つでも前の順位でゴールして欲しい。
一度で良いから競走馬として先頭ゴールする喜びを味わってもらいたい。
日を追うごとにこんな思いが強くなっていきました。
ところが彼女の思いとは裏腹に、トップハートコンの成績に変化はなく、園田競馬も6戦して今度は名古屋競馬へと移動することになったのでした。
それでも、どんなに負けても彼女はトップの単勝を買い続け、レース後には必ず掲示板に励ましのコメントを書きこみました。
それはいつの間にか、病気で落ち込みがちになる彼女の生活の支えになっていたのです。
名古屋に転厩してから僅かずつながらもトップの成績が上がり始め、4着や5着に名前が載る事もありました。
ただ残念なことに、そのレースはどれも賞金が3着までとか4着までしか出なかったのです。
でも彼女には、競馬場の電光掲示板にトップハートコンと名前が載るだけで、涙が出るほど嬉しく誇らしかったのでした。


          続きます