これ以上ないくらいの秋晴れの中、またまたこれ以上ないくらいの順調さで、私たちを乗せた車は日高路を進みました。
一応、初めてお伺いする牧場さんは今日はもうありません。
あとは親戚に行くような気もちで行ける、スティングの所とナイスの所が今日のスケジュールに残っているだけです。
まずは、スティングのところへ・・・。
ここで私たちはまた、スティングの賢さを改めて知らされる事になるのです。
牧場に着いて車を降りた私たちは、何故かこの日に限り、ビッグゴールドさんのところへ行きました。
ゴールドさんの為にと届けられた立派なリンゴをゴーちゃんに食べさせようと、みんなでワイワイ言いながら、写真を撮ったりリンゴをあげたり、しばらくはしゃいでいました。
ちなみに、スティングはリンゴはあまり好まないようです。
季節的な皮膚病(おむし)でたてがみが減ってしまったゴールドさん。 涼しくなったら治るとかで、もう少しの辛抱だからね。
その内に誰からともなく「そろそろスティングのとこに行かなきゃ」と言い始め、私たちはやっと動き出しました。
人参の入ったバケツを持って、側道(この言葉をナビで聞いた時、食堂と勘違いしたのは私です)をブラブラ歩きながら、スティングの放牧地まで呑気に向かった私たち。
到着すると、スティングはずっと向こうで青草を食んでいます。
「スティング! スティング~!」と呼ぶのですが、聞こえてないのか気づいてないのか動きません。
何人かで何度も何度も呼ぶと、やっと顔をあげ、こちらに向かってゆっくり歩き出しました。
ところが、みんなが待っている1メートルほど手前でストップし、横向きになってまた草を食みだしたのです。
「あれ~?」
みんなで名前を呼びながら、バケツを見せたり人参を見せたりしてもこっちを見もしません。
「スティング、拗ねてるよ」
誰かが言いました。
私たちのすぐそばです。 拗ねてます
確かに、私たちが人参を持って待っているのはしっかりわかっている筈です。
それが、すぐ近くまできて、わざとらしく草を食み始めたのは、明らかに拗ねている態度です。
それでも少ししてやっと傍までやってきました。 それも、嫌々と云うふうな動き方で。
それからは取りあえず人参のバケツ食いをしたりして、いつものスティングに戻ったように思えました。
向かいの放牧地の1才馬たちに人参をあげるために走りまわったり、しばし、いつも通りの触れ合いタイムが続き、やがて次の場所へ向かうための時間が来てしまいました。
「何や気分のらへんねん。」
「おいらの気持ちなんて誰もわかってくれへん」
「・・・・・・・・・」
「スティング、帰るからね。 また来るからね」
と、お別れの言葉を言いながら歩き出すと、じ~っと見ているスティング。
それもいつものシーンなのですが、何かいつもより寂しそうな感じがして気になりました。
歩きながら、“今日のスティングはおかしいね”、と言ってハッと気づきました。
スティングは私たちが来ているのがわかっていたのです。
ゴールドさんがいる放牧地とスティングのいるところはかなり離れているのですが、スティングには私たちが騒いでいるのが聞こえていたのだと思います。
以前、会員さんが訪れた時、同時にゴールドさんの会員さんも数人見えていて、会員さんがスティングに話しかけても、首を伸ばしてゴールドさんがいる方をずっと見ていた、といいます。
スティングにはゴールドさんの方向から賑やかな声が聞こえていたのかも知れません。
「私1人でごめんな」とその会員さんが言うと、やっと納得して人参を食べ始め、相手をしてくれたそうです。
だから今日も、ゴールドさんのお客さんなんだと、自分には関係ないやと思っていたら、見た事のある顔ぶれで、
「何や、おいらのお客やんか。 せやのに何でおいらの方が後なんや。 怒るで、しかし!」
というのが、今日スティングが拗ねていた理由だと推測されます。(あくまで推測ですが)
思い返せば、スティングが以前いた牧場さんは、オリオンザサンクスを始め、ブライアンズタイム、トーシンブリザード、エスケープハッチなど、錚々たるメンバーが繋養されていました。
スティングに会いたくて来てくれる人など殆どいなかったでしょう。
誰かのファンの人が、ついでにスティングのとこにも寄る程度で・・・。
それが、この牧場に移ってからは、自分に会いに人が来てくれる。
マイネルスティングのファンだという人がたくさん来てくれる。
自分専用の馬着や無口がある。
そういう事がだんだんわかってきて、スティングの自信につながり、喜びにつながっていったと思うのです。
だから、自分のお客さんというのをスティングはしっかり覚えています。
「次からは真っ先にスティングのところに行こうね」
みんなとそう言い合いながら戻ってきたのでした。
この話にはまだ続きがありまして・・・。
翌日、スティングのところに寄る予定はなかったのですが、昨日のスティングの寂しそうな姿が気になって、帰りにもう一度寄ろうと云う事になりました。
もちろん、真っ先にスティングのところへ。
そうしたらスティングは、私たちの姿が見えるとすんなりよってきたのです。
で、いつものように人参をたっぷり食べて、帰る時間が来て
「スティング、また来るからね」
そう言うと、納得したように青草を食べに奥の方へ歩いて行ったのです。
明らかに、昨日とは違う態度でした。
今日は自分のところに真っ直ぐ来た事をわかっていたのでしょう。
「今日も寄ってくれてありがとな。 また来てや。」
「スティングは賢いねえ。」
「何でもわかってるんだよね」
親ばか母さん達は、何だかちょっと誇らしい気持ちと、ホッとした気持ちで帰途についたのでした。
牧場の仲間達
牧場のガードドッグ、ジロー君。 人によっぽど酷い目にあわされたのか、知らない人が怖くてたまりません。
心のトラウマが消えるまで、ゆっくりゆっくり慣れていこうね。
ここに来る人はみんな優しい人ばかりだからね。
「ぼく、ホントは怖がりなんでつ。」
そして、牧場のアイドル、モッヒー君ですよ。
今回、モッヒー君の男気(セン馬ですが)を見てしまいました。
モッヒー君の放牧地は、子連れ母さん馬たちの隣です。
いつもは母仔馬たちはずっと奥の方にいるのですが、私たちがモッヒー君のところに行くために放牧地を横切ったので、人参を持ってると思い付いてきたのです。
で、柵越しにモッヒー君とごたいめ~ん。
母さん馬は無視なのですが、何を思ったかモッヒー君、柵に伸びあがって威嚇始めちゃいました!
モッヒー君は放牧地の中でも杭に繋いであるので、飛び出す心配はありません。
最初は無視していたナウシカ母さんですが、あまりしつこくモッヒー君が威嚇するのでついに切れました。
ガウガウやりあい始めたので、牧場の奥様がモッヒー君を繋いでいた杭をもっと遠くに離してしまいました。
モッヒー君はセン馬ですが、当て馬のお仕事をしています。
セン馬にしたのは、あまりに性格が荒くて、牝馬に嫌がられてしまうためだったのだとか。
可愛い顔して、なかなか男気が強いモッヒー君なのです。
「僕たんだってやる時はやるでしよ」
前髪が伸びて、顔が見えません。
私のヘアゴムで結んであげました。
余分に持ってきていると思ったヘアゴム、忘れてきてました。
おかげで、ツアー中、ホテルで貰った輪ゴム使ってました。 ちと痛いのですよね、輪ゴムって。
「モッヒーでし。目の前が明るくなったでし」
そして、お兄ちゃんに良く似てるオキテ君の妹です。
「兄ちゃんよりあたちの方がいけてるでちょ」
そんなこんなで長くなってしまいました。
まだまだ続きますので嫌がらずに見て下さいまし。
おまけ
「拗ねたりしてゴメンな。」 反省スティング(爆)
一応、初めてお伺いする牧場さんは今日はもうありません。
あとは親戚に行くような気もちで行ける、スティングの所とナイスの所が今日のスケジュールに残っているだけです。
まずは、スティングのところへ・・・。
ここで私たちはまた、スティングの賢さを改めて知らされる事になるのです。
牧場に着いて車を降りた私たちは、何故かこの日に限り、ビッグゴールドさんのところへ行きました。
ゴールドさんの為にと届けられた立派なリンゴをゴーちゃんに食べさせようと、みんなでワイワイ言いながら、写真を撮ったりリンゴをあげたり、しばらくはしゃいでいました。
ちなみに、スティングはリンゴはあまり好まないようです。
季節的な皮膚病(おむし)でたてがみが減ってしまったゴールドさん。 涼しくなったら治るとかで、もう少しの辛抱だからね。
その内に誰からともなく「そろそろスティングのとこに行かなきゃ」と言い始め、私たちはやっと動き出しました。
人参の入ったバケツを持って、側道(この言葉をナビで聞いた時、食堂と勘違いしたのは私です)をブラブラ歩きながら、スティングの放牧地まで呑気に向かった私たち。
到着すると、スティングはずっと向こうで青草を食んでいます。
「スティング! スティング~!」と呼ぶのですが、聞こえてないのか気づいてないのか動きません。
何人かで何度も何度も呼ぶと、やっと顔をあげ、こちらに向かってゆっくり歩き出しました。
ところが、みんなが待っている1メートルほど手前でストップし、横向きになってまた草を食みだしたのです。
「あれ~?」
みんなで名前を呼びながら、バケツを見せたり人参を見せたりしてもこっちを見もしません。
「スティング、拗ねてるよ」
誰かが言いました。
私たちのすぐそばです。 拗ねてます
確かに、私たちが人参を持って待っているのはしっかりわかっている筈です。
それが、すぐ近くまできて、わざとらしく草を食み始めたのは、明らかに拗ねている態度です。
それでも少ししてやっと傍までやってきました。 それも、嫌々と云うふうな動き方で。
それからは取りあえず人参のバケツ食いをしたりして、いつものスティングに戻ったように思えました。
向かいの放牧地の1才馬たちに人参をあげるために走りまわったり、しばし、いつも通りの触れ合いタイムが続き、やがて次の場所へ向かうための時間が来てしまいました。
「何や気分のらへんねん。」
「おいらの気持ちなんて誰もわかってくれへん」
「・・・・・・・・・」
「スティング、帰るからね。 また来るからね」
と、お別れの言葉を言いながら歩き出すと、じ~っと見ているスティング。
それもいつものシーンなのですが、何かいつもより寂しそうな感じがして気になりました。
歩きながら、“今日のスティングはおかしいね”、と言ってハッと気づきました。
スティングは私たちが来ているのがわかっていたのです。
ゴールドさんがいる放牧地とスティングのいるところはかなり離れているのですが、スティングには私たちが騒いでいるのが聞こえていたのだと思います。
以前、会員さんが訪れた時、同時にゴールドさんの会員さんも数人見えていて、会員さんがスティングに話しかけても、首を伸ばしてゴールドさんがいる方をずっと見ていた、といいます。
スティングにはゴールドさんの方向から賑やかな声が聞こえていたのかも知れません。
「私1人でごめんな」とその会員さんが言うと、やっと納得して人参を食べ始め、相手をしてくれたそうです。
だから今日も、ゴールドさんのお客さんなんだと、自分には関係ないやと思っていたら、見た事のある顔ぶれで、
「何や、おいらのお客やんか。 せやのに何でおいらの方が後なんや。 怒るで、しかし!」
というのが、今日スティングが拗ねていた理由だと推測されます。(あくまで推測ですが)
思い返せば、スティングが以前いた牧場さんは、オリオンザサンクスを始め、ブライアンズタイム、トーシンブリザード、エスケープハッチなど、錚々たるメンバーが繋養されていました。
スティングに会いたくて来てくれる人など殆どいなかったでしょう。
誰かのファンの人が、ついでにスティングのとこにも寄る程度で・・・。
それが、この牧場に移ってからは、自分に会いに人が来てくれる。
マイネルスティングのファンだという人がたくさん来てくれる。
自分専用の馬着や無口がある。
そういう事がだんだんわかってきて、スティングの自信につながり、喜びにつながっていったと思うのです。
だから、自分のお客さんというのをスティングはしっかり覚えています。
「次からは真っ先にスティングのところに行こうね」
みんなとそう言い合いながら戻ってきたのでした。
この話にはまだ続きがありまして・・・。
翌日、スティングのところに寄る予定はなかったのですが、昨日のスティングの寂しそうな姿が気になって、帰りにもう一度寄ろうと云う事になりました。
もちろん、真っ先にスティングのところへ。
そうしたらスティングは、私たちの姿が見えるとすんなりよってきたのです。
で、いつものように人参をたっぷり食べて、帰る時間が来て
「スティング、また来るからね」
そう言うと、納得したように青草を食べに奥の方へ歩いて行ったのです。
明らかに、昨日とは違う態度でした。
今日は自分のところに真っ直ぐ来た事をわかっていたのでしょう。
「今日も寄ってくれてありがとな。 また来てや。」
「スティングは賢いねえ。」
「何でもわかってるんだよね」
親ばか母さん達は、何だかちょっと誇らしい気持ちと、ホッとした気持ちで帰途についたのでした。
牧場の仲間達
牧場のガードドッグ、ジロー君。 人によっぽど酷い目にあわされたのか、知らない人が怖くてたまりません。
心のトラウマが消えるまで、ゆっくりゆっくり慣れていこうね。
ここに来る人はみんな優しい人ばかりだからね。
「ぼく、ホントは怖がりなんでつ。」
そして、牧場のアイドル、モッヒー君ですよ。
今回、モッヒー君の男気(セン馬ですが)を見てしまいました。
モッヒー君の放牧地は、子連れ母さん馬たちの隣です。
いつもは母仔馬たちはずっと奥の方にいるのですが、私たちがモッヒー君のところに行くために放牧地を横切ったので、人参を持ってると思い付いてきたのです。
で、柵越しにモッヒー君とごたいめ~ん。
母さん馬は無視なのですが、何を思ったかモッヒー君、柵に伸びあがって威嚇始めちゃいました!
モッヒー君は放牧地の中でも杭に繋いであるので、飛び出す心配はありません。
最初は無視していたナウシカ母さんですが、あまりしつこくモッヒー君が威嚇するのでついに切れました。
ガウガウやりあい始めたので、牧場の奥様がモッヒー君を繋いでいた杭をもっと遠くに離してしまいました。
モッヒー君はセン馬ですが、当て馬のお仕事をしています。
セン馬にしたのは、あまりに性格が荒くて、牝馬に嫌がられてしまうためだったのだとか。
可愛い顔して、なかなか男気が強いモッヒー君なのです。
「僕たんだってやる時はやるでしよ」
前髪が伸びて、顔が見えません。
私のヘアゴムで結んであげました。
余分に持ってきていると思ったヘアゴム、忘れてきてました。
おかげで、ツアー中、ホテルで貰った輪ゴム使ってました。 ちと痛いのですよね、輪ゴムって。
「モッヒーでし。目の前が明るくなったでし」
そして、お兄ちゃんに良く似てるオキテ君の妹です。
「兄ちゃんよりあたちの方がいけてるでちょ」
そんなこんなで長くなってしまいました。
まだまだ続きますので嫌がらずに見て下さいまし。
おまけ
「拗ねたりしてゴメンな。」 反省スティング(爆)