匂いのある詩

2017-07-31 09:34:29 | 
何もしないでいる月曜日、と決めたが、好きな詩を紹介します。短いですがはじめて読み終えた時からずっと今日まで匂いの消えない詩です。気配が薄れない詩です。作者は萩原里美氏、彼女の個人詩誌「果樹園」11号(2014.08)から

        柿明かり

    夫人は夫の帰りを待っていた
    帰りが遅い理由を知っていた

    柿の木がたくさんある旧家
    まわりの家々の明かりが消えると
    熟した柿が灯って
    夫の帰り途を照らしはじめる


ちょっとミステリアスなこの詩の「熟した柿」の明るさはぼくを想像の世界に誘ってくれます。次の文はついこの間ぼくが書いた中から

   これほど作品のまわりを散策させてくれて、飽かずに覗かせてくれる詩人は
   今少なかろう。これほど作品の味を深くながく楽しませてくれる詩人は今少
   なかろう。作品には手垢をつけない。姿も見せない。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-08-01 08:24:17
森本薫の「照柿」を思い出してしまいました。
分厚い本を暑苦しく読んでいました。
内容も、熱かったです・・・・

でも、説明をしないこの詩の凄さ、私にも伝播してきます。

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伝わりましたか! (tefutefu)
2017-08-01 10:06:27
手垢をつけない、とは説明しない、ということです。
返信する

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