詩 出土品

2014-11-30 20:59:54 | 自作の詩
  出土品
                  高田数豊

てなもんや州の州立工科大学 平屋建の講義室の天井には四機
の扇風機が取り付けられている 大きなプロペラが静かな音で
回っている 私は話を続けた 
千二百年前の物と推定されます。これはIT塚遺跡から出土し
た携帯電話のICメモリーのプレートの一部です。情報の記憶
装置ですから通常粉砕などの処置がとられて、このような形で
一部が残されるということは考えられない。人為的ミスなんで
す。千二百年前には日本では小学生も持っていたという記録が
あり、家族一人に一台という統計も残っています。その後百年
の間に「スマートフォン」など急速な変化をしていきましたが、
同時に資源「レアアース」などで世界に緊張を生むなど多くの
問題も引き起こしました。また社会的には家族間、対人関係に
も変化が生じ言葉によるコミュニケーションの有り方などが社
会問題化し「メール」などにより対面して会話することを避け
るという風潮も生まれ孤立化の要因ともなりました。経済競争
と商品開発とセキュリティの鼬ごっこはこれらの問題の解決を
後回しにしてきたのです。しかしわが国ではこのような深刻な
状況に対して世論が沸きあがったのです。そして次々に携帯電
話に対する規制が打ち出されやがて衰退していきました。皆さ
ん、今私達が使っているダイヤル電話、赤電話はかつて携帯電
話によって亡くなりかけていたものなんです。しかし、利便性
の追求から生れた様々な問題点を処理していく過程で、私達の
先人は古き良きものの温かさを再認識したのでした。私達はこ
の小さな偉大な出土品によって多くの教訓を学び取ることがで
きるでしょう。セキュリティーも人間の手によっているという
ことも・・・・。
丁度私の講義が終ろうとした時雷鳴が走った 私は腰手拭で汗
を拭きながら生徒達と海側の窓を閉めて回った。今日は娘の二
歳の誕生日だ。
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