何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

雨が似合う山のワンコ②

2018-09-23 00:55:05 | ひとりごと
「雨が似合う山のワンコ①」より

ワンコへのお手紙の題名を「雨似合う山のワンコ」としたのは、ワンコお告げの本「雨降る森の犬」(馳星周)をもじっているだけではないことを、
ワンコは分かっているよね

本書の主人公・雨音は男ったらしの母親と折り合いが悪く、母親と暮らしたくない一心で、伯父さんのいる蓼科へ越して来るのだけれど、
そこで、自分の名前の由来を知るんだよ

深い森の中にいると雨に濡れないものだけれど、
そんな蓼科の森を、雨音の母が好んでいたから、娘の名前に雨という文字を使ったのだと

雨というと、一般にマイナスのイメージがあるけれど、
見方によって、いる場所によって、受け留め方がプラスにもなることを教えてくれるイイ名前だね ワンコ

でもって、私が、雨が嫌いではないことを、特に雨の休日が嫌いではないことを、ワンコは知っているよね
以前は、「雨が好き」と言うと何だか捻くれているみたいなので、あまり大っぴらには言えなかったけれど、
それを変えたのが、
寺田寅彦氏の「雨の上高地」井上靖氏が「穂高の月」で絶賛した明神から横尾までの山道なんだよ

「雨の上高地」に登場する、寺田氏が宿泊した上高地温泉ホテルには、我が家も毎年お世話になるのだけれど、
寺田氏が宿から見て感嘆した霞沢山と六百山のと風景は今もかわらず、見る者の心を奪うよ
 

そんな寺田氏が、美しいという、雨の上高地

雨の日、霞沢山や六百山に薄墨を流したような雲が棚引く様は、一幅の水墨画のような美しさなのだけど、
上高地から横尾までの樹林帯は、そんな雨の日に歩いていても、ゴアテックスは必要ないんだよ
だから、山の案内人の知人は、「上高地は雨が似合う」とおっしゃるんだよ

そうして、明神を過ぎ、いよいよ始まる山道
井上靖氏が、こよなく愛した この道

木漏れ日を感じなが歩くのも楽しいけれど、
木々から漏れ落ちる雨(程度なら←ここ肝心)を味わいつつ歩くのも、いいものなんだよ ワンコ

そんなことも思い出させてくれる「雨降る森の犬」については、まだまだ つづくよ

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