何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

日英の絆

2015-06-02 18:15:46 | ひとりごと
1953年6月2日、エリザベス女王の戴冠式が行われた、と今朝のラジオのニュースで伝えていた。
2007年12月20日に高祖母のヴィクトリア女王を抜いてイギリス史上最高齢の君主となられ、今年の9月で在位期間もヴィクトリア女王を抜かれることとなる。

エリザベス女王陛下の益々の御健勝を 謹んでお祈り申し上げます。


戴冠式の日


イギリス王室というと近年は何かとお騒がせな印象が強いが、イギリス国内はもとより世界各国からのエリザベス女王への圧倒的な支持に揺るぎがないように思えるのは、第二次世界大戦の苦しみを国民と分かち合い、その責任から逃げない姿勢や、お言葉にみられる率直な御意見から拝察されるお人柄によるところが大きいのかもしれない。

第二次世界大戦後の1947年4月には、ケープタウンで英連邦に向けて次のような誓いを交わされている。
『私は、私の全生涯を、たとえそれが長かろうと短かろうと、貴方方と我々のすべてが属するところの偉大な、威厳ある国家に捧げる決意であることを、貴方方の前に宣言する。』

アメリカは1776年7月4日イギリスからの独立を宣言したが、その日から200年後の1976年7月6日2度目のアメリカ訪問中のエリザベス女王の独立記念日を祝したスピーチも素晴らしい。
「女王陛下の外交戦略」(君塚直隆)より引用。

『7月4日の独立記念日は、アメリカはもとより、イギリスでも祝われるべきだと私は思います。~中略~
なにもイギリスからアメリカ植民地が離れてしまったことを祝うわけではありません。むしろ、(アメリカ)建国の父たちがなしえた偉業がイギリスにとって極めて貴重な教訓を与えてくれたことに真摯に感謝したいのであります。我々がアメリカを失ったのは、「維持しているのが困難になったものを、適切な時期に適切な方法で手放す術を知るための」政治的手腕に欠けていたからであります。しかし、我々は教訓を学びました。独立後150年にわたって、我々は両国の共通の遺産となっているマグナ・カルタの原則をしっかりと貫いてきたのであります。・・・・・結局、平和が友情を新たにし、それは年月とともに膨れ上がり、今日の世界情勢にとって重要な役割を演じているのであります。我々は共通の遺産である自由のために、2度の世界大戦をともに戦ってましりました。我々は苦労して手に入れた平和をともに維持しております。~中略~
だからこそ、我々イギリス人も7月4日を祝うことが出来るのです。』

女王陛下のスピーチは事前に政府や外務省(訪問先の)大使館の「検閲」を受ける慣わしとなっているそうだが、「このスピーチには女王の偽らざる気持ちが表れている気がしてならない」と著者君塚氏は書いている。

アメリカを独立させてしまった(ある種の)当時の失政を率直に認めたうえで、しかしアメリカの建国の精神である「自由」はイギリスのマグナ・カルタにあると釘を刺すことを忘れず、それらを踏まえた上で、共通の「自由」という価値観のために共に命をかけて戦う両国が世界で最重要な関係にあると宣言する、素晴らしい将に「女王陛下の外交戦略」だと感嘆してしまう。

・・・・などと小難しい話を書いたが、私的にはエリザベス女王というと、コーギーちゃんである。
日頃の公務はもちろん新婚旅行にも犬を同行されるほどの犬好きで、ついにはロンドンオリンピックの開会式にまで登場したエリザベス女王のコーギーちゃん。
幼少の頃からコーギーちゃんが傍らにいるということは、何代か世代交代を経験されているのだろうが、変わらず犬と過ごされているところに、本物の愛犬家の御心を感じることができて嬉しい。

ところで、皇太子様がオックスフォード留学中にはエリザベス女王ご夫妻と親しく交流されていたという。
ウィンブルドンでは、ロイヤルボックスで王族の方々が観戦されるのが恒例であるが、英国留学中の皇太子様がイギリス王室の方とロイヤルボックスで観戦されるお姿がテレビに映されることもあったという。
エリザベス女王は皇太子様を「ヒロ」と愛称でお呼びになり、休暇をともに過ごされるほど親しく交流されており、1984年ロンドンサミット出席のため訪英していた中曽根首相に、女王の夫君エジンバラ公は「浩宮殿下は完全にロイヤル・ファミリーの一員となっています」と伝えたという。

親善外交というのは、公式訪問の数日で突如なるものではないと思う。
何年にもわたる交流のなかで、お互いの価値観や教養を理解し合い、エリザベス女王のスピーチではないが、
共通の価値観が友情を新たにし年月とともに膨れ上がるものだと思う。

ウィリアム王子は、自らの御結婚を内外に正式に公表する前に、皇太子ご夫妻に直に招待の意を伝えられたとも言われている。
エリザベス女王からウィリアム王子へと引き継がれた日英の絆は皇太子ご夫妻と結ばれている。



写真出展 ウィキペディア
  

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