6/14付東京新聞の「こちら特報部」の記事に自衛隊に関するものが2本並んだ。
『本音のコラム』と『ニュースの追跡』だ。
前者は、鎌田慧さんが政府の骨太方針の中にある「防衛力強化」の画策を批判するコラムだ。
後者は、大杉はるか記者が、立憲民主党議員の有志による「自衛隊員応援議連」の立ち上げに懸念を示しつつ問題提起している。
この二つの記事に共通するのは共に自衛隊の在り方に関わるものである。
鎌田さんによると、防衛費は毎年のように過去最大更新をして今や5兆4千億円。
安倍政権(2018年)の時に既にトランプとの間に防衛力強化を約束していたというから、今回、岸田首相が骨太であらためて防衛力強化を掲げるのも既定路線と言える。
ただ、防衛費を倍増して5年以内に11兆円にもなることを大胆にも訴えることができるのも、あのロシア・ウクライナ戦争の停戦に至らない状況だ。
因みに、停戦させては兵器産業が困るわけで、戦争同盟とも言えるNATOを巧みに活用しつつウクライナへ軍事支援を継続強化しているのが実態だ。
他方、そうした日本における安全保障政策を根本から批判することのできない立憲民主党は、何を血迷ったのか「自衛隊員応援議連」なるものを立ち上げて自衛隊の処遇や訓練環境改善、退官後の就職応援もするという。
「立民は安保や自衛隊に後ろ向きなイメージを持たれているが変えたい。自衛隊へのスタンスをはっきり示さなければいけない」というのだ。
記者は言う。
「自衛隊の処遇は、確かに問題がありそうだ。自衛官の中途退職者は年間4千人で、10年間で4割増えた。ハラスメント相談件数は2018年度から20年度にかけて3.7倍に増えている。」
しかし、議連の設立に違和感を抱くのは私だけではない。
記者は取材する。
ミサイル防衛強化が進む自衛隊宮古島駐屯地の地元、沖縄県宮古島市の住民たちの声である。
「自衛隊の災害支援は必要だが、武力を持つことには制限があるべきだ。戦争につながる機能はいらない。それも含めて議連が推進するなら納得いかない」と言う。
また、「戦争が起きれば宮古島はミサイルの標的になり、私たちは逃げるところがない。自衛隊応援と持ち上げるのではなく、政党として、外交の力で戦争が起こらない方向に持っていくならいいが、この時期に設立の意味がわじゃらない」と疑問を呈している。
この議連の会長は枝野幸男前代表で、顧問が泉健太代表や野田佳彦元首相、安住淳元財務相だという。
ふ〜ん、なるほど!という顔ぶれではあるが、立憲野党がこの体たらくでは心許ないばかりか、自民党とほぼ変わらない自衛隊へのスタンスでは、独自の安全保障政策など立てられるわけがない。
こうしているうちにも、政権による軍事大国化はますます進み、国民生活は反比例的に悪化の一途を辿ることになる。
経済格差はより深刻になり、人権は軽視され、強権的な政治が日常化してくることになるのだ。
戦争か平和か、その分岐点にさしかかっているのが今日のこの国の状況である。
-S.S-