郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

学ぶ若者と学ばない大人

2023年06月22日 | 日記

6/15付東京新聞に掲載された2つの記事は、いずれも教育に関係するものだ。


しかし、一方は学ぶ者たちから文科省への主体的な提言、他方は教育委員会から学校現場への没主体的な調査依頼だ。

前者の提言は小学生から大学院生までの24人が、昨年9月から有識者の話を聞くなどして「こども基本法」施行を見据えつつ協議を重ねてきた内容である。
この提言は30項目あり、「校則見直しなどを校長・教員・生徒で討論する三者協議会を学校に設置」「内申書、高校受験の廃止」「探究学習や対話型授業の割合を増やす」「公立小中の給食費無償化」などを求めている。


もう何十年も前に日本政府も批准した「子どもの権利条約」の基本精神から言っても当然な主張だと思う。
特に、子ども自らが授業の在り方に注文を付けるのは画期的だ。


逆に言うなら、いかに多くの教員たちがこれとは真逆な授業を行なっているか、ということである。


中教審などの提言に比べ実に質の高いものになっているのは、「教育」を学ぶ者の立場から考えているからだと思う。



さて、この提言を文科省当局はどう受け止めるか注目したい。
仮に無視したり、変な理屈を付けてやり過ごそうとするなら、国会で取り上げて「国民的教育論議」を展開しようではないか。



敢えて文科省へ提言して課題を明らかにしたわけは(当事者たちから聞いてはいないが)、自分たちだけで自由勝手に生き延びる(のもある程度可能だが)だけでは、

抑圧的な社会が変わることなく続いていくからだ。


学校社会の問題や矛盾を放置するのではなく、具体的にどう変えるか提言することによって、民主主義社会を創造していくことに繋がるからである。

私も、この提言を共有して彼らと共に明日を目指したいと思う。

 




対して後者の大阪・吹田市教育委員会の依頼事項は、実に情けない呆れた内容だと断言できる。

自民党の議員が議会で要望したという話(具体的にどういう調査依頼かは不明だが)から事は始まっている。

日頃から日教組等の教職員組合を敵視して、民主主義とは真逆な価値観で教育を統制したいという願望が根底にあるのだろうが、議会という場を使って揺さぶりをかけてきたに違いない。


議会の論議からどの様な経路で教育委員会に依頼されたかは未確認だが、教育委員会は「卒業式・入学式について」という文書による通知を各学校長へ出してきた。


その依頼内容は「国家と校歌の歌詞の暗記状況」を調査するというものだ。
回答用紙には「各学年の在籍者数と暗記している児童生徒数」を記入するようになっていたという。

この種の調査依頼は、時々、自治体議会の保守系議員が意図的に教育委員会を使って学校現場に下させ、結果、学校現場が引きずり回されることがある。


ただでさえ多忙な現場へ余計なことを持ち込むのも問題だが、最も情けないのは教育委員会である。


現行の教育基本法にさえ抵触する可能性のある「教育への不当な介入」だ。
それに、「学習指導要領を踏まえて調査が必要だと判断した」と言うが、それを言うなら、各教科領域を通じて「調査」をする内容は無限に及ぶことになる。


この言い訳とも言える教育委員会の立ち位置はどうなっているのか…。
教育長以下、教育委員会当局は全く主体性のない操り人形化してはいないだろうか。

 


結論として、この二つの事案から言えることは、「学ぶ者」と「学ばない者」とでは、こんなにも異なる結果が導き出されるということである。

さらに、付け加えるなら、「子どもたち若者」と「議員や役人たち(前者よりは年長な)大人」の違いが露わになったとも言える。



 

(『江戸川教育文化センター』の2023/06/18ブログ記事より転載)

 

 

-S.S-


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