広島平和記念資料館についてです。
「博物館」ですから、展示内容がその都度変わるのは、世の流れかと思われます。
いわゆる「ジオラマ(再現人形)」はもうありませんでした。
それはともかく、私としては、「N家の崩壊」が印象的でした。
戦争が招いた病苦に苦しみ、さらに、差別や福祉の不備による苦しみ・・・。
N氏が亡くなった3年後に私は生まれました。
それから半世紀以上経って、「N家の崩壊」に出会い、静かな「怒り」を感じました。
実は、小学6年生の国語教材に「川とノリオ」という作品があります。
この中で、献身的に主人公を育てていた母親が、出かけて行った場所(たぶん広島市)で原爆で亡くなるという出来事があります。
その後、あるとき、主人公は「帰ってこない」母親を「恨み憎む」場面が出てきます。
私はこの場面に長年、違和感を感じていました。
「そこは、母親ではなく、母親を奪った『原爆』を、もっといえば無謀な『戦争』に突入させた人々を恨み憎むべきでは?」
教材の解釈として正しくないのかもしれません。
しかし、今回「N家の崩壊」を見たことで、ある種の「怒り」を感じている自分に気づきました。
そして、「川とノリオ」を授業することはないかもしれないけど、先述の場面の私の考えはどうなのかと、ずっと問い続けたいと思っています。
(つづく)
-K.O-