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ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

シェーンブルン宮殿

2005年08月04日 21時09分55秒 | 芸術

 今日のNHK世界遺産の番組は、シェーンブルン宮殿でした。私は友人と2003年1月に、阪急旅行社の東欧激安ツアー(本当のタイトルは、魅惑の東欧3都市めぐりです)で初めてウィーンに行ったのです。そして、シーズン中はとても高くて泊まれない、ホテル・シェーンブルンに泊まったのでした。だって、1月、シーズンオフもいいところで、到着したときは、ウィーンは吹雪!ホテルの目の前のシェーンブルン宮殿も、中には当然入らず(ガイド付きですが、安くすませるために、中に入るにはオプションになっています)吹雪の中を、庭の散策(冗談じゃない!)。友人と、こりゃまるで「八甲田山死の彷徨」だねと言っていたのです。その、私には雪景色しか見ていないシェーンブルン宮殿の番組、夏は素晴らしい景色だったんですね。驚いたことに、このハプスブルグ家が滅んでから、宮殿は一般の人が住むようになったそうで、観光客の入らない最上階は今でも住宅になっていて、多くの世帯が住んでいるとか、驚きでした。
 このハプスブルグ家最後の栄華に輝きを放ったのが、愛称シシーで知られる皇妃エリザベート。彼女は本当に美しい・・。その彼女の顔がパッケージになっている、スミレの花の砂糖漬けが、ウィーン土産として有名です。これが意外と、病み付きになるおいしさなんです。あの味は、昔、ヴァイオレットフィズに凝っていた頃を思い出してしまいました。ヴァイオレット、いい響きですね。ヴィオラに通じるし・・・?!


若桑みどり「戦争とジェンダー」

2005年08月04日 14時15分45秒 | ジェンダー

 先日、図書館で予約して借りた「戦争とジェンダー 戦争を起こす男性同盟と平和を創るジェンダー理論」(2005年4月初版大月書店)を読み終わりました。なかなか、面白い内容でした。私も危機感を抱いていた「新しい歴史教科書を作る会」の批判もあり、また、右傾化している最近の社会への警鐘もあり、読み応えがありました。
 そもそも、なぜ、戦争が起きるのか、その原因は何か、そして男女の性差と分業がそこにどうかかわってくるのかをわかりやすく説明してくれます。
 序論が「理論的前提-家父長制社会とジェンダー」、第1章「ひとはなぜ戦うか-若者を死に赴かせる「男らしさ」の文化的な構築」、第2章「戦争のない時代があった」、第3章「「男らしさ」と戦争システム」、第4章「国家、それが戦争を起こす」、第5章「女性差別と戦争」、終章「翌朝へむかって」そしておわりに。
 有史以来、女性がどれだけ差別を受けてきたか、私は戦後生まれなので、あまり実感がありませんでした。ひどいときには家畜以下の扱いを受けてきたわけです。そして戦争時には性暴力を受けて殺されることもありました。同じ人間として、男女平等が当たり前なのに、どうしてでしょうか。つまり、国家それ自体が、家父長制システムをとった男性中心の組織なのです。自己の利益のために敵をつくり、戦う。若者を死の危険にさらし、それを「男らしさ」と鼓舞する。何千年ものあいだ、こうして歴史が作られてきました。いまもそうです。あのイラク戦争、結果として、大量破壊兵器は存在しなかったではないですか!国連を無視して戦争を起こしたのは、どこの国でしたっけ・・。いまだに、イラクでは、自爆テロが相次ぎ、社会は混乱しています。もちろん、専制政権のフセインから解放されたのはよかったのかもしれません。でも、彼ら国民が望んでいる状況とはいえません。
 GEM(ジェンダー・エンパワーメント)という指数を知ってますか?中央の意思決定を行う国会議員や専門職などに占める女性の割合や女性の賃金から算定した指数です。お隣の韓国では候補者の3割を女性にするというように法律を改正したそうです。先進各国はこのようにいろんな対策をしているのに、日本は、一切していません。曖昧な表現の「男女共同参画」などという言葉を使って対策をしているように見せかけているだけです。はっきりと男女平等をうたえない日本は、先進国といえるのでしょうか?このジェンダーフリー教育に対するバッシングもかなり起こっています。一体、なぜ?今になって家族のありかたを問い、再び女性を、育児と老人介護に縛り付けようとしているようです。いま日本で問題になっている少子化も、GEM上位を占める北欧では社会保障、福祉、子育て支援対策が重点的に推進され、急速に少子化が解消に向っているそうです。女性が政治に発言し、行動しているからです。 
 性教育が過激だというのは、おかしいのではないでしょうか。現実に児童売春が存在し、児童が被害者になっています。先日はタイの少女がやっと保護されましたが、人身売買が野放しの、先進国が聞いて呆れる日本のこと、これくらいの教育は当然でしょう。日本国民だけでなく、日本に滞在するあらゆる被害者の保護を警察に求めます。従軍慰安婦問題をかつて引き起こして世界の笑いものになっている日本、今もこうして恥をさらしています。なぜ、この犯罪を徹底的に捜査しないのでしょうか。これでは、とても国連の常任理国にはなれませんよね。
 性暴力とは、相手の人権を甚だしく蹂躙する犯罪です。そして、沖縄では、戦闘態勢の訓練を受けた米軍の兵士がたくさんいて、性犯罪事件が多発しています。戦争そのものの問題です。攻撃性、暴力、そういう危険にいまもさらされている沖縄の女性たちのことを考えてください。戦争は、今後、絶対にあってはならないものです。「男らしさ」、「女性を守る」といった言葉の裏をよく理解してください。
 彼女の著書の最後に、ベティ・リアドンの言葉が載っています。「最後に、あらゆる平和運動は、家父長制と軍事主義をこえるために、ジェンダーの平等性と非暴力の原則を受け入れ、実践しなければならない。「人間の安全保障」に向けて私たち自身の考え方と、キャンペーンのありかたを変えていくことで、私たちは軍備による安全保障システム、そしてそのシステムを操る家父長制をも変えていく原動力になることができるだろう」。そう、私たちは少しずつ、無血の変革を起こすことができるのです。がんばりましょう。世界中の女性が連帯して、世の中を平和へと変えていきましょう。