二度の台風で、関東や甲信越、東北など、広い範囲で川の氾濫がありました。未曽有の大水害でした。つい金曜の大雨も、半日でひと月分の雨量に達するひどい雨、二次災害どころか、三次災害、被災された人たちへの負担は想像を絶する事態になっています。そのさなかの投句は、この大水害に関することも多く、無季語でも選句されていました。
高山れおな選
軽トラや泥の案山子を積みて去る 京都府精華町 土佐弘二
稲畑汀子選
こんなにも人智を越ゆる秋出水 枚方市 石橋玲子
台風に一変したる千曲川 長野市 縣展子
長谷川櫂選
台風禍川の容(かたち)のなき大河 長野市 縣展子
泥の海されど生きよと小鳥来る 松山市 竹林一昭
台風やラヂオの声のあたたかさ 長野県川上村 丸山志保
台風の句ではないけれど、以下の句の季語は「花野」。私は花野というと、どうしてもあの世の花野というイメージを浮かべてしまいます。
大串章選
大花野佇む友は若きまま 加古川市 森木史子
再びの大雨による浸水被害を受けた方々に、お見舞い申し上げます。今年は、日本が災害列島となってしまいました。あらゆる基準を改訂しなくてはならないのではと思います。家の基礎や、その前に、家を建てていい場所かどうかとか。そして、耐久の基準。雨風にもっともっと耐えられる基準にしないと、本当に何もかもがもたなくなるでしょう。怖いのは地震だけじゃないと思い知った今年の台風です。