快活で明るいHさんは、その外観からはとても苦労をしてきた方とは思えないけれど、話を聞いてみると、それはそれは長い間ご家族の介護や面倒をみてこられて、私は最初にそのことを知った時は信じられない気持ちでした。
更に娘さんもお母さんであるHさんと一緒に、自費で敬老の日にマンドリンコンサートを開き、聞きに来た方々に紅白のおまんじゅうまで持たせてくれるような大変心のやさしい方で、私も少なからずHさんを尊敬していました。(娘さんのマンドリンの話は小説になり、やがて映画化され、私もエキストラで出演しました。余談ですが、私の役は居酒屋の酔客で、中本賢さん「旧アパッチけん」と田村正和の弟さんの田村亮さんとの間に挟まれ、田村さんからお酌までしてもらったのです。)
そんなHさんがいよいよ念願のご自宅のリニューアルをすることになり、私は少しお手伝いをすることになりました。
1週間ほど前にようやく工事は終了し、広いキッチンカウンターの前に腰掛けて私はコーヒーを飲みながら、娘さんの子供が遊びに来てもアトピーが出なくなった話や、室内が暖かくなった話を聞いて安心して帰ったのであります。