11月23日、今回で8回目になる宮城県と岩手県の境にある、伊豆沼へ
マガンを主とする雁の群れを見に行きました。
東北新幹線”やまびこ49号”で、くりこま高原駅へ16人の参加者と共
に向かいました。懸念された天気も良く途中、古川付近で残雪を見たもの
の下車駅では日陰に少し残っている程度でした。
伊豆沼は面積289㌶、周囲約12Km、水深は最深で約7mと浅く、水藻
を餌とする雁や白鳥には最適の塒になるので毎年11月になるとシベリア・
カムチャッカから越冬の為に渡って来ます。
その数は年々増加し、22日現在で
マガン50、245羽、ハクチョウ1、047羽、鴨類4,752羽
計56,044羽が記録されています。
この他に伊豆沼の南、約10Km離れた蕪栗沼と言う湿地帯にも、
雁 約6万羽、オオヒシクイ約1千羽が飛来しています。
この日は、先ず蕪栗沼へ向かいました。毎年ここでは夕陽と共に戻って
来る雁を待ちます。例年ですと北風が強く寒さに震えますが今年は暖か
く助かりました。
祭日でもあり、地元の探鳥会で駐車場は20~30台のクルマで満杯。
やむを得ず迂回して臨時の場所に止めました。初めてです。
先ずはオオヒシクイです。日中は見張りを残して殆ど翼に首を入れて
寝ています。
ヒシクイの亜種で体長約1mと大型です。
白鳥は大部分がオオハクチョウでコハクチョウは更に南へ渡り、ここでは
少な目です。嘴の黄色部分が大きいのがオオハクチョウで体長も140cm
とコハクチョウより20Cm程、大型です。
15時56分、いよいよ雁が餌場から帰って来ました。
朝、日の出前に飛び立ち、周辺の枯れ田で落ち穂を拾います。10Km
から20Kmの遠くまで、家族単位で出掛けます。
十三夜の月が出ました。その前を雁が過ぎります。16時になりました。
16時18分になると大分暗くなりました。
沼が6万羽の雁に埋まると水面が真っ黒になり、辺りも真っ暗になり
ました。暗くなっては何も見えなくなるので引き揚げました。
11月24日 この日も晴れです。
4時半に起きて、5時にスタート。朝は日の出と共に飛び立つ雁の群れ
が圧巻です。何しろ伊豆沼5万、蕪栗沼6万の雁が朝日に輝く空を覆う
光景はここだけのものです。
然し、この朝は暖かく水温が高いので日の出の頃に靄が立ちこめ折角の
雁の飛び立ちも、ばらばらでさっぱりでした。
こんな事もあるのです。今までで始めてです。仕方なく7時には宿所に
戻りました。
朝食後は伊豆沼の周辺を回りました。
沼の東端にある観察所には、いつもの通りオナガガモが観光客が与える
餌(主に雑穀)を待っていました。人形を背負った6~7歳の女の子が
餌を撒いていました。忽ちオナガガモに取り囲まれました。
可愛らしい姿です。妹も一緒に撒いていました。
沼からオオハクチョウが飛び立ちます。
沼にはカワアイサ・ミコアイサ♀・ヨシガモ・オカヨシガモなどが浮いて
いましたが、何しろ遠くて30倍の望遠鏡でやっと見える程度です。
仕方なく近くのモズを撮りました。
朝が全然、見所無かったのにお昼近くなってから、餌場の移動で東から
北から雁が鉤になり、棹になって飛来して来ました。
そして枯れ田に降り立ちました。
この付近は名米ささにしきの産地で広大な田が広がっています。
遠くにタゲリ28羽の群れを見つけました。これも遠いのと、ばらばら
なので28羽は撮れませんでした。
今回借りたレンタカーは人数の関係もあって10人乗りのニッサン
キャラバンだったので細い道には入れず、そうかと言ってクルマか
ら出ると鳥達は警戒して逃げます。雁のように大型の鳥でも安全な
距離は200mです。それ以上では飛び逃げされます。
載せました写真は近くで撮っているようですが、デジカメで400
mmの望遠レンズ撮影したものを部分拡大しています。
午後からは、8人が中尊寺・毛越寺へ行く観光組となって別れまし
た。鳥見組は8人が残りました。
やがて15時53分、日の入りになり雁が集まって来ました。
帰り際に電柱に止まっているノスリ(鷲鷹類の一種)を見つけました。
伊豆沼の帰雁は、大分暗くなってからなので蕪栗沼のようには見え
ませんでした。
11月25日 この日も晴天です。
2日目なので早朝はオプションにしましたが、皆さん全員5時にはクルマ
の前に揃いました。もっとも昨日が空振りだったことも有りますが、熱心
です。
5時にスタート。伊豆沼の朝のポイントは歩いても行ける近くなので
直ぐに着きます。早く出掛けるのはクルマの置き場所と、撮影ポイン
トの確保です。見るだけの人は車の中で待ちます。
6時20分頃から、空が薄明るくなりますと雁が一際騒ぎ出します。
ハクチョウはそれ程でも有りませんが、雁は一晩中何かしゃべって
います。家族単位の生活なので、声で確認し合っているようです。
6時08分では、まだ眠っています。
6時16分、いよいよ飛び立ちが始まります。
遠くにカナダガン(シジュウカラガンとも言います)を見つけました。
最近は観察機材が良くなったので相当遠くの鳥も識別出来るようにな
りましたが、それでも目の善し悪しで差が出ます。
カナダガンは、バンクーバーでも、パリでも見ているので私は慌てま
せん。
朝食後は12時49分の、やまびこ54号で帰るので、余りゆっくり
出来ません。帰雁も朝の飛び立ちも満足行く位、堪能したので、また
来年の楽しみにしました。
宿所の精算をしたり、皆さんから集金したり、レンタカーの返却や
給油等で、のんびりも出来ませんが、カナダガンの居た場所の近く
まで行って見ました。5羽ほどいたのに既に飛んで仕舞いマガンだ
けが残っていました。がっかりです。
伊豆沼の南の干拓地にマガンが集まっているので行って見ると隼が
畦に降りてマガンの群れを眺めていました。流石に隼もマガンは襲
えません。眺めるだけです。
遠くの畦の陰に首だけ出しているカナダガンがいました。
ここには続々とマガンが集まって来ました。
オオハクチョウも餌場の移動で低空を良く飛んで呉れます。
かくして2泊3日に亘る伊豆沼探鳥旅行も全員事故無く、無事に
終了し予定の電車でそれぞれ家路に就きました。
今回、出会えた鳥は56種でした。うちガンカモ類16種
その他珍しい種は無し。メインは何と言っても大量のマガン
でした。