5月23日
長野県の戸隠高原へ出掛けました。
ここは1994年5月以来、その魅力に惹かれて毎年出掛け今回
で17回目になります。
観光目的での旅の場合は、せいぜい3回も行けば満足することで
しょうがホシガラスのように同類の鳥に逢う目的の場合は何回行って
も何時も違った新しい発見を見つけるので楽しみです。
ここは殆どが平地でアップダウンが無いので年寄りでも歩けます。
それに鳥を見る為、ひたすら歩くので無く1Km1時間位のテン
ポなので、一日一杯歩いても数Kmぐらいです。
10Kmも歩けば随分と歩いた感じがします。
9時20分の、あさま511号に乗るべく8時半頃東京駅23番線
ホームに上がると凄い混雑です。
善光寺のご開帳に出掛ける人たちでしょうか?2列車分の列が一杯
でした。我々は、その更に後の電車なので安心していましたら一列車
が出たら、がら空きになりました。
その上、予定の電車の前に臨時便が出たので16分早くなりました。
長野まで迎えに来て呉れるジャンボタクシーに連絡して11時45
分に繰り上げ変更して貰いました。
長野10時50分着。早めのお昼を済ませてタクシーを待ちます。
予定通りタクシーが来て9人が乗り込み出発です。天気は良いし
わくわくです。流石に市内は、ご開帳人気で混雑していましたが、
市内を抜けると新緑の山道をすいすいでした。
12時40分頃、戸隠着。我々の宿舎は戸隠中社の近くに広がる
越水が原です。
宿に荷物を置き早速スタートしました。別に自家用車組が6名で
今回は女性5名、男性10名の総員15名となりました。
最近は携帯電話があるので、連絡も楽です。
戸隠での探鳥地は森林植物園がメインです。面積は71.34ha
で、小石川後楽園の約10倍です。
入ると直ぐに、みどりが池に出ます。カイツブリがキュルルルルと
啼いていました。蘆の中には巣籠もりしている♀が見え隠れしていま
す。間もなく背中に雛を乗せた可愛い姿が見られる事でしょう。
♂は周りを警戒しながら泳ぎ、時々啼いて連絡しています。
新緑です。
新緑のエネルギーで、林内に入ると森林浴で少しぐらいの病気
は治ってしまう感じです。
とりわけカラマツの新緑は輝くばかりでした。
ニリンソウが清楚に咲いていました。清潔な女学生を見る感じ
です。それとも、初々しい新婚夫妻でしょうか。写真ではそのよ
うに見えず申し訳ありません。
ミズバショウは花が終わり、逞しい葉が艶々と光っていました。
逞しい中年おばさんの感です。
既に木の葉も伸びているので鳥の声は聞こえるものの姿を探すのは
大変ですが、偶然にオオアカゲラが現れました。
キツツキの仲間でアカゲラより少し大きくて体長28Cmです。
最大の特徴は背中とされる部分、実は翼の模様が横縞です。
一生懸命朽ち木に穴を開けていましたが、間もなく飛び立った所
を見ると営巣用の巣穴で無く、虫を探していたようです。
園内には相当な古木が見られます。倒れてもまだ懸命に生きて
葉を茂らせています。
木の生長過程での異常現象や気候の影響(雪や霜)で出来た
根上がりの大木です。
毎年訪れながら観光目的で無いので植物園西部の鏡池近くに鎮座
する天明稲荷の謂われも判らず、さらに近くの二体の石像が何で
あるかも未だに解明せずに眺め続けて来ました。
それにも関わらず失礼乍ら写真を撮りました。高さは普通の人間
位です。
鏡池は折しも微風があり波立って曇りガラスの鏡になっていました。
晴れて風が無いと池面に戸隠連山がくっきりと写りますが、今日は
曇っている上に風で唯の池です。
オシドリの♀2と♂1が浮いていました。やがてカップルが出来て
ふられた♀は水面を這うように飛んで行きました。
園内は随所に木道が敷かれていて、車椅子でも散策出来るように
なっています。
13時から17時半まで歩いて38種の鳥を見聞きしました。
山の幸が盛られた夕飯を特別美味しく味わいました。
5月24日 雨のち曇り時々小雨
昨夜の打ち合わせでは雨の事を完全に無視して4時から早朝探鳥
としていましたが3時頃、目が覚め窓を開けると雨がしとしとと
降っています。
ほっとしたような残念なような気持ちで各部屋に中止を伝えに回り
二度寝となりました。
朝食が終わる頃から雨も上がり明るさが出て来ました。
雨具持参で8時半スタートです。
カメラは宿に置いて出掛けましたので何も撮れません。
15人の人数は探鳥には多すぎるので二班に分けて歩きます。
望遠鏡の数と所有者によって分けました。
望遠鏡は2~3台、人数は7乃至8名です。
10時30分から40分にかけて、遠くにアカショウビンの
キョロロロロと尻下がりの声が10回ほど聴かれました。
恐らく奥社随神門近くの方角です。見られた人は幸運ですが
果たして何人でしょうか?
15時に引き揚げましたが、別の班はアカショウビンを探して
17時半に戻って来ました。
今日、見聞きした鳥は42種でした。
ホシガラスにとって写真が撮れないと何か消化不良ですが
曇っている上に林内は暗いので所詮無理でした。
5月25日 曇りのち晴れ
3時半に携帯電話のアラームが鳴り出し眠い目をこすりながら
起きだしました。
4時には全員宿の前に集まりました。もう薄明るくなっていて
森林植物園に入る頃はすっかり明るくなりました。
今頃の日の出は4時40分頃です。気温はこの1123mの地点
で8℃位です。
うっすらと戸隠連山の一部が見えます。
今日の早朝探鳥は最初からアカショウビンに絞って真っ直ぐ全員
で、それらしい場所に直行し40分で着きました。
流石に我々だけでした。待ちました。そのうち長い長焦点レンズ
を担いだカメラマンが数人集まって来ました。
6時まで待ちましたが次第に2人抜け3人抜けて最後は3人が残
って頑張りました。
ホシガラスは5人とともに、しびれを切らして根性無く別コース
へ回る事にしました。
途中で綺麗なノジコに逢いました。これは少し幸運です。
ノジコは体長14Cmで、スズメぐらい。高度1500m以下の
低山の林に夏鳥として渡来し、渡りの時期には都市部の公園や平地
でも稀に見られます。
アオジと同じ仲間ですが、腹部の縦斑が薄いか殆ど無く、黄色味
が強く、目に白いアイリングが見られるのが特徴です。
アオジは良く見られますがノジコは滅多に見られません。
写真は遠くから撮ったのでアイリングの特徴が出ていません。
早朝探鳥はこれだけで満足して7時半に宿へ戻りました。
粘った3人に遂に幸運は訪れず黙って帰って来ました。
朝食後、精算を済ませたり荷物を纏めたりして9時に2台の車
に分乗して5分程先の高原牧場へ向かいました。
人数が多いので2回に分けてピストン輸送をして貰いました。
この牧場は夏場は行楽地として賑わう所です。
空が広いのでワシタカ類が目的でしたが、少し期待外れとなり
ました。
珍しくも有りませんがモズがやたらとあちこちに現れます。
やっとワシタカ類が現れたと思ったらノスリの若鳥でした。
しかも200mぐらい先の電柱に止まりました。
戸隠連山には、まだ少しの雪が残っていました。
青空と新緑と残雪と良い取り合わせですが残念ながら雲が出て
来ました。下の屋根は牧場の建物です。
陽が良く当たる石にアカタテハが止まっていました。
牧場入口傍のレストランで思い思いに食事をしてオーナーに
オオアカゲラが時々現れると聞いたので先ほども行ったのですが
再度行って見ました。
昼下がりの時期で鳥の声もしません。遠くでハルゼミが鳴き出
しました。
牧草の原で大の字に寝ました。ゆったりとして青空の下で何も
考えずに寝ころぶと、この上無い至福の時が流れて行きます。
たまには、こんな時間も良いものです。
山の天気は変わりやすく忽ち雲が出て妙高の山が隠れそうに
なりました。
牧場では期待した程の収穫は有りませんでしたが、浩然の気を
養った事が収穫でした。
鳥ばかり追いかけるばかりで無く、こんな余裕も人生には必要
です。
今日は朝から歩いて見聞きした鳥は41種でした。
14時に引き揚げ16時に来る時と同じタクシーに来て貰い
長野駅へ向かい、17時08分のあさま580号で帰途に就きました。
今回も15人全員が事故も無く無事に楽しい探鳥を終えられた事は
参加の皆さんのご協力の賜と世話人としては心から感謝し嬉しく思い
ます。
今回の見聞きした鳥は全部で52種となりました。
これまでの記録では戸隠高原で92種の鳥が現れました。
この時期だけの記録で一番多かった年は97年の64種でした。
大体毎年、50種前後の鳥が見られています。
戸隠は日本でも数少ない自然の豊富な場所なので、何時までも
末永く残して行きたいものです。
人間が生きて行くには自然は貴重な存在です。自然を破壊する事が
ひいては人類の滅亡に繋がって行くだけに大切にして行きたいものです。