衝撃の事実を報告します。
会社といえばMVV(Mission Vision Value)。なにはともあれMVV。そんな昨今である。VUCAの不透明な時代,会社の存在意義をより強く意識する必要性が生じている。だからどこの会社も,MVVや企業理念を躍起になって制定したり,強調したりしている。会社どころか,デジタル庁までMVVの時代である。
でも,このMVVってわかりにくいですよね。MissionとVisionってどう違うのか。論者によっていろいろ異なる。腹落ちのする説明を求めて,ドラッカーの原典にあたろうとしたら,びっくり。
どのネット記事でも,MVVは高名なP.ドラッカーが唱えたとある。どの媒体(著書)で唱えたかというと,必ず出るのが,P・F・ドラッカー著・上田惇生訳『ネクスト・ソサエティ(原題:Managing in the next society)』(ダイヤモンド社,2002年)である。
しかし,いろいろネット叩いてびっくりした。このMVV部分を正確に引用している人が誰もいない… 30くらいのサイト(ドラッカーのこの著書とMVVに触れているウェブサイト)を調べたけど,ひ,一人も正確に引用していない…
そこで私が,正確にドラッカーの書いたことを引用すると:
『ネクスト・ソサエティにおける企業とその他の組織の最大の課題は,社会的な正統性の確立である。すなわち,価値,使命,ビジョンの確立である。ネクスト・ソサエティにおいては,まさにトップマネジメントが組織そのものである。他のものは,すべてアウトソーシングの対象となりうる』
引用元:P・F・ドラッカー著・上田惇生訳『ネクスト・ソサエティ』(ダイヤモンド社,2002年,第3刷,58頁)
こ,これだけ。。びっくりするのは:
1 これしか語っていない
…価値Valueが何で,使命Missionが何で,ビジョンがこういうもので…って説明が全くない…
この本(273頁)のどこを見てもMVVについてこれ以上はドラッカーは語っていない。
2 順番が違う
そもそも順番がMVVではない。「VMV」です。。
ネット記事では,この『ネクスト・ソサエティ』以外にも,ドラッカーは,『経営者に贈る5つの質問』でも,Missionあたりは説明しているようですが…
↑
この本の内容は私は未確認です。
以上からすると,少なくとも,「ドラッカーが『ネクスト・ソサエティ』でMVVを唱えた」ってのは間違いですね…
な,なんでこんなでまかせというかウソというかテキトーなことが広く広まってしまったんでしょうね。。 そのカラクリが分かる方,教えて下さいまし…