江戸時代中期の儒者、大田錦城(1765~1825 おおた きんじょう)の七言絶句を紹介します。大田錦城は加賀の人、加賀藩の儒官、博学、多識で著書も多数の才人です。
過桶狭間
荒原弔古古墳前
戦克將驕何得全
怪風吹雨晝如晦
驚破奇兵降自天
桶狭間ヲ過(す)グ
荒原(こうげん)古(いにしえ)ヲ弔ウ古墳ノ前
戦イ克(か)ッテ將驕(おご)ル何ゾ全キヲ得ン
怪風雨ヲ吹イテ晝(ひる)晦(やみ)ノ如シ
驚破(きょうは)ス奇兵ノ天ヨリ降(くだ)ルカト
「訳」
いまは荒れ果てた原野の古墳の前にたたずみ、当時を弔う。ここで、今川の軍 勢は勝利に酔い、武将たちは驕りたかぶっていたので、どうして戦を全うするこ とができようか。折りから怪しい風が吹き出して、一天にわかにかきくもり、日中であるのに暗くなった。それに乗じて、織田の奇兵が攻め、今川の軍はあたかも天から兵が降ってきたかと驚いて、ついに敗北してしまった。
「鑑賞」
荒れた原野の古い塚の前にたたずむと、思いは当時の信長勢の奇襲の情景へと馳 せめぐる。後半、昼というのに、折りからの暴風雨のため、暗くなった中を、信長勢が義元目ざして掛け降りていくさまが、あたかも眼前に繰りひろげられたかのように迫力のある筆致で描かれる。荒涼、古墳、怪風、驚破と用語も吟味され、古戦場を弔う詩の傑作といえるでしょう。
吟剣詩舞道漢詩集「続 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
過桶狭間
荒原弔古古墳前
戦克將驕何得全
怪風吹雨晝如晦
驚破奇兵降自天
桶狭間ヲ過(す)グ
荒原(こうげん)古(いにしえ)ヲ弔ウ古墳ノ前
戦イ克(か)ッテ將驕(おご)ル何ゾ全キヲ得ン
怪風雨ヲ吹イテ晝(ひる)晦(やみ)ノ如シ
驚破(きょうは)ス奇兵ノ天ヨリ降(くだ)ルカト
「訳」
いまは荒れ果てた原野の古墳の前にたたずみ、当時を弔う。ここで、今川の軍 勢は勝利に酔い、武将たちは驕りたかぶっていたので、どうして戦を全うするこ とができようか。折りから怪しい風が吹き出して、一天にわかにかきくもり、日中であるのに暗くなった。それに乗じて、織田の奇兵が攻め、今川の軍はあたかも天から兵が降ってきたかと驚いて、ついに敗北してしまった。
「鑑賞」
荒れた原野の古い塚の前にたたずむと、思いは当時の信長勢の奇襲の情景へと馳 せめぐる。後半、昼というのに、折りからの暴風雨のため、暗くなった中を、信長勢が義元目ざして掛け降りていくさまが、あたかも眼前に繰りひろげられたかのように迫力のある筆致で描かれる。荒涼、古墳、怪風、驚破と用語も吟味され、古戦場を弔う詩の傑作といえるでしょう。
吟剣詩舞道漢詩集「続 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
豊橋方面から名古屋へ向かう時か、又は、名古屋から豊橋方面へ行く時なのか?
メールアドレス
7rbp7@ballade.plala.or.jp
山田徳英