yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

漢詩の流れ

2017-06-21 06:23:06 | 文学
長い漢詩の歴史において、その魁となったのは、北方の「詩経」です。詩経は「周詩」ともいわれますが、周代とは紀元前1046年頃から紀元前約256年頃までの古い時代です。やがて、南方に「楚辞」が生まれました。
 
絶句は四句の短詩形であり、はじめ民歌の中から起こりました。400年頃の東晋の時代には、下記の詩がありました。

    子夜歌(しやか)

 落日(ひぐれ) 前門ニ出(い)デ
 のぞみて子(きみ)ノ度(きた)ルヲ見ル
 治容(あでやかさ)姿鬢(しびん)ニ多ク
 芳香 已(すで)ニ路(みち)ニ盈(み)ツ

 「訳」
夕ぐれ、男が門口へ出て待つと、向こうからいい匂いをさせながら、粧(よそお)いをこらした女がやってくる。
この「子夜歌」は逢びきの歌で、端唄風の趣があり、「万葉集」の民衆の東歌にも通ずるように思います。

やがてこれが洗練されて内容のある、味わい深いものへと進展し、8世紀の唐代の詩につながります。
    
      鹿柴(ろくさい)    王維

 空山不見人
 但聞人語響
 返景入深林
 復照青苔上

空山人ヲ見ズ
 但(た)ダ人語ノ響ヲ聞クノミ
 返景(ゆうひ)深林ニ入リ
 復(ま)タ照ラス青苔ノ上

 「訳」
しんとした山に人影は見えないが、人の話声が聞こえる。やがて、この幽境に夕暮れがおとずれ、森の中の青い苔を照らし出している。
 
「鑑賞」
人知らぬ静かな山中の、夕日と青苔のあやしい出会い、俗世間の人間のうかがい知れない奥深い趣が、読み終えたあと余韻となって漂います。

王維に続いて、李白、杜甫があらわれ、漢詩は、唐代300年の絶頂期を迎えました。やがて、宋、元、明を経て現代に至りました。世界の詩の中で、三千年の長さにわたって大河のように一貫して滔々と流れているのは漢詩以外にはありません。詩の言葉、表現の仕方、構成、題材、音声上の工夫等々、長い時間をかけて磨きぬいてきました。言語芸術として漢詩ほど高度な成就を遂げたものはないでしょう。

 石川忠久 「漢詩紀行」日本放送出版協会

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難読漢字

2017-06-18 05:35:59 | 文学
テレビでよくクイズ番組を見ますが、漢字を読む問題がしばしば、あります。不肖には難しかった漢字もあり、それ等を含めて紹介します。

問題偏
     謙る
     諂う
     悴む
     掌る
     解す
     郁しい
     逞しい
     罅割れ
     肌理
     孕る

常連の解答者は、さすがに、速く、正確にできるのに感心しました。


  解答偏
     謙る       へりくだる
     諂う       へつらう
     悴む       かじかむ
     掌る       つかさどる
     解す       ほぐす
     郁しい      かぐわしい
     逞しい      たくましい
     罅割れ      ひびわれ
     肌理       きめ
     孕る       みごもる


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至誠惻怛

2017-06-15 05:34:47 | 文学
至誠惻怛(しせいそくだつ)は、「論語 微子 巻十八」や、王陽明の「伝習録」にある言葉だそうです。まことの心と慈しみの心が仁徳につながると孔子は言います。山田方谷(江戸末期、備中・松山藩の儒者で藩政改革に成功した人)が門弟の越後・長岡の河井継之助に贈った言葉でもあります。上司に誠を尽くし、部下を慈しむことを願ったのではないでしょうか。
 ノーベル医学・生理学賞を受賞された大村智教授の座右の銘も、「至誠惻怛」です。
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エルモ

2017-06-12 05:35:51 | 将棋
「エルモ」は将棋ソフトの名前です。5月3~5日に、川崎市で開かれた「世界コンピューター将棋選手権」において、大本命の「ポナンザ」を破って初優勝を果たしました。
「エルモ」を開発したのは、東京都に住む会社員の瀧澤誠氏で、自身は全く将棋を指さということです。これには、驚きました。将棋を指さない人にも最強レベルの将棋ソフトを作れる
ことを証明しました。瀧澤氏は、「事前の目標は2位で、ポナンザには負けるだろうと思っていた。自分のソフトの力が通用したことが驚き。」「エルモ」は過去の電王戦で活躍した強豪AI
「エイプリ」「やねうら王」がベースになっています。瀧澤さんは、エルモ同士の対戦を重ねてどのような手を指すと勝率が高いかを調べ、そうした手を選び出せるように評価関数を調整。その工夫の結果、より正確は形勢判断ができるようになりました。この点でポナンザより
優位に立ったようです。
 将棋は素人でも、AIの力で、「実力は名人なみ」のソフトを実現できることに、不思議なもの、そして一種の寂しいものを覚えます。人工知能は人間が発明したにもかかわらず、この開発の話を聞くとAIの優位がわかり、人間の限界を思い知らされました。
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栗花落、難読姓

2017-06-09 06:33:22 | 文学
栗の白い花が落ちる頃が「梅雨入り」の季節です。「栗花落」はつゆり、つゆ、つゆおち等と読み、「栗花落」という姓もあるそうですが、難読姓の一つです。難読姓といえば、小粥(おがい、おがゆ)、勅使河原(てしがわら)、御手洗(みたらい)、薬袋(みない)、日下部(くさかべ)、刑部(おさかべ)なども難しいと思います。
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春夜喜雨 杜甫

2017-06-06 05:39:30 | 文学
詩聖 杜甫の五言律詩を紹介します。

  春夜喜雨

好雨知時節
当春乃発生 
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲倶黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦錦官城

春夜雨ヲ喜ブ

好雨時節ヲ知リ
春ニ当ツテ乃チ発生ス 
風ニ随ヒテ潜カニ夜ニ入リ
物ヲ潤ホシテ細ヤカニシテ声無シ
野径雲倶(とも)ニ黒ク
江船火ハ独リ明ラカナリ
暁ニ紅ノ湿へル処ヲ看レバ
花ハ錦錦官城ニ重カラン

  「訳」

よい雨は降るべき時節を知っており、春になると降り出して、万物が萌えはじめる。雨は風につれてひそかに夜まで降り続き、こまやかに音もたてずに万物を潤している。野の小道も雲と同じように真っ黒であり、
川に浮かぶ船のいさり火だけが明るく見える。夜明け、赤くしめりをおびたところを見るならば、それは錦官城に花がしっとりぬれて咲いている姿なのだった。

   「鑑賞」

 この詩は浣花草堂(かんかそうどう)での春の雨をうたって、もの静かなうちにも喜びのあふれた作となっています。前半は春雨に育まれる自然を、後半は夜と翌朝の景をうたい、いさり火の一点の赤から紅の花びらへと拡散していく。「喜」の語は一つもないが、錦官城(錦城、成都)
の町いっぱいに咲く花に目を細める姿が偲ばれます。

 最後の2句は、特にいいいと思います。
 ここにある花は成都に多い牡丹と思われます。  

    石川忠久  「NHK漢詩紀行」日本放送出版協会   
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早口言葉

2017-06-03 05:47:41 | 文学
多くの早口言葉があります。
話すことを仕事にしている人、詩吟など、発声が重要要素となることを趣味にしている人にとっては、早口言葉のマスターが必要なようです。例えば,下記の通りです。

青巻紙、赤巻紙、黄巻紙
生麦生米生卵
魔術師魔術修行中
除雪車除雪作業中
東京特許許可局許可局長
お綾や、八百屋におあやまり
駒込のわがまま者 中野の怠け者
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18歳と81歳の違い

2017-05-31 05:27:00 | 文化
知人から聞いた「面白い話、18歳と81歳の違い」を紹介します。

恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳。
道路を暴走するのが18歳、道路を逆走するのが81歳。
心がもろいのが18歳、骨がもろいのが81歳。
まだ何も知らないのが18歳、何も覚えていないのが81歳
東京オリンピックに出たいのが18歳、東京オリンピックまで生きたいと思うのが81歳。
自分を探している18歳、皆が自分を探しているのが81歳。
偏差値が気になる18歳、血糖値が気になるのが81歳。
「嵐」というと松本潤を思いだす18歳、鞍馬天狗の嵐寛寿郎を思い出すのが81歳

上記は、「笑点」の回答かも知れません。
81歳の人の行動が他人事とは思えず、あまり笑えない私です。
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「舟過八島」 正岡子規   

2017-05-28 05:43:49 | 文学
正岡子規の七言絶句を紹介します。正岡子規は短歌にも俳句にも長じていましたが、
漢詩も作ることがわかりました。

  舟過八島

萬里吹来破浪風 
追思往事已成空
青山一帯人不見
唯有淡濃烟霧籠

  舟八島ヲ過グ

萬里吹キ来ル破浪ノ風 
往事ヲ追思スレバ已ニ空ト成ル
青山一帯人見エズ
唯淡濃烟霧の籠ムル有り

  「訳」
いま、舟で行き過ぎようとするこのあたりには、波も吹きちぎらんばかりに風が強く吹きつけてくる。対岸はちょうど屋島である。思えば源平合戦の昔、この地では激しい戦いが繰り広げられたのであるが、いまとなっては空しく、その跡を留めるものとてない。屋島の一面青々とした山なみのあたり、人の姿も見えない。ただ濃く薄くもやが立ち籠めているばかりである。
   
    「鑑賞」
 八島の辺りを舟で行けば、遠く吹く風に立つ白い浪がしらが、源氏の軍勢の怒濤のごとき姿にも、また逃げまどう平家の敗残のさまにも見えてくる。ふとわれに返ると浪が広がるばかりである。濃淡の靄の中にすべてを包み込み、茫々たる懐古の気分を醸し出している。力まずに懐古の情を詠い上げた作品である。なお、転句や結句には子規らしい写生の目が光っていると思われる。
 

        「吟剣詩舞道漢詩集」 「続・絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
  
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青天目、服部、東海林

2017-05-25 05:51:09 | 文学
難読の姓は、数多くあると思いますが、表題の姓は読み方がやや難しいです。

正解は「なばため」「はっとり」「しょうじ」です。

青天目:もとは「生田目」で、栃木県にある地名です。稲の芽が出る前の田の青々とした状態を指します。

服部:古い部民(べみん)の一つで、朝廷の衣服を作ることを職業としました。
「はたおりべ」→「はっとり」と変化しました。伊賀忍者の服部半蔵が殊に有名です。

東海林:山形県に多い姓です。山形の荘園に東の海を渡ってきた林氏が荘園の官吏を任されたのが姓の語源ということです。歌手の東海林太郎氏が有名です。
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