<o:p> </o:p>
日本発の、この題名の谷村新司さんの歌はアジアや中国などでも広く唱われています。古来、昴(すばる)は人類を大きく魅きつけてきました。日本では冬の夜空に瞬く代表的な星座です。すばると言う呼び名は純粋の日本語です。中国では紀元前2300年頃の「書経の堯典」に、「日は短く、星は昴(ぼう)、以て仲秋を正す」とありますが、これがすばるの名が出てくる世界で最初の文献です。以来、中国で昴宿(ぼうしゅく)という星座は28宿(28の星座のこと)の一つに挙げられています。日本では「和名類聚抄」(わみょうるいじゅしょう)に和名すばるが最初に現れていますが、これより7,80年おくれて清少納言が「枕草子」に「星はすばる」と書いています。星座の形から「羽子板星」の名もあり、日本の正月にふさわしい名です。イタリアでもラ・ラケッタ(羽子板)と呼ばれているそうです。<o:p></o:p>
西洋名のプレアデスはホメロスの詩篇にも見られ、ギリシャ神話では、空を荷う巨人アトラスの7人の娘がこの星になったと言われています。<o:p></o:p>
序でながら、谷村さんが唱う「マカリー」(ハワイ語で、ハワイの船乗りで星を観て航路を決める人の意)という新しい歌もすばらしい歌だと思いました。ちなみに、その歌詞のなかに「ヨーソロ・ヨーソロ」という言葉がありましたが、これは「良く候」のことで、「面舵」や「取り舵」などと共に「直進せよ」を意味する日本の船乗りの言葉です。<o:p></o:p>
野尻抱影 著 『星座歳時記 Ⅱ』 恒星社<o:p></o:p>
<o:p> </o:p>