yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

徳川頼宣 父母状

2022-01-29 06:25:39 | 歴史
徳川家康の十男、初代・紀州藩主、徳川頼宣が遺した父母状という文があります。
 領内に起こった犯罪の報告を受けた頼宣公は、「藩の教育に問題があった。彼一人の罪でない。私の不徳を恥じるのみだ」と言い、自ら筆を執って教訓状を書き、これを藩の儒者、李梅渓に清書させたものを藩内にくまなく配りました。これが「父母状」と呼ばれるものです。内容は以下の通りです。

   父母に孝行し 
法度を守り
へりくだり
奢らずして
面々家職を勤め
正直を本とすること
だれも存たることなれども
弥能相心得候様に
常々可申聞者也


特に、「正直を本とすること」が強調されたそうです。全体を、現代文にすれば「父母に孝行し、法を守り、質素に、家業に勤め、正直に暮らすことは誰でも知っていることではあるけれども、しっかりと心得るように常々言い聞かせなければならない」というような意味になります。この教えは、広く人生訓として紀州藩に永く浸透し、市内には今でも園児にこの内容を暗唱させている幼稚園があります。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中将棋

2022-01-26 06:30:27 | 将棋
江戸時代には、今普及している本将棋(9X9の盤で戦う)の他に、中将棋や大将棋、大大将棋というものがありました。中将棋は縦横12マスずつに区切られた将棋盤の上で戦います。要点は次の通りです。(写真 下)
・自分から見て手前の四段を自陣、反対に相手から見て四段を敵陣という。
・競技者双方が交互に盤上にある自分の駒を一回ずつ動かす本将棋とは違い、持ち駒という概念はありません。
・駒は、玉将(玉)または王将(王)・金将(金)・銀将(銀)・香車(香)・飛車(飛)・角行(角)・歩兵(歩)・横行(横)・竪行(竪)・龍馬(馬)・龍王(龍)・獅子(獅)・奔王(奔)・反車(反)・盲虎(虎)・麒麟(麒)・鳳凰(鳳)・猛豹(豹)・銅将(銅)・醉象(象)・仲人(仲)の21種類あり、それぞれ動きが決まっています。
玉将または王将、奔王、獅子以外は以下の方法により「成駒」になれます。
敵陣の外側にある駒を敵陣内へ移動させたとき。
敵陣内にある自軍の駒で敵の駒を取ったとき。
歩兵・香車が不成で敵陣に進入した場合、敵駒をとるかあるいは一番奥の段にたどり着いたとき。
また、奥泉光氏は自著「死神の棋譜」の中に、磐城澄人 元子爵が神から授かったとされる龍神棋というものを創作しています。駒には、麒麟、美蛾、銀蝮(ぎんふく)、凶雲、娜蹶(なけつ)、炎蛇(えんだ)、血蟲(けっちゅう)、巍仙(ぎせん)、海神、瑞鳥、夜叉、羯僧(かっそう)、砂塵、巍塊、叡羊(えいよう)。魍魎(もうりょう)、赤魔、陣狐、冷犀(れいさい)、疾風、蝗王(こうおう)、蝦蟇、丹菊、雷虎、大鼠、迷牛、蚕女、牢鬼、赤舌、梅翁、老亀、漣花(れんか)、暁門、幽月、流鶯、銀牙、彩刀、姜矛(きょうぼう)、氷筐(ひょうきょう)、鰐王(がくおう)、髑髏(どくろ)、妖鯨、虚兵、死神があります。

この本の中には、荒唐無稽なのですが、藤井聡太少年らしい人が木村義雄元名人と龍神棋を対局する場面もありました。「その少年は愛知県の出身で、「いまは東海研修会にいるんだけど、来年くらいには奨励会に入るだろう。プロになるのもすぐだ」と書いています。

   奥泉光 「死神の棋譜」新潮社


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夢

2022-01-23 06:37:54 | 文学
「はつゆめ」とは、新年のある夜に見る夢。この夢の内容で、1年の吉凶を占う風習があります。字義どおりに新年最初に見る夢ではありますが、「大晦日の夜から元日の朝」「元日の夜から2日朝」「2日夜から3日朝」の3つの説が混在します。

江戸時代のことわざで、一富士、二鷹、三茄、四葬礼、五雪隠、などといわれます。また、四扇、五煙草、六座頭、七丁髷、八薔薇、九歌舞伎とも言われます。富士、鷹、茄子は駿河の名物で徳川家康が好んだものという説があります。

    富士と扇とは末広がりの形から、子孫や商売の繁栄を意味しています。
鷹と煙草は、上へ上へと上昇していくため、運気上昇や出世を意味しています。
茄子と座頭は、共に「毛がない」ことから、「怪我が無い」とし、家内安全を意味しています。葬礼は、本来、縁起の悪いものですが、禍転じて福となす、の思想。雪隠は汚物浄化の効用があることから悩みや問題点の解決に役立つとされました。
縁起の良い言葉が世の中に満ち溢れれば、楽しく嬉しいことです。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鎌倉殿の13人

2022-01-20 06:27:23 | 歴史
NHK 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まりました。英文の題名は“”13 Lords of the Shogun” です。Lordの意味は領主、貴族、などですが、頼朝将軍をとりまく13卿とするのがぴったりのようです。実際に、13人による合議制の統治機関がありました。その13人の姓名は以下の通りです。

北条義時 このドラマの主人公、北条時政の子供、2代目 執権
北条時政 北条義時の父
梶原景時(かじわらかげとき)源頼朝の重臣
比企能員(ひきよしかず) 藤原秀郷の末裔
安達盛永(あだちもりなが)頼朝の従者
和田由盛(わだよしもり) 三浦氏の一族、頼朝の家来、侍所 初代別当
大江広元(おおえひろもと)下級貴族、鎌倉に下り、公文所、政所の初代別当となる、毛利氏の祖
三善康信(みうらやすのぶ)問注所 初代 執事
三浦義澄(みうらよしずみ)三浦氏の一族、
中原親能(なかはらちかよし)大江広元の兄
二階堂行政(にかいどうゆきまさ)二階堂氏の祖
足立遠元(あだちとおもと) 足立氏の祖
八田知家(はったともいえ) 下野宇都宮氏の当主
 
 主人公の北条義時は、1221年、承久の乱の後、後鳥羽上皇を隠岐の島に配流したことから傲岸不遜な逆臣という印象があります。しかし、最近の研究では、悪辣と強調されることはあまりなくて、「公家と武家の権力を逆転させた人物」というのが通説のようです。東大資料編纂所の本郷和人教授は、義時の力の源泉は「卓抜した陰謀力」と指摘しているそうです。武士の総意を汲んで束ねる「根回し力」にも優れていました。100年近く続いた北条家の支配を築いた所以でもありました。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2倍と2乗

2022-01-16 06:28:54 | 文化
数を2倍した時と2乗した時、等しい値になる数は何でしょうか。
2がそれに該当すると思いつく方が多いと思います。それが正解でしょうか。方程式を立ててみます。

 2Xa= aXa    ①
  a=2     ②

① 式において両辺をそれぞれaで割ると a=2 が導かれます。2が正解の一つなのですが、念を入れてみると、a=0 でもいいのです。

上で①から②に進む時に両辺をaで割っていますが、これはaが0でない時にのみaで割ることができてa=2が導かれます。a=0 も①式の正解です。

すなわち、この問題の正解は2と0 でした。
 

      鶴崎修功 「カジュアルな算数・数学の話」クラ-ケンラボ






コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天皇の享年

2022-01-13 06:31:20 | 歴史
歴代天皇の享年を調査しました。神武天皇は伝説上の天皇であり、1296才と言われている途方もない年齢です。綏靖(すいぜい)天皇から応神天皇まで天皇の享年も不確実な数値かも知れません。
女帝は概して御長寿であり、昭和天皇は最長の89才でした。

 初代 神武天皇  1296才
 2代 綏靖天皇    109才
3代 安寧天皇     57才
11代 垂仁天皇    139才
12代 景行天皇    144才
13代 成務天皇    106才
14代 仲哀天皇     52才
15代 応神天皇    109才
16代 仁徳天皇    110才
17代 履中天皇    69才
18代 反正天皇    74才
19代 允恭天皇    77才
20代 安康天皇    55才
21代 雄略天皇   72才
  中略
33代 推古天皇    72才
35代 斉明天皇    55才
40代 天智天皇    46才
40代 天武天皇    不詳
41代 持統天皇    58才
42代 文武天皇    26才
45代 聖武天皇    55才
46代 孝謙天皇    52才
50代 桓武天皇    69才
53代 嵯峨天皇    56才
56代 清和天皇    31才
72代 白河天皇    76才
74代 鳥羽天皇    53才

77代 後白河天皇   65才
82代 後鳥羽天皇   56才
84代 順徳天皇    45才
96代 後醍醐天皇   51才
100代 後小松天皇  56才
106代 正親町天皇  76才
108代 後水尾天皇  84才
109代 明正天皇  72才
121代 孝明天皇    38才
122代 明治天皇    60才
123代 大正天皇    47才
124代 昭和天皇    89才
125代 平成天皇  過日、米寿をお迎えになりました。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

埴生の宿

2022-01-10 06:22:05 | 文学
名曲「埴生の宿」は、明治17年に成立しました。アメリカ人、ジョン・ハワ-ド・ペインが作詞した英詞に、里見義が日本語訳をつけました。曲はイギリスのヘンリ-・ロ-リ-・ビショップが作曲しました。小説「ビルマの竪琴」では、日本兵と敵兵がともに歌うという象徴的なシ-ンでこの歌が使われました。

 埴生の宿も わが宿
 玉のよそい うらやまじ
 のどかなりや 春のそら
 花はあるじ 鳥は友
 おお わが宿よ たのしとも たのもしや
  
ふみよむ窓も わが窓
瑠璃の床も うらやまじ
きよらなりや 秋の夜半(よわ)
月はあるじ 虫は友
おお わが窓よ
たのしとも たのもしや


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

徳川将軍の享年

2022-01-07 06:26:52 | 歴史
江戸時代に日本を牽引した徳川将軍の享年に注目しました。最長は最後の将軍、15代徳川慶喜公の77才で、それには驚きました。
60代で逝去した将軍は僅か4人、脚気で逝去した将軍が3人いました。

初代 家康 75才  食中毒
2代 秀忠 53才  寄生虫病
3代 家光 55才  脳卒中
4代 家綱 39才  心臓発作
5代 綱吉 63才  成人麻疹
6代 家宣 51才  インフルエンザ
7代 家継  8才  急性肺炎
8代 吉宗 68才  脳卒中
9代 家重 51才  尿毒症
10代 家治 49才  脚気
11代 家斉 68才  急性胃腸炎
12代 家慶 60才  熱中症
13代 家定 35才  脚気
14代 家茂 20才  脚気
15代 慶喜 77才  肺炎
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

知らざるを知らずと為せ 是知る也

2022-01-04 06:14:52 | 文学
「論語 為政第二」の中に、次の文があります。
    子曰、
    由、誨女知之乎、
    知之為知之、不知為不知。是知也
   
    「読み方」  
   子ノ曰ワク、
   由(ゆう)ヨ、
      女(なんじ)ニ之(これ)ヲ知ルコトヲ誨(おし)エンカ。
      コレヲ知ルヲコレヲ知ルト為シ、知ラザルヲ知ラズト為セ。
      是レ知ルナリ。

       「訳」
      先生がいわれた、「由よ、お前に知るということを教えようか。
      知ったことは知ったこととし、知らないことは知らないとする、それが
知るということだ。」

      人はこういう世界、このような問題があることを、これまでずっと知らな かったのかと、愕然とすることがある。「知らないことは知らないこととする、それが知るということだ」。限界や輪郭を知ってはじめて人はおのれの知のありようを知る。謙虚という徳が知恵の裏張りをなす。

         金谷 治 訳注 「論語 為政第二」 岩波書店
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2022年 壬寅(じんいん) 謹賀新年

2022-01-01 06:25:11 | 文学
新年おめでとうございます。今年もこのブログへのご来訪をお待ちしておりますので、
よろしくお願い申し上げます。今年はこのブログが16年目になります。昨年は、ブログへの掲載が1700話を超え、お陰様で、このブログへのアクセス数が灼く142万になりました。


今年、西暦2022年の十干・十二支は「壬寅(じんいん)」です。壬は十干の九番目みずのえ、十二支は寅です。「寅」の音読みは「いん」、訓読みは「とら」です。

「壬」の意味
「辛」は、十干の第九位、辛い、こぶしの意、下の象形文字のように、上は干すと下の一を組み合わせて、下なる陽エネルギ-が敢然として上に出現する形であり、前の十干の庚を継ぐ革新を意味します。「壬」は孕むの意があり、妊婦の姿でもあり、荷う、事にあたる意(任)もあらわされています。


「寅」の意味
寅は、十二支の第三位、方位は東北東、動物では虎の意。
「寅」の字の真ん中は、手を合わせる、約束する象形で、下の八は人です。「つつしむ」の意があり、寅畏(いんい)という語があるように、敬んで協力することを寅亮(いんりょう)といいます。同寅と言えば、同僚であり、同僚の誼は寅誼(いんぎ)といいます。志を同じうするもの相約し、敬んで時務を進めねばならないのです。

       安岡正篤 「干支の活学」プレジデント社   




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする