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木挽町のあだ討ち 永井紗耶子
書評誌で「年間ベスト級の傑作」と絶賛されていたので、普段あまり読まない時代小説だが、読んでみることにした。父親の仇を討つために江戸に出てきた年端のいかない若い侍が、江戸市中で見事にあだ討ちを成し遂げて国に戻ってお家を再興させる。それから2年後、別の若い侍があだ討ちの目撃者や仇を討つまでの間江戸での逗留を世話した市井の人達に当時の様子を聞いて回るというミステリー時代小説だ。話が進む中で、少年があだ討ちをしなければならなくなったそもそもの原因である父親の死の真相、なぜ少年がかくも見事にあだ討ちを成功させることができたのかなど、様々な謎が少しずつ解明されていく。人々の回想談や自分の人生を語る話の至る所に何気なく謎を解く鍵が埋め込まれていて、更に読者は本書の題名そのものにも仕掛けがあることに気づく。終盤で結末自体は予想できる内容だが、それでも書評誌通りこれまでに読んだ時代小説の中で最高に面白かった一冊だと思う。(「木挽町のあだ討ち」 永井紗耶子、新潮社)
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