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事故物件、いかがですか? 原田ひ香

前に読んだ「東京ロンダリング」の続編。本作も事故物件に短期間住んで告知義務を回避する仕事を軸とした連作短編集で、前作でお馴染みの登場人物も多数登場する。前作と違うのは、事故物件の大家さん、事故物件ロンダリングに従事する不動産会社の人、それを側面から手伝う人など様々な立場の人たちの視点から物語が描かれていることだ。また、話の焦点が、事故物件についてだけでなく、多発する失踪事件、東京オリンピックに絡む官民ぐるみの利権など、東京という大都会に潜む闇にも広がっていて、深刻な社会小説にもなっている。本作がオリンピックの5年前に書かれたことを考えると、特殊設定小説と問題提起小説という2つの性格を兼ね備えていて、これまでに読んだ著者の作品の中でもとりわけシリアスな小説だと感じた。(「事故物件、いかがですか?」 原田ひ香、集英社文庫)、
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