goo

オンライン落語 林家彦いちx X

大好きな創作落語家林家彦いちのオンライン落語独演会。三遊亭白鳥との二人会は何度も見ているが、彦いちの独演会は初めて。題名の「x X」というのは「ゲストはシークレット」ということで、視聴チケット購入時にはゲストが誰だかわからない。どうかなと迷ったが、とりあえず参加することにした。結局当日のゲストは、オネエキャラのような感じの古今亭文菊という落語家で、2人がそれぞれ古典落語を一席ずつ披露した後2人のトークという流れ。古典落語のみ2席だし、トークはごく当たり障りのないもので、彦いちの創作落語や、いつもの白鳥とのはちゃめちゃトークのようなものを期待していた趣味の偏ったものとしては、「ゲスト不明」という企画は避けなければダメだったと反省した。
①古今亭文菊 締め込み
②林家彦いち 猿後家
③トーク
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

骸骨巡礼 養老孟司

ヨーロッパの墓地や納骨堂を巡る旅のエッセイ集。写真が豊富で、しかも巻末にそれぞれの写真の解説が書かれていて、それを見たり読んだりするだけでとにかく面白い。エッセイの方は著者独特の言い回しで話があっちにいったりこっちにいったりで取り止めないが、これも独特の魅力を醸し出している。本書の中で、戦争というものは勝ちを経験した人、負けしか知らない人で戦争観が全く違うという著者の指摘は、自分のような両方知らない世代にはとても重く響いた。また、戦争犠牲者の骨を数千体並べた納骨堂の意味について、著者は分からないと言いつつ、しっかりそれを読者に伝えてくれている気がする。(「骸骨巡礼」 養老孟司、新潮文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

泡坂妻夫引退公演 手妻編 泡坂妻夫

著者の死後に刊行された2分冊短編集の後編。著者作品でお馴染みのヨガガンジーが登場する短編3つとマジックをテーマにした短編、さらに著者としては珍しい戯曲が収録されていてバラエティ豊かな内容だ。著者の文章は結構省略があったり難しい漢字などがあったりするのだが、ふつうに読んでいると光景が自然と浮かんでくるようになっていて、これも熟練の技なんだろうなぁと感じる。巻末には非常に親切な著者作品一覧が掲載されていてこれも有難い。まだ未読のものも多いのだが、入手しにくいものは復刻版が出るといいなぁと思った。(「泡坂妻夫引退公演 手妻編」 泡坂妻夫、創元推理文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

オンライン漫談 月刊ワンコイデ第6号

今回のテーマは「営業先でのエピソード」。大道芸を披露するために招待されたお祭りやイベント会場での出来事をまったりと聞く30分。このオンライン漫談、毎回30分では足りないと思うのだが、今回はいつも以上にあっという間だった感じだ。もっと長時間聴きたいと思う反面、30分だから気軽に聞けるし、次も是非という気になるので、これはこれでありかと思う。5月には横浜にぎわい座での昼夜公演もあるとのこと、今から予定に入れておきたい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

オンライン落語 三遊亭白鳥「死霊のラクダ」

欠かさずに見ている広瀬和生プロデュースの三遊亭白鳥オンライン独演会。今回は「死霊のラクダ」というオンライン配信ならではの演目と謳う長講一席とトークの二本立て。「死霊のラクダ」は創作落語ではなくいわゆる古典落語の元ネタのある改作落語とのことだが、お笑いの要素の少ない怪談話のような内容で、登場人物が演者に乗り移ったような語りが圧倒的に凄かった。後半のトークは、桂宮治の人気ぶりとか女流落語家の躍進といった最近の落語会の話題をテーマにして1時間以上際どい内輪話満載。白鳥師匠の「コロナの影響で仕事がない」という愚痴に対して、広瀬和生が冷静かつ容赦ない分析をしているのが可笑しかった。次も楽しみにしたい。
①三遊亭白鳥 死霊のラクダ
②広瀬和生とのトーク
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

泡坂妻夫引退公演 絡繰編 泡坂妻夫

著者の作品のうち単行本化されなかった短編を集めて再編成された二分冊のうちの一冊で、著者お馴染みの名探偵「亜愛一郎」のご先祖様が幕末の徳川家臣として活躍する短編、和服に家紋を描く絵師が家紋にまつわる謎を解いていく短編などが収められている。著者独特の言葉遊びや家紋というすっかり廃れてしまったものの薀蓄などが散りばめられていて、まさに著者ならではの話が楽しい。ミステリー要素の強いもの、謎が謎のまま余韻を残して終わる話など、バラエティに富んでいて、次はどんな話だろうと思いながら読み終えた。同時刊行の「手妻編」も楽しみだ。(「泡坂妻夫引退公演 絡繰編」 泡坂妻夫、創元推理文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

2021年の本屋大賞予想

今年も本屋大賞ノミネート作品を読み進めてきたので、ここで毎年恒例にしている自分なりの大賞予想をしてみたい。今年のノミネート作品は10作品で1冊だけ未読だが、今のところ読む予定がないので読んだ9冊の中から選ぶことにする。まず今年の候補作の中で良かった作品は、「滅びの前のシャングリラ」「犬がいた季節」「八月の銀の雪」「52ヘルツのクジラたち」「自転しながら公転する」の5冊。これらはいずれも甲乙つけがたい気がするが、読んだ後にモヤモヤしないで心から良かったなぁと思えたのが、「犬がいた季節」と「52ヘルツのクジラたち」の2冊。そんなこんなで予想は以下の通り。
大賞 52ヘルツのクジラたち (とにかく最後に差し込む光が眩しかった。)
次点 犬がいた季節(平成の色々な出来事が思い出された。)
3位 八月の銀の雪(ズバリ科学的知見と文学の融合)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

推し、燃ゆ 宇佐見りん

芥川賞受賞作。最初は聞き慣れない不思議な言葉がポツポツと出てくるのでやや戸惑ったが、少し読むとそれにも慣れてきて、今の言葉で書かれた今の話を読んでいるという新鮮味のある読書体験となった。そもそも読む前には、「推し」というのが「アイドルなどを応援している」状態ではなくその「対象そのもの」を表わしていることすら知らなかったのだが、読み終えるとその辺の使い方まで何となくわかるようになってしまった。別にわかるようになったからどうということもないのだが、そうした言葉の使い方一つ一つに新しさを感じる一冊だった。この辺りの新しさは、大昔に村上龍の「限りなく透明に‥」を読んだ時に感じた感覚と似ている気がした。(「推し、燃ゆ」 宇佐見りん、河出書房新社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

52ヘルツのクジラたち 町田そのこ

2021年の本屋大賞ノミネート作品。主要な登場人物のほとんどが辛い過去を背負いながら今を生きているので、読んでいていたたまれない気持ちになるのだが、それだけに終盤に差し込む光がとても眩しい。今年の本屋大賞ノミネート作品を順番に読んできて、前の作品のところで「暗い作品が多い」と書いたが、この作品はしっかりした出口が垣間見えるし、諸悪の根源のような人物に振り下ろされる鉄槌も容赦なく、ノミネート作品の中でも最も印象に残る作品となった。(「52ヘルツのクジラたち」 町田そのこ、中央公論新社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

八月の銀の雪 伊与原新

今年の本屋大賞ノミネート作品。著者の作品は3冊目。五つの作品が収録された短編集だが、どの作品も地球の内核の構造、クジラ、伝書鳩、珪藻といった生物の生態など、自然科学の知識が上手に盛り込まれたストーリーになっている。その自然科学の知識の使い方が本当に見事だしそれが理路整然と論理的に語られるので、もしかしたらと思って巻末の著者の略歴を確認したらやはり理科系出身だった。今、今年の本屋大賞のノミネート作品を読み進めているが、閉塞感や同調圧力に生きにくさを感じている若者の話が多い気がする。本書もそうした作品の一つだが、時間的にも空間的にもスケールが全く違う自然科学の知識を得ることによってなんだか救いや希望が見えてくる感覚は、この著者唯一無二のものだと思う。(「八月の銀の雪」 伊与原新、新潮社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

オンライン落語 リモート鉄道落語会

ZOOMを使った視聴は初めてで、直前にインストールが必要だと分かったりして少し慌てたが何とか見ることができた。楽しみにしていた横浜にぎわい座の鉄道落語会をコロナ禍のせいでキャンセルしたばかりだったので、そのタイミングの良さもあり、見ることができて良かった。内容は、鉄道落語の第一人者古今亭駒治師匠の鉄道落語、「乗り換えビック4」という鉄道時刻表のプロフェショナル4名を交えたトーク、お仲入り、落語もう一席という流れ。手作り感満載で、開催時間が遅れたり途中で音声が切れたりハプニングも結構あったが、それも何となく面白かった。毎年開催とのことで、次も見たいと思うが、年に一度ではなくもっと頻繁にやってほしいし、次からは是非アーカイブ視聴ありにしてほしいというのが感想。
①古今亭駒治 「上京物語」
②乗り換えビック4とのトーク
③古今亭駒治 「地下鉄戦国絵巻」
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

犬がいた季節 伊吹有喜

今年の本屋大賞ノミネート作品は暗い作品が多い気がするが、本書はほのぼのとしたところの多い明るい作品なので少しホッとしながら読むことができた。舞台は三重の高校。その高校に一匹の子犬が迷い込んできて、里親が見つからないまま、代々の生徒会の高校生たちが世話をしていくという設定だ。高校生たちは犬の世話をしながら自分たちも成長し人生の岐路で決断したりしていく物語が、阪神淡路大震災、F1ブーム、ノストラダムスの大予言といった現実の出来事を織り込みながら進んでいく。基本的には学園ものという風情だが、平成の色々な出来事が背景にあるので、色々な年齢層の読者が当時の自分を投影しながら読むことができる仕組みになっている。時々犬の目線になるところも効果的で、とても良い本に出会えたなぁと思えた。(「犬がいた季節」 伊吹有喜、双葉社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ 頭木弘樹

自分自身は、江戸の長屋を舞台にしたようないわゆる古典落語には全く魅力を感じないが、現代を舞台にした新作落語は大好きでよく聴きに行く。こうした自分の嗜好は何となく片寄っている気がするし、その原因として自分の知らないことがあるのかもしれないと思って読んでみた。本書の内容を要約すると、落語は面白いものという固定観念や期待を一旦脇に置いて、色々な知識や歴史を知るように心がけていくと、落語の芸能としての違った楽しさが見えてくるということ。この結論はいわゆるコアな落語愛好家の主張そのものだが、本書で展開される考察はとても緻密で面白かった。読後も自分の片寄った嗜好が変わりそうな予感はあまりしないが、古典落語を色々な落語家で聞き比べてみようかという気には少しなった。(「落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ」 頭木弘樹、筑摩文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

オンライン落語 立川吉笑

自分がよく行く落語会は基本的に高齢者が多いにもかかわらず何故か緊急事態宣言発令後も隣を空けない密状態のまま開催されている。これが嫌なので1月からのチケットは全部キャンセルし、その代わりにオンライン落語の鑑賞を再開することにした。これがその第一弾。立川吉笑という名前は知らなかったが、新作落語を中心に演じている落語家で、落語評論家の広瀬和生氏がプロデュースしている会ということなので参加してみた。内容は、前半が新作落語2席でお仲入り、後半が広瀬和生氏とのトークという構成だったが、落語2席、トーク、全てがとても面白かった。特に2席目の「カレンダー」は演じる日付によって内容が微妙に変わるというユニークなもの。またトークも新しい落語会の動き、真打昇進や立川流にまつわる落語会の裏事情などが聞けて楽しかった。トークの中で、彼の創作落語の自信作、代表作として「ゾーン」「一人相撲」「くじ引き」「大根や」などがあるとのこと。是非生の独演会で聞くチャンスがあればいいなぁと思った。
①乙の中の甲
②カレンダー
③広瀬和生氏とのトーク
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

自転しながら公転する 山本文緒

著者の本は2冊目。前に読んだ作品は普段あまり読まない純文学作品という感じだったが、本作も同様に謎解きとかサスペンス要素のない静かな内容だった。それで退屈かというと全くそんなことはなく、主人公の心のうちを自分でなぞりながら、この部分はわかるなぁとか、若い人はこう考えるんだろうなぁとか、色々思いを巡らせる楽しさに浸れる作品だった。プロローグとエピローグにちょっとした仕掛けがあって、それも少し安心というか読後感の良さを演出しているようで面白かった。前作の感想でも書いた記憶があるが、時々こうした小説を読むのも新鮮で良いと感じた。(「自転しながら公転する」 山本文緒、新潮社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ